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 剣術を始めて1週間。今日も剣のぶつかり合う音がきこえる。練習相手はもちろん相手はオリヴァーお兄ちゃん。ヒールの練習はすっかり忘れてた。いや、そもそも怪我をしてないので練習しようともできないのだが。


「はぁっ!」


「遅い。もっと相手の隙をつくように」


「っ...ッァ」


 オリヴァーお兄ちゃんの言ったとおりにやろうとした瞬間、逆に私の隙をつかれ私の剣が宙を舞った。オリヴァーお兄ちゃんの剣が私の首の横にある。一応、刃のない剣でやっているがそれでも怖い。


「はぁ、はぁ」


「一旦、休憩にしよう」


「...はい」


 オリヴァーお兄ちゃんは強い。強いのはわかっていたが、私も武は得意なので、いけると思ったがそうでもないのかもと思ってしまう。まぁ何でも練習あるのみなのでこれからもっと強くなると思いたいが。


「私には才能ないのかぁ?」


「いいや、そんなことはない」


 オリヴァーお兄ちゃんが冷えたお茶を私に渡しながら言う。


「はじめは皆こんなものだ。いや、これよりもひどい。レティアははじめてにしてはかなりうまい」


「そう...かな?ありがとう」


 最近になって少しオリヴァーお兄ちゃんの愛の重い発言が減った。あんな言葉、言われる方が恥ずかしい。


「お茶を飲み終わったらまた始めようか」


「うん」


 私はコップに残ってたお茶をグイッとすべて飲み干して立ち上がる。ちょうどその時だった――――


「オリヴァー!サヴィニアの兵士が来た。今すぐ隠れろ」


 今日は仕事が休みのルシアンが血相を変えてこちらに走ってくる。


「何だって」


 オリヴァーお兄ちゃんも血相を変えて立ち上がる。


「え!?サヴィニアの兵士?どういうこと」


「理由は後で話す。ここは任せたぞ!ルシアン」


「了解。秘密部屋への鍵は開けといた。早く行って」


「感謝する」


 私は訳のわからないままオリヴァーお兄ちゃんに手を引かれて城の中へ戻っていく。応接室に入ると、以前は本棚があった場所に扉があった。


「こんなのが...」


「早く入れ」


 私とオリヴァーお兄ちゃんが入ると扉を閉め、鍵をかけた。そして扉の外からガガッと何かが動く音がした。


「今の音...何?」


「本棚を動かした音だ。これで、当分は大丈夫だろう」


「何で転移魔法使わなかったの?」


 転移魔法だったらルシアンもまとめて3人で完全に安全な所に行けるだろうに。


「魔法陣が残ってしまうからばれてしまう。それに転移魔法だなんて高度な魔法が使えるのはほんの数人しかいない。使っただけでほぼ人物は特定されてしまうだろう」


「私の気配遮断魔法もあったのに」


「詠唱に時間がかかる。却下だ」


 確かに私は無詠唱は無理なので少し時間はかかるがそれでも30秒ほどだ。そこまで急ぐ必要もないと思う。


「というか何で逃げるの?そこまで私の国の兵は悪い人じゃないよ。それに殺しに来たわけではないと思う。ただ、調べに来ただけだよ」


「私はもう死んだことになっている。ばれたらややこしくなるだろう」


「そう...なんだ」

 

 確かに父の日記にはオリヴァーお兄ちゃんは死んだと書いてあった。ここで生きているとばれてしまったらもしかしたらシーネスト国を滅ぼした人がオリヴァーお兄ちゃんを殺しに来るかもしれない。オリヴァーお兄ちゃんだったら簡単に勝てそうな気がするが、相手もたった一晩でシーネスト国を滅ぼした人だ。本当にやりあったらただではすまないだろう。

 それよりも本当にシーネスト国を滅ぼしたのはリックなのだろうか?確かに私を殺そうともしたが、そこまで悪い人ではなかったはず。小さい頃はルチアと共によく遊んでくれていた。そうだとは思いたくない。


 色々と考えていると外からガチャリと応接室の扉が開く音がした。

前話でもお伝えしましたが9話と13話に少し追加をしています。まだの方はどうぞ。


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