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新しい標的〜3

最近短くてまじすいません。


あともう少しでPV3万行きそうです、皆さまこんな拙作読んでいただきありがとうございます。


〈冒険者ギルド〉〈白雪視点〉


私は今、姿を消しご主人様の復讐対象を監視しています。

勇者などと言う割には大した事は無い、力を持っていても使いこなせなければ宝の持ち腐れです。


ご主人様の思念から創造された私は、思考もどこかご主人様に偏り気味で、そのせいか勇者を見る度にズタズタに引き裂きたくなります。


ご主人様の獲物なのでそんな事は出来ませんが。


おや、勇者が移動するみたいです、後を追いましょうか。


「面倒な…仕方ないですね」


対象は二手に分かれ、依頼を遂行するみたいです。

はぁ、無駄な手間を…


『黒王、聞こえますか?対象が別れてしまいました、私達もそうしましょう。私は女の方を追います』


私は黒王に念話で話しかけ、二手に別れる事を提案する。


『了解した』


黒王は短く返事を返し、直ぐに男を追って行った。


「さて、私も行きましょうか」


私は"風"を纏い空中を移動する、姿を消せる私とこの魔法は相性が良い。


まぁ、ご主人様の魔力があってこその魔法ですが。





★★★


数分後対象の女はスラムの方まで来た、女1人だと言うのに随分と物騒だ。


怪しすぎます、やはりご主人様の復讐対象は塵すら残さず消滅せねばなりませんね。


「開けて、ボスに話があるからぁ」


思考に耽っていると、私の耳に甘ったるい声が届く。

聞いていると無性にイライラする声だ。


「ん?あれは…なるほど、勇者ともあろう者がスラムの支配者と繋がっていると言う訳ですか」


スラムに入ってから一度も襲われないのはおかしいと思っていましたが。


私が頭上から監視を続けていると、女は建物の中へ案内され消えて行った。


「それでは、私も入れてもらいましょうか」


私は魔法を解除して、堂々と正面から建物に近づいていく。

すると扉の前にいる、見張りの男2人がニヤニヤとしながら私の体を舐め回す様に見始めた。


不愉快にも程があります、殺しましょうか。


「ねぇ、お姉さん、俺たちとこれからどうよ?もうすぐ仕事終わりだからよ」


「あぁ、良い思いさせてやるぜ?どうだ?ハハハハハ」


男、いや人間と言うのはこんなのしか居ないのでしょうか。


「ふふっ、低脳も過ぎると、罪ですよ?」


「はぁ?何言ってんだ、お前…馬鹿にしてんのか?」


「てめぇ…俺らがヌーブファミリーって知っての狼藉か?」


これくらいの事で騒ぎ立てるなんて、やはり低脳の様です。

さっさと殺してしまいましょう。


「はぁ、相手にした私が馬鹿でした。死んでくださいまし?」


私がそう発すると同時に魔法が発動し、男達の首と胴体は別れ、命の灯火を刈り取った。


「このままにしておくと面倒ですね、燃やしてしまいましょうか」


手を死体に向け跡形もなく燃やし尽くし、建物の中へ侵入した。



再度姿を消し建物に入ると、そこには趣味の悪い絵や石像と言った美術品が所狭しと並べられていた。


「おい、お前傷付けるんじゃねぇぞ!売れるもんも売れなくなるからな」


「へい、すいません。でもこれって全部盗品なんですよね?どうやってこんなに集めたんで?」


「そんなもん決まってるだろ?へへへ、言わせんじゃねぇよ」


盗品…かなりの数がありますね、200は下らないでしょうか。

まぁ、こんな奴らが何をしようが私達には関係ありませんが、ご主人様に害を成す危険性があるなら、早めに摘んでおかなければなりませんね。




★★★


盗品の置かれた場所を抜け、勇者の女を探して建物を散策していると、一際豪華な装飾のされた扉から怒声が聞こえて来た。


『ふざけないで!私が探せと言っているのよ?何故できないのかしら?』


どうやら、勇者の女がヒステリックを起こしているみたいですね。


『し、仕方ないんだ!分かってくれ、俺たちもまだ死にたく無いんだ』


相手はスラムのボスの様です。


『へぇ、じゃぁ、それを待たずに今死にたい?』


扉越しに殺気が漏れ出てくるが、ご主人様の足元にも及ばない微弱で貧弱な物だ。


『くっ…わ、分かった…手伝うよ』


『そう?良かったわ』


あれしきの殺気でポックリ折れてしまうとは、人間というのはなんて矮小な存在なのでしょうか。


『じゃ、私はこれで失礼するわ、頼んだ仕事ちゃんと遂行しなさい』


『分かっている!さっさと帰ってくれ、あんたらのせいで部下が怯えきってる』


あの女程度で怯えていたら、ご主人様を見るだけで死んでしまいそうです、一度試してみたいかも。


『あっ、そうだ、新しい奴隷は入ってないの?』


奴隷、その言葉を耳にした瞬間私の耳がピクリと動く。


ご主人様の思考に偏っている私の中身かんせいは、ご主人様が嫌いな物は私も嫌い、好きな物は私も好きと言う風にトレースされている。


その為、奴隷と言う言葉もすこぶる嫌いだ。


『あっあぁ、奴隷なら先日他国から仕入れたのが何匹かいるぞ、一押しは男のガキ2人と女のガキ1人だ』


ガキ…子供ですか。


『そうなの?なら全員貰うわ、後で遣いを寄越すから、渡しておいて』


『か、金は?』


『遣いに渡しておくわ、何?信用できない?』


その、言葉は有無を言わせないという程冷たかった。


『わ、分かった!済まない!』


スラムのボスが怯えているのが手に取るように分かった、裏社会の元締めがこんな有様とは。


『そっ、ならじゃぁね』


そう言い残し建物を去った女を追って、私も建物を後にした。










★★★


〈イセフの森〉


スラムを出た女を追って私はアルカディアの東に存在する森に来た。

どうやらここで、片割れの勇者と落ち合うらしい。


少しすると勇者の男が茂みから姿を現した、その姿は返り血を浴び真っ赤なトマトの様だ、どうやら人を殺したらしい。


返り血を浴びるとは三流も良いところです。


「ごめんごめん、ちょっと手こずった」


血まみれだと言うのに軽いノリで、男は女へ歩み寄る。


「うわぁ、とりあえず血落としなよ」


「分かった、っておい、こんな所でするつもりか?」


「ふふっ、したかったんでしょ?」


返り血を落とすだけの筈が2人は自分たちの世界に入り込み、野外にも関わらず絡み合っていた。

互いに抱き合い、唇を重ねる、野外でとは…猿じゃあるまいし。


2人の絡みを黙って監視していた私の頭に念話が届く、黒王からだ。


『白雪、何か近づいてくる』


『特定できますか?』


この阿保の関係者なら良いですが、それ以外なら面倒ですね。


『……ふむ、どうやら魔物使役者テイマーの仕業だな、100を超える魔物がここへ向かっている』


殺気を感じる…どうやら阿保に恨みを持つ者の仕業の様です。


『放って置くわけにはいきません、ここで対象を死なせてしまうとご主人様に合わせる顔がありませんから』


とは言ったものの、どうしましょうか。


殺す、やはりこれ以外にはありませんね。


『黒王はここで対象の監視を続行、私は魔物使役者の始末に当たります』


『……了解した』


さっさと終わらせて、ご主人様の元へ帰るとしましょう。

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