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あれから私達は魔王城もとい、シーネスト城へ戻った。ルシアンは先に帰っていました。え?あの後家族に会えたかって?ええ、一応生きていることを確認しました。家族の事を見れたのは一瞬だったのですが。
城に帰ると、ルシアンから何故オリヴァー様とイチャイチャしているのか質問攻めに合いました。理由を説明したら苦笑いをされました。多分こうなることが予想できたのでしょうね。
「すみません、遅くなって。今から夕飯作ります」
現在は夜の7時、今までの生活から考えると少し遅い時間だ。前世では結構当たり前だったけれども。
「いいや、レティアは作らなくてもいい。ルシアンに作らせよう。かわいいレティアが料理をして、もし怪我でもしたら私は発狂するだろう」
『うわー。こっわ』
「え?僕?めんどくさいよ。それにレティアちゃんのここでの仕事でしょう。料理を作ることは」
「ジョブチェンジだ。レティアには私のそばにいるという何よりも大切な仕事がある」
「何その仕事」
「何ですか、その仕事」
意見がルシアンと被った。オリヴァーお兄ちゃんと一緒にいられるのは嬉しいが、このままずっとベッタリしてたらマンネリになると思う。この世界にそんな言葉があるかはわからないし、あんなに重い愛を持ってる彼がそうなるかはわからないが。
「じゃあ、ルシアン任せた。30分程で用意しろ。食材はキッチンに運んでおいた。では任せた」
「え、いや、僕がやるとは一言も言ってないけど」
そう言うと、オリヴァーお兄ちゃんは軽く舌打ちをし、次の瞬間ルシアンが消えた。
「え?まさか殺――」
「キッチンに転移させただけだ。それじゃあレティア、君の部屋まで私がエスコートしよう」
「ありがとう...ございます?」
彼は私の返事を聞くと手をとり、私の部屋までエスコートしました。
「本当に、本当にまた会えて良かった」
オリヴァーお兄ちゃんは部屋に着くなりその事ばかり言っている。もっと別の話はないのだろうか?
「そればっかり」
「だって本当の事だから。死んでなくて良かった」
「死ぬだなんて大袈裟な」
「いいや、本当の事だ。シーネスト国を滅ぼしたリック・サジアータが言ってたしな」
「え?シーネスト国を滅ぼしたリック・サジアータ?リックがシーネスト国を滅ぼしたんですか?」
リックの事は正直あまり好きではなかったが、それはさすがにないだろう。そう思いたかった。
「知らなかったのか?」
「証拠はあるんですか?」
「リックをレティアはかばうのか?レティアをサヴィニアの城から追い出した奴だぞ」
「さすがにそこまでする人ではないと思うんですけど」
「...そうか。まぁ暗い話は一旦やめよう。それよりも私がいなかった間のレティアの話をたくさん聞かせてくれ」
「うん...」
かなりモヤモヤするがまぁまだ本当かどうかもわからないし、過去の事だからそんなに気にかけることもないだろう。そう思うことにして、私はオリヴァーお兄ちゃんとおしゃべりを始めた。
それによって夕食の時間に遅れてしまったのはまた別の話。
※※※
「それで、どうだった?」
この間、オリヴァーに調べろと言われたことだ。今日しっかりと周りの人から聞いてまわった。
「近いうちに兵は来るかもね~。気をつけておかないとね」
「そうか。感謝する」
「来たらどうする?」
「どうもこうもないだろ。追い出せばいいだけだ」
「ふーん。まぁいいや」
今の所は大丈夫かもね。でも近いうちにシーネスト国を滅ぼした元凶が来るかもよ、ということは伏せておくことにした。
みなさんも台風に気をつけてください。