魔法
おかしい、おかしすぎる。
なんで俺がクソ使えない能力なのに、配下として召喚したコイツが、こんな万能属性なんだよ
「ど、どうかしましたか?」
「いや、何でもない。そうだ、そもそもを聞いてなかったな、魔法ってどうやってつかうんだ?」
「???」
「いやいや、アイリスそんな「何言ってんのこの人?」みたいな顔で俺のことを見るんじゃない」
「だって井上様、魔法を知らないってどうなんですか?」
「しょうがないだろ俺がこっちに来たのは3時間前だぞ!魔法の使い方なんて知るわけないだろうが!あと、その舐めたような態度をやめろ。」
「へ?3時間前?何を言ってらっしゃるのですか井上様。もしかして、頭打ちました?」
こいつ、出会って30分と立ってないのに何だこの態度、お前こそ頭打ったんじゃないのか?
「おいお前、その口少々おいたが過ぎるんじゃないか?」
「あっ、すみません。まぁ知らないならしょうがないですよね。」
こいつ、微妙に俺を慰めてやがるマジで怒るぞと、思っているとアイリスが
「気を取り直して行きましょう!!!まず、魔法とは、空気中のマナを自分の体に取り込んで、魔孔と呼ばれる体の節々にある口から放出することで発現する能力のことを言います。魔法には種類があって
創成魔法、放出魔法、接触魔法の三つがあってそれぞれで、詠唱が違います。」
「はい!質問ですアイリス先生」
「はい、井上君」
「詠唱ってしないといけないんですか。」
「はい、稀に無詠唱魔法を唱える人がいたりしますね。ですが、基本的に詠唱をしないと魔法は発現しません。」
「ありがとうございました。って違うわ!なんでお前がいつの間にか先生ポジションになってんだよ!」
「だって井上様があまりにも無知なもので・・・すいません(テヘペロ)」
かわいいって違う今は、恥をしのんでも魔法の唱え方を聞かないとだな
「まぁいい。続けてくれ。」
「はい、魔法は、唱えようとすると頭の中で組みあがってきます。チェンカみたいに」
「ちょっと待て、チェンカってなんだ?」
「井上様チェンカも知らないんですか?」
「ああ、検討もつかん。」
「チェンカっていうのは、30年前魔物にやられて命を絶った本の勇者が残したとされる木の柱を組み立てて、一本一本抜いて、組み立てた柱を倒した人の負けっていうゲームのことです。」
俺の世界でいうジェンガのことか、ってかチェンカって本の勇者とやらはネーミングセンスが皆無と見た
安直すぎるだろ
「そうなのかそのチェンカみたいになるんだな。それで、そのあとどうするんだ?」
「頭の中にある文字を読んでいくだけです。もちろん魔力を込めながらですよ。」
「じゃあもう一つ質問だ。魔法って手に入るものなのか?」
「すでに、属性ごと一つずつあると思いますが、そうですね。その人の人生経験や、行動によって増えたりします。」
「そうか、じゃあやってみるとしよう。」
そういって、俺たちは憂鬱の城の外へと出た。
異世界の最初に踏みしめる土は、緩かった。
魔法といえば手から出るものがオーソドックスだよな
手に意識を集中し自分の中のエネルギーみたいなものを放出するイメージで闇の魔法を唱える。
『世界の理よ、我の呼びかけに答え根源の力を貸し与えよ!闇の霧となりて!』
「第10級魔法 ダースミスト」
ふわぁぁ
黒く薄い霧が漂った
うわザッコ何だこのくそ魔法いつ使うんだよ!
「す、すごいですねぇ~」
アイリスが反応に困っている
「いいだろう。時の魔法は当たりかもしれんからな!」
『世界の理よ、我の呼びかけに答え根源の力を貸し与えよ!時の具現となりて』
「第10級魔法 タイムポイント」
ボトン
金色の丸い物体が俺の手から落ちる。
「な、なぁ」
「はい、何でしょう。」
「これ、なに???」
「わかりません。触ってみます?」
「頼んだぞ」
そう言ってアイリスが、謎の物体に触ると
なんと、アイリスが一秒前の走ってきた途中のところに戻った
「これは、つかえるかもな。」
「そうですね。これは、まずまず使えるかと思います。」
「そうだ!お前の魔法を見せてくれよ。」
「私、2つしか使えませんよ」
「いいからやってくれよ。」
「じゃあやりますね。」
『世界の理よ、私の呼びかけに答え根源の力を貸し与えよ!地の壁となりて!』
「第10級魔法 スモールウォールオブアース」
ゴゴゴゴ
という派手な演出とともに何とも小さな壁が現れる
壁というより砂山だなこれ
「っこれはどうなんだ?」
「ダースミスト以上タイムポイント以下ってところですかね。」
「なめてんのかお前?」
「なめてないです。この魔法は自信があるんですよ!!レベル2になったときにグロウアップして第8級のまほうになったんです。」
エッヘンと言わんばかりにない胸を張るアイリス
「失礼なこと考えてますね」
「考えてない。さてとさっきから言っている級ってなんだ?まぁ俺も使ってたから何となくはわかるんだけどさ確認だ。」
「級は、10級から10段まであって上に上がっていくと効果や威力が上がっていって使う魔力が膨大になっていきます。」
「そうか、じゃあお前の8級とやらを見せてもらおうか。」
「はいっ!」
『世界の理よ、私の呼びかけに答え根源の力を貸し与えよ!水の2槍となりて!』
「第8級魔法 ツーアルアクアランス」
すると、60センチほどの水でできた槍が2槍現れる
「ショット」
すると、眼前にそびえたっていた巨木がアクアランスとともに消え去った。
横を見るとアイリスが、こっちをドヤ顔で見ていた。
やめろその顔、どこで覚えたんだよ
おばあちゃんか、またおばあちゃんなのか?
そんな苦悩に悩みつつ俺の異世界魔王生活の第一日目は幕を閉じた。