18
目が覚めた。いつもと少し違って変な予感がした。第六感というのだろうか?何かが違う。何か気持ち悪いものが私にまとわりついている感じがする。
「...変な感じ」
外はまだ暗く、物音ひとつしない。とても静かだ。
とりあえずもう一眠りすることにしよう。明日になったらこの不快感も少しは薄れているだろう、そう思って。そう願って。私はもう一度深い眠りへとついた。
朝になっても不快感が消えることはなかった。むしろ夜中に起きてしまったときよりも、不快感は大きい。なんだろう、例えるのならば、まったく勉強をしてない定期テストの日の朝のような感じ。もしくは、一日中ゲームしてた夏休みから次の日、朝起きたら今日から通常授業の学校という、目覚めが最悪な感じだ。例え方が学生あるあるになってしまったが、それくらいの不快感が私にまとわりついている。
「あれ...?」
さっきまで不快感のことに注目してたからか、今日はオリヴァーお兄ちゃんがいないことにはじめて気がついた。いつもなら目が覚めたら、『レティアの寝顔を眺めてた』と言い、ソファに座っているのに。
当然、オリヴァーお兄ちゃんがいないので暖炉に火はなく、カーテンも閉ざされたままだった。どうりで部屋が暗いわけだ。
私は半身ベットから起こすと、天井に向かって伸びをする。
「寒い...」
暖炉に火がついてないので寒い。結構寒い。もう一度布団に入り、布団を被ったまま暖炉へ向かい、火をつける。
布団を被ったまま歩くだなんて部屋の中でだけと言えど、貴族、ましてや王族の娘がやっているのだとしたら、はしたない極まりないだろう。でも前世では、冬の日の朝はこの状態でリビングまで行っていた。私にとってはこれは当たり前のことなのだ。
暖炉に火をつけてしばらくすると部屋が暖かくなってくる。
「オリヴァーお兄ちゃん...どこに行ったんだろう?」
ある程度目が覚めてきたのでとりあえず布団をベッドに戻し、私服に着替える。いつもなら服もオリヴァーお兄ちゃんがある程度決めているのだが、今日はいないので自分で決めることになる。うん、改めて服選びが面倒だと実感した。
私服に着替えると、食堂へ向かう。もしかしたらオリヴァーお兄ちゃんとルシアンは朝食を食べているのかもしれない。そう思ったのだが、食堂の扉を開けても誰もいなかった。ただ、机の上にクロシュがかぶせてある、おそらく私のだろうと思われる料理がおかれていた。クロシュをとると、中にはメモと私の分の朝食がおかれていた。料理はまだほんのりと温かかった。
そして、メモにはこんなことがかかれていた。
レティアへ
そこの料理は君の朝食です。僕とオリヴァーはちょっと所用があるから出掛けてます。夕食までには帰るつもりだけど、もし帰っていなかったら、自分で作って食べてね。それと、もし誰かがここに来ても絶対にいれないでね。そして君がレティア王女だとばれるような真似は絶対しないでね。だから、今日は城の外に出ないで。もしかしたらサヴィニアの兵が隠れているかもしれないから。
あと、暇潰しになるように書庫の鍵を開けておいたから。好きに読んでもらっていいよ。
じゃあ今日一日、お留守番お願いします。
ルシアン
『所用.....ねぇ』
私はメモを読み終わるとふぅと短く息をついた。しかし、久しぶりの一人の時間。最近はずっとオリヴァーお兄ちゃんがべったりと私に付きまとってたから。嫌な訳じゃない。ただ、もう少し頻度というものを...。あの美形は見てたらほんとに...心臓が...。
色々と考えながらもルシアンが作ってくれた朝食を食べる。やっぱり少し冷めてしまっただろうか。
『今日はとりあえず書庫行ってみようかな』
私はこの時、心の不快感が大きくなってるのには気づかないふりをしていた。
クロシュ...別名クロッシュ、料理の上にかぶせるあの銀色のやつです。
近いうちに一旦、キャラ一覧をだそうと思います。今後は他のキャラの視点等をたくさんいれていくつもりなので...。
そしてブックマーク、誤字脱字報告本当にありがとうございます。