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長らくお待たせいたしました。
投稿が遅れてすみません。
しかし、一旦仕事は落ち着いたのでこれからはもっと頑張ります。
「誰も...いない?」
父と母の部屋には現在、誰もいなかった。警備の人が多くいたのでてっきり部屋にいるのだろうと思ったが、違かったらしい。
「どこかへ出掛けてるのかな?」
「多分そうだろう。私が探してやろうか?」
「いえ、大丈夫です」
オリヴァー様に父と母の捜索をお願いし、父と母の様子を伺うこともできるが、それよりも手っ取り早く父と母の心情を知れる方法がこの部屋にあることを私は知っていた。
「父と母が毎日書いている日記があるのです。それを見てみます」
日記は10冊ほどの束になって寝台近くの机の引き出しの中にしまってあった。どうやら父と母が結婚した日からつけてあるらしい。引き出しの鍵?そんなの無理やりこじ開けました。
とりあえず私は、私がいなくなった日の日記を読むことにした。
※※※
◯月△日
今日、突然神官長であるリックに、レティアはこの国を滅ぼすと言われた。正直私達はあんなに優しいレティアがそんなことをするなんてあり得ないと思った。しかしリックが今までしてきたお告げで外れたことはない。あの国が滅びることまで予知をしたのだ。しかし、私とリーリャはレティアを信じることにした。リックの前では暗殺すると言い、後でレティアを秘密裏に王族の領地に送ろうと考えていた。そしてそれを伝えにレティアの部屋に行くとどうだろう、レティアの侍女であるセシルが腰を抜かして座り込んでいて、レティアは部屋のどこにもいなかった。急いで城をくまなく探したがレティアは見つからない。私たちはリックのせいだと思い、彼の所へ行ったが、彼は何も知らないと言った。レティアを私たちが知らないうちに殺したのではと思い、彼の同僚に彼が何かしていなかったかと聞いたが、彼はどうもあの会議のあとずっと部屋にこもっていたらしく、彼が部屋から出たのを誰も見ていないことから彼はレティアを殺したりなどはしなかったのだとわかった。リックは転移魔法何てものはつかえないようだから。
だから私達は考えた。他の誰かがレティアを狙ったのではないのかと。しかし、レティアを恨むような人だなんてこの国にはいないはず。いったい誰がこんなことを。
そういえば十年ほど前にもこの城で人がいきなり消えるという事件があった気がする。確か消えたのはあの国の王太子だったか?いやそんなこと、今はどうでもいい。
私たちはレティアを探すことに集中しよう。
※※※
「どうだ?何か書いてあったか?」
「...」
「?」
「...」
「っ何が――」
「あ...」
「えっ?」
私はポロポロと涙をこぼしていた。オリヴァー様は驚いた顔でこちらを見ている。私が泣いてる理由は多分、きっと家族から裏切られてはいなかったという安堵からだろう。父と母は日記を書く上で嘘は絶対に書かない。だからここで家族に裏切られていないと知ることができてよかった。
「もう泣くな。さっきから泣いてばっかりだなお前」
「ありがとうございます」
「何故だ?」
「家族とレティアが私を裏切っていないと知ることができてよかったです。ここに連れてきてくださってありがとうございます」
本当に、今は彼に感謝しかない。もし彼が誘ってくれなかったら。こうして事実を知ることができなかったら。後々不安で一杯になり、精神がおかしくなってたかもしれない。
「今日はそろそろ帰るか?」
「いえ、母の具合をどうしても見たいのでもう少しここにいたいです。でも、オリヴァー様がどうしてもと言うのならば帰ります」
「いや、大丈夫だ。もう少し待とう」
「ありがとうございます」
さて、家族を待つ間何をしよう。先程から少し気になることがあった。日記の途中にあった文。昔、この城から人が突然消えたこと。なにかが思い出せそうで思い出せない。
でも、私は気づいた。父と母は結婚した日から日記をつけていると。だからさかのぼればきっとあるはず。私は1冊目の日記から読むことにした。
そしてこの時、後ろからオリヴァー様が少し悲しげな目でこちらを見つめていることに私は気づかなかった。
更に、一番新しいページをもっとよく読むべきだったと後悔した。