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誤字脱字報告本当にありがとうございます。

これからもできるだけ気を付けますが、あったら報告よろしくお願いします。

 

「あ...」


 読んでいる途中からポツポツと記憶を思い出しつつあったが読み終わった今、完全に思い出した。


「オリヴァー...お兄ちゃん?」


 昔、彼のことを“オリヴァーさん”は堅苦しいから“オリヴァーお兄ちゃん”でいいよ、と言われていたためずっとオリヴァーお兄ちゃんと呼んでいた。私にたくさんの事を教えてくれた、本当にお兄ちゃんのような存在だった。この城で一緒に過ごすようになって私はいつの間にか彼の事を好きになっていた。

 それなのに――


「シーネスト国の滅亡...?オリヴァーお兄ちゃんは死んじゃったの?」


 手が震えた。頭の中で必死に言い訳を考えている。オリヴァーお兄ちゃんは死んだはずがないと。しかし生きていたとしても、もう会える事はないかもしれない――と思ったが


「もしかしたら、もう会ってる?」


 私の中の直感がそう訴えている。今、私の隣にいる魔王であるオリヴァー様がオリヴァーお兄ちゃんだと。

 そう思うと確かめずにはいられなかった。


「あの、もしかして...オリヴァー様って―――」


「やっと思い出したんだな」


「え?」


 もしかしたら.....やっぱりそういうことだろうか?


「11年ぶりか、長かったな」


「オリヴァー.....お兄ちゃん?本当?」


「相変わらず猫にはスモモだとかアンズだとかへんてこな名前つけてるのか?」


「オリヴァーお兄ちゃん...本当だ!」


 昔、オリヴァーお兄ちゃんの気を少しでも引くためにちょっと変わった子を演じてたのが懐かしい。いや、でも前世ではアンズやスモモは変わった名前ではなかったはず。しかし、昔にそんな、恥ずかしいことをやっているだなんて今になっては黒歴史だ。

 でもそれよりも今はオリヴァーお兄ちゃんが生きているということが何より嬉しかった。ずっと好きだった初恋の人。オリヴァーお兄ちゃんは私の事をどう思っているか知らないけど。


「改めて本当に久しぶりだな、レティア。元気そうで何よりだ」


「オリヴァーお兄ちゃんこそ。なんかもうオリヴァー様って言えないかも」


「別に大丈夫だ。もうわかっただろ」


「それより、何で魔王だなんて言ってるの?人間から魔王になるだなんて、そんなことないよね」


 私がそう言うと、オリヴァーお兄ちゃんはスッと真面目な顔に戻る。いつもの魔王としての顔だ。

 彼がオリヴァーお兄ちゃんだと気づいたときから気になっていたこと。何故彼は魔王と呼ばれているのだろう。確かに彼は魔力量はとても多かったが。


「魔王とは言っても、今は完全な魔王ではない。魔王ってのは、魔力を持っている人間が魔力を暴走させ、理性、感情が無くなることなんだ」


「って事は、魔族の魔王とはまた別ってことなのね?」


 じゃあ乙女ゲームで戦ってたのは実はあれ人間だったのか。めちゃくちゃ人間離れしてたけど。まぁ魔力を暴走させてるならそうか。


「そう」


「でも、オリヴァーお兄ちゃんって魔力を別に暴走させてる訳じゃないじゃん。何で魔王だなんて言われてるの?」


 別にまだ魔力は暴走していないのなら魔王だなんて名乗る必要なんてないだろうに。


「僕はいずれ理性を失うかもしれない。ある人に毎年少しずつ魔力が増え、いずれ押さえきれなくなって暴走させるみたいな変な呪いをかけられたから。それにその間は死のうにも死ねないっていうな」


「何その厄介な呪い。どうにかして解けないの?」


「多分、聖なる力がないと無理だと思う」


 ...聖なる力ってルチアが使えるじゃん。でも待って、そうしてオリヴァーお兄ちゃんがルチアに惚れたらどうしよう。オリヴァーお兄ちゃんを助けるか、自分で他に頑張って方法を探すか。

 でも、もちろん何よりも重要なのはオリヴァーお兄ちゃんの命だから―――


「その力、ルチアが持ってるから。ルチアに頼んだらきっと大丈夫。ルチア優しいし」


 ルチアはゲームのヒロインですから。あの子も大抵、人間離れしたこと多かったけど。笑っただけで、庭の花が元気になるだなんてヤバイでしょ。


「本当にルチアが持ってるのか?」


「もちろん!」


「それを使ったところを見たことあるのか?」


 何故彼はそこまで疑ってくるのだろう?


「見たことあるっていうか...いや、ルチアが笑っただけで庭の花が元気になるんですよ。完璧持ってるでしょう」


「ルチアは持ってるのに、その姉妹であるレティアは使えないと。そういうことか?」


「私なんて持ってるわけないよ。だって私、それ以外にも昔から結構ルチアに負けてたし」


 そう、私は昔から学びも芸術も特に優秀ではなかった。どれもそこそこだった。妹にどちらも負けているだなんて。それなのに貴族の女の子には必要のない武だけはかなり秀でたものがついてきた。周りの人はいらない才能だと言うけれど、前世では運動なんて当たり前だったからそれだけでも普通に嬉しかった。

 運動ができるからこそ、オリヴァーお兄ちゃんとかなり仲良くなれただろうし。


「それでも、レティアには聖なる力がある。今は内に秘めてるだけで、いずれ、ルチアちゃんをこえるだろう。いずれ魔王になる私が保証する」


「そっか...私にもあるんだ。ありがとう、オリヴァーお兄ちゃん。魔王になる人に保証されるってのも怖いけど」


 私でも彼を助けられるということが素直に嬉しかった。でもその才能はいつ花を咲かすのだろうか?


「それより、まさかまた本当に会えるだなんてな」


「オリヴァーお兄ちゃん...?それは私も嬉しいけど」


 何故こんなこと言い始めたのだろう?私に会えたことがよっぽど嬉しかったのか?いや、やめよう自意識過剰だ。


「婚約は破棄するとか言っていたけれども、私にはそのつもりはない」


「え、ちょっと何?どういうこと?いや、私も婚約破棄をした覚えはないけども」


「レティア、君はこんないつか魔王になる私にまで優しくしてくれて、生きていることを喜んでくれた」


「ねえ、本当になんなの?」


 本当にそんなこと言われるとどう対応していいか困る。それに言ってることは、聞いている私が恥ずかしくなることだ。


「レティア。僕たちはやっぱり運命で結ばれてる。いや、結ばれていなくても無理矢理結ぶ。婚約の続きだ。私は君を愛してる。君を手に入れたいんだ」


 ほわー!!愛してるですって!聞きましたか?いや、めっちゃ恥ずかしいけど。それに私を手に入れたいだなんて...!?いきなりの情報の多さに頭がパンクしそうになる。


「でも、私もオリヴァーお兄ちゃんの事がずっと好きだったから、両思いだよ」


「違うな、レティア。私は君を私がいないと生きられないような人にしたいんだ。ずっと僕だけの鳥籠に居てほしいんだ」


『こっわ。オリヴァーお兄ちゃんってこんな人だったっけ?でもそれほどまでに私を好きだってことはうれしいけど』


「君を好きになって初めて気がついた。僕は独占欲が強いんだって。さあレティア、君も私に溺れて。私をもっと好きになってもらうように私はこれから君をおとす。覚悟してね、かわいいレティア」


 何で、私が元は魔王を攻略するつもりだったのに...。何で魔王に攻略されそうになってるの?


『誰か私に教えてくださーい!!!』


 私は心のなかで叫び続けた。

 これからどうなるのだろう。私には全然想像が出来なかった。




やっとタイトル回収して、これからがっつり本編という感じでしょうか?

これからもよろしくお願いします。

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