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オリヴァーお兄ちゃんが語り終えると、そこに流れるのは長い沈黙。
やがて、ルシアンが『はぁ』とため息をついたことにより破られる。
「懐かしい話だね」
「まぁな」
「あの頃の君はぐれてばかりで、時々発狂しそうになってたり、自殺しようともしてたからね」
ぐれたオリヴァーお兄ちゃん...少し気になる。しかし、発狂や自殺未遂なんて初めてきいた。多分彼にとっては黒歴史だろうと思い、詳しく聞くのは控える。
自殺なんてしなくてよかった。してたら私ももうあいつに殺されてたかも知れないしね!いいや、笑い事ではないか。
「そういえば、今日の朝はどこに行ってたの?」
一旦過去の話をきっぱりと別の所に置き、話題を変える。
「ああ、サヴィニア城だよ」
「サヴィニア城...に?何故ですか!私、もしかしておうちに帰らされるのですか!私を追い出すんですか!?」
「え、いや...まだ何も言ってな」
「やめてー!私を追い出さないで~」
オリヴァーお兄ちゃんから好かれているから(多分)!追い出すなんて事はないと思っていたのに!!!
「おいおい、一旦落ち着け」
「ふぇ」
「まだ何も言ってないじゃないか」
「まぁ...」
確かにまだ何も言われていない。勝手に決めつけるのはおかしい。
「とりあえず、今日はもう寝ろ。いろんなことがありすぎた。もう疲れているだろう」
そうオリヴァーお兄ちゃんが言うと、次の瞬間には私は着替えた状態でベッドの上にいた。
暖かいベッドの上にくるとすぐに睡魔がやってくる。やはり体は正直だ。疲れていたため、すぐに寝てしまった。
次の日の朝、いつもならオリヴァーお兄ちゃんが私を起こしにくるが、今日もなかった。
『まさか日付でも繰り返しているのだろうか?』
そう思い、半狂乱になって食堂に行く。
バタン
走っていき、一刻も早く確かめようと思い足音や扉を開ける音なんて気にせずに入ってしまった。
でも日付が繰り返すなんてない。心配は杞憂だった。
「おはよう...。どうかした?怖い夢でも見た?」
「レティア、そうなのか?大丈夫か?今日は起こしたら悪いと思い、朝起こしに行けなかった」
いつもと全く違う様子で入ってきた私にルシアンとオリヴァーお兄ちゃんは驚いている。
「よ、よかった」
2人がいることに安心し、足の力が抜けくにゃりと床に座り込んでしまう。ついでに涙まで出てきた。オリヴァーお兄ちゃんは私を抱き抱えてくれる。腕の暖かさが、現実だと証明してくれる。
「ど、どうしたの。とりあえずお茶飲みな」
飲みやすい程度に冷めた、ちょうどいい温度の紅茶を渡してくる。ほんのりとした温かさが心に染み渡る。
「しばらく、休暇が必要だな」
「そうだね」
私はオリヴァーお兄ちゃんに肩をさすられ、緊張が一気に溶けまた疲れからか、眠気がくる。
「ゆっくり休め」
そのまま私はオリヴァーお兄ちゃんの腕の中で再び眠ってしまった。
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