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魔王の独白


30日目


ルーシーから加護を授かってから8日が経過した、今の俺はボロ雑巾の様な出で立ちをしている。


それも無理はない、この8日間は今までやってきた訓練の中で1番地獄に近いものだったのだから。


最初は絶対に制御してやる!これであいつらに復讐が!と意気込んでいたが、ルーシーの加護がそんな簡単に制御出来るはずもなく、俺は何度も死にかけた、いや死んだと言った方が良いだろうか。


その数は8日間で68回、その度にルーシーの加護の力とルーシーの魔力により現実に引き戻される、さすがに気が狂いそうだった。


加護の力が暴走し、ルーシーの魔力が俺の体から溢れ出し、部位欠損は当たり前、酷ければ頭が吹き飛んだり、上半身と下半身がお別れした時もあった。

だが俺は生きている、目の前にいる化け物の力によって。


「もう少しでコツは掴めそうなんだけどな〜、僕の教え方が悪い?ん〜困った」


「これで教えているつもりだったのか?流石にそれはないだろ…」


「えっ!?なんでだい?この方法が1番だと思うんだけど」


ルーシーが言うその方法とは、まぁ簡単に言うと、ルーシーと俺で加護の力をぶつけ合うと言うことだ、無論未だに加護を使いこなせない俺がルーシーに競り合いで勝てる道理は無く、毎回俺が遥か後方に吹っ飛ばされて死にかけているが。


だがこれでも教えを請うている身だ、あからさまな文句が言えるはずもなく、少し嫌味を言う程度で収めている。


「なぁ、ルーシー本当に加護は俺を認めたのか?いつになっても使いこなせる気がしないんだが?」


「ん?そりゃ死んでないんだから、認められてるってことさ、焦っても良い結果はでないよ?」


まぁ確かにそうかもしれないが、俺は早くあの屑どもを殺しに行きたいんだ!今こうしてる間もあいつらはのうのうと生きているんだ、クソが!何故俺がこんな目に!


この感情は久しぶりに感じたな、何故こんな目にか…理不尽なんてものはいつ降りかかるか分からない、そう納得した筈なのになぁ…有栖…不甲斐ないこんな兄貴を許してくれ。


「そうだな、さっさと再開しよう」


「了解だよ!」


待っていてくれ有栖、人としての道を外れた俺は、お前がいるであろう天国に行けないだろう…だけど何としてでも絶対に逢いに行くから。


ーーーだからもう少しだけ……





★★★



この1ヶ月で思ったことはやはり、十六夜君は素晴らしい才能を持ってるということだ、普通僕のこんな訓練もとい修行なんて付いてこれるものじゃない、正気を疑われること間違いなしだ。


だがこの1ヶ月で成長した十六夜君に敵はいないだろう、復讐対象にも十分通用する強さになっている、だけど僕の加護を扱える様にならなければ、僕の復讐対象である神の眷属には勝てない、殺す前に十六夜君が死んでしまう、だがそんな事は絶対にさせない、十六夜君はもう僕のものだから。


復讐が終わった後、彼はどうするのだろうか?やはりこの世界からいなくなるのだろうか?まぁそれは当然かもしれない、こんな忌々しい世界今すぐにでも出て行きたいだろう、だが彼は元の世界に帰っても、誰も迎えてくれない、そうたった1人の肉親である、妹の有栖ちゃんを失ったから。


普段の生活中にも彼はどことなく寂しそうな顔を見せる、僕はそれに気づいていた、それと目から零れ落ちる涙にも。その光景を見る度僕の中の何かがじくじくと疼き痛みを生む。

何故だろうか?何が僕を苦しめるんだろうか?


ーーーあぁ、そうだ彼もまた僕と同じなんだ、家族を失った、嫌これは彼に失礼だね、僕の家族…神と兄のミカエルは生きている、だけど僕を虐げ挙げ句の果てに封印した。



僕は余りにも十六夜君が可哀想だった、これは同情だ、正直同情なんて上辺だけの感情だ、これが出来るのは同じ傷を持つものだけ。


十六夜君が虚無空間に落ちてきた時僕の体に電気の様なものが走った気がした、その時はその感情が何かは正直分からなかった、だけど今なら分かる、そう僕は彼、霞 十六夜君が好きなんだと。

この1ヶ月で僕は彼に好意を寄せてしまったみたいだ、こんな感情今まで生きてきた中で抱いた事は無かった、これが僕ルシファーの初恋だ。


だけどこの感情は僕と十六夜君の復讐の妨げになる、そう思って僕は彼の前で務めて戯けた態度で接し訓練を続けている。


これはただの言い訳かなのかもしれない、どれだけ長生きしてようが、僕にとっては初恋だ、この感情がばれて十六夜君に愛想を尽かされるのが怖い、物凄く怖い、もし十六夜君が僕の前から消えてしまえばまた僕は独りぼっちになる…もうあんな生活は嫌だ、もう辛いのは嫌なんだ。


そう思うとまた辛くなる、だけど十六夜君に僕のことをどう思ってる?なんて聞ける筈もない。魔王だろうが、堕天使だろうが、どれだけ戦闘ができようが、どれだけ世界を破壊できようが、僕は1人の女なんだ、そんな事を思うことくらい当然ある…


僕は十六夜君の心の支えになれているだろうか?少しでも力になれているだろうか?もし僕が十六夜君の世界について行くと言ったら喜んでくれるだろうか?


いやそれはないか、もう彼にとっての宝物はそこに無いのだから。

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