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復讐への一歩

お待たせしました!


データが吹っ飛んで色々と大変でした、


43日目


ようやく俺は、ルーシーのデタラメな加護を使いこなせるようになった。

ルーシーとの訓練に耐えられる体になったから、もっと早く使いこなせると踏んでいたが…

まぁ今更そんな事を嘆いても時間は戻らない、今は復讐対象がいる場所に一刻も早く赴きあいつらを殺す。


今ものうのうと異世界を堪能してるであろう、畜生共を殺し、アルカディアを壊滅させる。

それさえ終われば約束通り俺はルーシーの復讐に手を貸す事になっている。


これでようやく俺の中に燻り続けていたもやが晴れる…かもしれない。


いや、それは無いな…


「十六夜君!なにボーッとしてるのさ!早く行くよ!」


俺はルーシーの声で思考の泉から意識を引き戻す。


「あぁ、悪いな、彼奴らをどうやって殺すか考えていたんだ」


「ふふ、そっか、なら早く行かなきゃね!」


「そうだな、さっさと行こう」


こうして俺とルーシーは1ヶ月以上世話になった浮遊島を去った。






「なぁ、ルーシー、アルカディアまでどれくらいかかるんだ?」


俺たちは今空を飛びながら移動している、もちろんルーシーの力のお陰だ。

だが今まで空を飛んだ事などある訳がないので、かなりコントロールが難しく、ずっと気を張っていなければならないので凄く疲れる。


「そうだね……あと1時間くらいじゃないかな?」


「そうか随分と早いな、まずどこに居るかも分からないのによく場所が分かるな」


ルーシーと俺は時空の歪みから脱出し、ランダムで適当な場所に飛ばされたにもかかわらず、ルーシーは今いる場所を把握しているようだった。


「そんなの当たり前だよ、僕が何年生きていると思うんだい?行ったことのない場所なんて無いさ」


「なるほど、そりゃ頼りなるな」


頼りなる一方でそれは凄く寂しい事なんじゃないか?と俺は思ってしまった。

新しい発見がない人生なんて、化石と同じだ、もし地球に戻れるならルーシーを誘ってみようかな?地球には見たことのない場所や物がたくさんある、ルーシーが来てくれるなら喜んで案内しよう。


まぁそれを叶える為には、俺達の目的を早く達成しないとな。


俺はより一層誓いを強く立て、手を力一杯握りしめた。









「十六夜君、そろそろ見えてくるよ」


「そうか…」


その言葉を聞いて、俺は無意識の内に歯が軋む程強く噛みしめる。

自分で言うのもあれだが、今の俺の顔はそれはもう酷いものだろう。

魔王に魂を売り、言うなれば魔王の眷属になったんだ、悪魔のような形相をしているんだろうな。

今考えれば勇者が倒すべき魔王に魂を売るなんて皮肉も良いところだが、後悔はしていない。


これで奴らに復讐できるのだから。


「見えたよ十六夜君、アルカディアだ、先ずは情報を集めよう、ここから国を破壊してもいいけど、それだと復讐の意味が無いからね」


ルーシーの言う通りだ、ここから魔法をぶっ放し、アルカディアを壊滅させたところで俺の復讐心は満たされることはないだろう。

1人1人復讐してこそ意味がある、その為に力を付けたのだから。


「そうだな、とりあえず姿を変えてから中に入ろう」


「了解だよ!」


俺とルーシーは外壁近くの森に降り、ルーシーの魔力を身に纏い姿を変えた。

魔力を自分が考えたイメージに変換し、姿を変える、髪の長さから瞳の色、顔の骨格や、体型まで細かい所まで色々と変えられる、女に化ける事も可能だ。


そして俺は黒髪黒目から金髪紅目へ、顔の骨格は余り弄らずに少し変えただけ、体型はそのままにしている。


ルーシーは銀髪から金髪へ、瞳の色は変えず、顔は幼目に、体型は少し幼児体形っぽくなり、全くの別人に化けた。


一応兄弟と言うことでアルカディアに入る予定だ、身分証明をする物がないので、あっさりとは入れないだろうが、ルーシーという可愛い女の子がいるだけで随分と違う対応になるだろう。


世界は変われど可愛い子にはみんな優しいのだ。


可愛いは正義、こんな言葉もあるくらいだし大丈夫だと信じよう。


「さて、行くぞ、ほら一応手を繋いで行こう、ルーシーは妹って設定だからな」


俺はそう言いながら左手を差し出す、1ヶ月以上も一緒に生活していたのだ、今更手を繋ぐくらいなんてことは無い、のだが…


「え?あっあぁ、はい…」


ルーシーは顔を真っ赤にして、渋々と言った感じで手を握ってきた。

浮遊島にいる時はふざけて抱きついてきたり、キスしようとしてきたのに、何故今更手を繋ぐくらいで恥ずかしがっているんだ?


女子と言うのは難しいな…


そんなこんなで俺はルーシーの手を引き、門まで歩き出した。







数分後、アルカディアに入る為俺とルーシーは門の前に出来ている長蛇の列に並んでいた。

日本にいる時に某テーマパークに行ったが、ここまで長い列に並んだ事はなかった。


「はぁ、俺並ぶの苦手なんだよな、する事が無さすぎて」


「まぁまぁ、そう言わずに大人しく待っていようよ、お兄ちゃん?」


「まっ、こんな事をするのは最後だしな、ルーの言う通りにするよ」


そう、今俺とルーシーは、お兄ちゃん&ルーと呼び合っている、何故かって?

それはルーシーが兄弟になりきるには先ずは形からと言って譲らなかったからだ。

それで結局俺が折れる形でアルカディアにいる間はこの呼び方になった。


あと見た目的には美男美女な兄弟に見えるらしい俺たちは列の中でそれはもう目立ちまくっていた。

ルーシーはまだしも俺が美男に見えるとは変身恐るべしである。


俺が変身に慄いていると、ルーシーに声を掛けられる。


「ねぇ、お兄ちゃん気づいてる?」


「ん?あぁ、当たり前だろ」


俺達が列に並んだ時から、邪な悪意を持った視線を向けてくる連中がいるのだ、俺達が会話をしてる間もそれは途切れる事は無く、より一層不快な視線は増していった。

姿を見るまでもなく、碌でもない連中だとは想像ができる。


「はぁ、やっぱ異世界って碌でもないよ…」


俺は知らずにそう口にしていた。


「そうだね…こんな世界早く壊すべきだ」


その呟きを聞いていたルーシーも、顔を暗くし俺の言葉に頷いた。





そして遂に俺達の入国審査がやってきた。


「お前たち、どこから来た?あと身分を証明できるものはあるか?」


「俺たちは兄弟で田舎の村から出て来たんだ、だからまだ身分を証明できる物は何もない」


「そうか、無いのか…ククク、なら奥までこい、質問に答えて大丈夫と判断したら入れてやる」


俺は目の前にいる小汚い中年の門番が笑ったのを見逃さなかった、それと欲に塗れた汚い瞳も。

恐らく列でこちらを見ていた、屑の仲間だろうな。


「分かった、ルー行くぞ」


「分かったよ、お兄ちゃん」


俺たちは油断することなく、おっさん門番について行った。





奥の部屋に入ると、案の定大勢の男達が部屋に陣取り下卑た笑みを浮かべ、俺とルーシーを出迎えた、それと同時に不快なすえた臭いが鼻腔を突く、部屋の傍に目をやると、俺たちより少し前に入国審査を受けた筈の少女と大人の女性が倒れていた、恐らく親子だろう…


「おいおい!すげぇ上玉だなおい!こりゃぶっ壊れるまでやっても足りないかも知れないぜ、ヒャハハハ」


「お前さっきやりまくってたんだから、次は自粛しやがれ、さっきは全員に回らなかったんだからよ」


「そうだぜ、全くよ、獲物は毎回俺が連れてくるってのに、少しは考えやがれ、誰のお陰だと思ってんだ」


「うるせぇよ、ロリコン野郎が!ガキにしか欲情できない変態は黙ってろ!」


「なんだと!てめぇだってこの嬢ちゃんとやってただろうが!」



俺達が黙っていると、此方を好き勝手に値踏みし仲間内で喧嘩を始めた、不愉快にも程がある、それにこんな奴らに構っている時間はない、さっさと殺そう。


俺が殺すと即断すると同時に、1人の男が俺の前に来てこんな事を言い出した。


「おいお前、この状況にびびって声も出ないか?アハハハ!ざまぁねぇな!これからお前の妹はお前が見ている目の前で俺らに犯されるんだぜ?楽しみにしてろよ?アヒャアヒャ」


プチっと音を立て俺の頭の中で何かが切れた。


こいつは今なんて言った?ルーシーを犯すだって?冗談でも笑えないぞ、ゲスが。

あろうことか、俺の恩人を嬲ろうと言うのか、貴様らみたいな穢れたゴミにルーシーは触らせねぇ!


「死ねよ、クズ」


その言葉と共に、ヒュッと風を切り、俺の拳が目の前に立っていた男の顔を粉砕した。

躱せる筈もない男は何が起きたかも分からず絶命した、自分の脳漿を仲間にぶちまけながら。


「へっ?」


その光景を見た男達は喧嘩を忘れ、間の抜けた顔で立ち尽くしていた。


「あっあぁぁぁぁ、ひぃぃぃぃぃ」


当然ながら男達は恐慌状態に陥る、いくら悪党とは言えこんなシーンを見たことが無ければそうなるだろう。

所詮三下だ、能力を使うまでもなく殺せる。


「ルーシーはそこで待っててくれ、すぐに殺す」


「分かったよ十六夜君、僕はそこに転がされている女性達を見ている」


「了解だ、さてクズ共、死ぬ準備は出来てるよな?」


「く…クソガキがぁぁぁぁぁ!」


そう叫びながら俺に向かって来たのは、先ほど喧嘩していたアホそうな男だ、頭に血が上り、冷静に状況が判断できていないのだろう。


「じゃあな、あの世では精々改心して生きろ、まぁお前が行くのは地獄だろうが」


「死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁ、がばべばぁ」


パシャン!と盛大な音を奏でながら男は体を破裂させ、この世から消え去った。

部屋にたちまち、鉄臭い臭いが立ち込めるが、今はそれが心地よかった。


「さて、次は誰だ?」


「ひぃぃぃぃぃぃいぃ」


俺に睨まれた男は膝を震わせ、股間から湯気を出しながら気を失った。

勿論そのあと踏み抜いて殺した、気を失って痛みを感じなかった分ましだったかもしれないが。



そんな感じで続々と俺はクズを抹殺した。人を殺める事になんの忌避感も覚えなかった、アリを踏むのと同じ感覚だ。


「待たせたな、ルーシー、その人達はどんな感じだ?」


因みに俺はクズを抹殺した時に、返り血を浴びたくなかったので、常に魔力の幕を張っていた、その為返り血は一滴もかかっていない。


「お疲れ十六夜君、この子達は命に別状はない、でも心が壊れている」


「そうか…なら体を元に戻して、記憶を弄る事はできるか?」


「可能だよ、でもいいのかい?」


「嫌な事をわざわざ残しておく必要は無いだろう、それにまだこの子には未来がある、まぁそれもこの世界が終わるまでだが…」


そうだ今助けても結局ルーシーの復讐が達成された時死ぬ事になる…遅いか早いかの違いだが、こんな記憶を残したまま死ぬ事はないだろう。


「分かったよ」


そうして、ルーシーは親子の体を元に戻し、記憶を改竄し、服を着せ部屋の外に寝かせた。


「これでいいだろう、誰か見つけてくれれば、この子達は助かる」


流石にこれ以上する義理は無い、ここからは自分達でなんとかしてもらおう。


「まぁ、中の惨状について色々聞かれるだろうが」


「そうだね、なら行こうか」


「さっさと情報を集めて復讐だ」


こうして俺とルーシーはアルカディアへ潜入し、復讐を達成する為に情報収集を開始するのだった。


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