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絶望の底へ

胸糞が悪くなる表現あり!苦手な人は気をつけてください!


2017年12月28日 一部を訂正しました。


牢に入れられてから何日経っただろうか…もう時間の感覚が分からなくなっていた。


牢に連行されてから今日までひたすら拷問を受けている、理由はあのステータスとユニークスキルについて吐かせることらしいが、俺はなにも知らない、そう言っているのに嘘だと決めつけられ相手は聞く耳を持たない、そしてまた拷問が開始される。

あの馬鹿げたステータスのおかげで死ぬことはないが、痛みはあるし、なにより精神的にきつかった。


俺の1日は拷問で始まり拷問で終わる、多種多様な趣向を凝らした拷問の数々に最初の方は泣き叫び喚き散らしていたが、今では何とも思わないただ痛いだけだ、もうそれにも慣れつつある。

何故だかは知らないが俺の体は時間を置けば再生するらしく、指や腕、足などが欠損しても生えてきた。

最初の何回かはその光景に吐いてしまったが今ではもう当然の事だと思い割り切っている。

俺のステータスに再生能力なんてなかった筈だがその辺は感謝するしかない。


まぁ拷問に慣れたと言っても痛いのは痛いし苦しいものは苦しいのだ…もう家に帰りたい今すぐにでも帰りたい、何故俺がこんな目にあってるのだろうか、勝手に召喚しておいて、ステータスがおかしいとゆう理由で拷問にかける、本当に意味が分からない。

こんだけ強いステータスを持っているのだ、俺に戦い方を教えて魔王を討伐させればいいだろう!この国の奴らは頭が足りない奴らばかりだ!


クソ、なんで俺がこんな理不尽な目に合わなければいけないんだ…

俺には向こうにやり残したことがあるんだ、俺が妹を育てないといけないんだ、たった1人の家族なのに、俺がいないと…あいつ…は…


俺が考え事をしていると、拷問官がやってきた、どうやら今日も拷問の時間がやってきたみたいだ、さぁ今日はどんな拷問をされるのだろうか、あぁ早く終わってくれ…


「今日は肉体的な拷問を止めて精神的な拷問にしようと思う、クックック、あぁ今からお前の泣き叫ぶ顔が浮かぶよ、ハハハハハ」


「あ、ん、だ、と」


俺はまともに水分を与えられていないため、喋る事もままならない。


「よし、少し待ってろ」


そう言って拷問官は懐から水晶を取り出した、何かの魔法がかけられている事は俺でも分かった、拷問官はそれに呪文をかけ始める。


「▪️▪️▪️▪️▪️▪️」


【異世界言語】を使っても何を言っているのか分からない。

そして呪文を唱え終えると拷問官は水晶を叩き割った、砕けた水晶から霧のような物が出てくる。

その霧は俺と拷問官の前で液晶の様な物になり、あり得ない景色を映し出す。


それは日本だった、それも俺の家の近くだ…


それが分かった瞬間言い様のない悪寒が走る、まさか!まさか!まさか!まさか!


「おっ?気づいたか?そうこれはお前の故郷だ、そして勇者達に聞いたがお前には、大切にしている妹がいる様だな?クックック」


おい、よせ、やめてくれ、それだけは、よせ、妹だけは…


「ふふふふはははは!良いぞ!その顔だ!その絶望に彩られた顔!それこそが!至高!良い表情だな?だが面白いのはこれからだぜ?」


そう言いながら拷問官が霧の画面に視線を向けると、場面が切り替わった、映し出されたのは、俺の家だった…


その家の中では妹であるかすみ有栖ありすが1人で泣いていた。


「お兄ちゃん、どこ行ったの?ぐすっ、もう私わがままとか言わないから、家のお手伝いもするから帰ってきてよ…」


有栖…俺も今すぐ帰りたい、帰ってあげたい…だけど…クソ!


「おやおや?お前の妹は随分と可愛いんだな、後あんまり似てないな」


こいつの言う通り、有栖は俺が贔屓目に見ても可愛いと思う、中学生らしくない体付きもしているし、かなりモテていた。

それと俺と有栖は実の兄弟じゃない、だが俺はそれくらい有栖の事を大事に思っているし、実際大事にしてた。

シスコン?勝手に言ってろ、誰だって家族は大事だ、それに俺に残された家族は有栖しかいないんだ、大事にして当然だ。


そこで意識が現実に引き戻される、画面を見ると有栖はまだ泣いていた、だがそこで不意にチャイムが鳴る、おい!ダメだ!有栖、開けるな!

しかし俺の言葉はあちらに聞こえない、そして有栖は扉に向かう。


「お兄ちゃん!?帰ってきたの!?待って今開けるよ!」


だが扉を開けて待っていたのは俺の筈もなく、そこには男が三人立っていた。


確か有栖のクラスメイト達だ……授業参観に行った時見かけた事がある。


そしてその男3人は有栖の口を塞ぎ、家の中へ押し込んだ。

そこからはただの拷問の何百倍、何千倍、何万倍、何億倍よりも強く俺に黒い感情を生み出させた。


手始めに叫ぶのを防ぐために口に布を詰められ、無理やり服を脱がされ、一糸纏わぬ姿にされ、好き勝手に蹂躙され、女性としての尊厳を奪われ、虚ろな表情になるまで犯され続けていた。

1人が終われば次の男が、その男が終われば次の男と物を使うかの様に淡々と…

何も映さない瞳になり、涙を流しながら、ただお兄ちゃん、お兄ちゃんとうわごとの様に呟いていた、その間も男達が有栖に覆いかぶさっていた。

そして事が終わると男達は家に灯油を巻き始めた。


おい、やめてくれ、もうこれ以上、有栖を苦しませるな…


そして灯油を巻き終えると男達は火をつけて逃げ去った。


「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!なんで!なんでだ!有栖は関係ないだろうがぁぁ!殺す殺してやるお前も有栖をあんなにした奴らも!この国にいるやつらも!俺を裏切った、あのクソ野郎達も!全て!殺しつくす!絶対に!糞がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…

うっうぅ、有栖、すまない、すまない」


地下の牢獄に1人の男の慟哭が鳴り響く、それを聞いて満足そうに嗤う拷問官。


「ははははははは!そうだ!それだ!その顔が見たかった!ひひひひひはははははは!」


「殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやる!」


まともに声の出なかった喉を酷使したせいで十六夜の口からは大量の血があふれ出ていた。

それと一緒に目からはそれに負けないくらいの涙も…


拷問官が去った後も何かに取り憑かれた様に殺すと呟いていると、頭に声が聞こえてきた。


『憎いか?』


気がおかしくなって幻聴が聞こえているのだろうと結論を出し、その声に応える。


『全てが憎い!今すぐにでも奴らを殺してやりたい』


当たり前だこんなことをされて憎くない訳がないだろうが。


『そうか、なら戦い方を学び力を付けろ、ステータスが高くても技術がなければ宝の持ち腐れだ』


『どうやって…今の俺は見ての通り動けないぞ』


『そんな物は壊せばいい、その鎖と杭は魔力を遮断して、魔法を使えなくするだけだ、ユニークスキルは防げない、【魔眼】を使え』


『わかった…』


半信半疑で声に言われた通り【魔眼】を使い鎖と杭を見る。

そして目を向けた瞬間、鎖と杭は爆裂し消え去った、その衝撃を受けて右腕と左手首が消えたが、気にせずに脱獄を試みる。


『この柵も、【魔眼】で潰せるのか?』


『ふむ、少し強めに使えばいけるだろう』


『そうか、なら』


俺は片目だけを開き力を凝縮した【魔眼】を使った、すると柵は木っ端微塵に砕け散った。

だが途轍もなく体が重くなるのを感じた。


『レベルに見合わぬ力を使ったせいだな、少し体が重く感じるが気にするな』


俺は久しぶりに走っていた、何日振りかは分からない、その為すぐに息が切れる、だが今はそんなことどうでもいい!

今はあの塵芥共を殺す!これだけだ!

走っている間に腕も元どおりになった、これで奴らを殺せる。


だがいくら走っても誰とも出会わない、既に牢獄があった地下は抜けている筈なのに、これはおかしい。

俺は王城の中へ入った、だがまた誰とも会わない。


「何故誰もいない!」


そう叫んだ瞬間俺の右足の膝から下が消滅した、支えを失った俺は床に崩れ落ちる。


「まだ生きてたのか、霞」


俺の名前を呼びながら出てきたのは、桜花おうか康人やすとという男で毎日の様に有栖に会いに来ていた野郎だ、惚れてたんだろう、毎日毎日毎日まるでストーカーの様なやつだった。

俺はこいつが大嫌いだ、見るだけで吐き気がする。


「糞野郎が…」


「おいおい、そんな目で見るなよ、あっ!そうそうお前が拷問されてると聞いた時は気分がスッキリしたぜ!お前のせいで僕と有栖ちゃんは結ばれなかったんだ!だからお前に最高のプレゼントを用意したが見てくれたか?くくくく」


まさか、こいつが、あの水晶を用意しやがったのか…

お前の都合で有栖は嬲られて殺されたってのか?ふざけるな、そんな事は断じて認めないぞ、絶対に…殺してやる!お前は、お前だけは!1番凄惨な殺し方で殺す!


「外道が…殺してや、る…」


なんだ体が思うように動かない…まるで上から押し潰されてるような…

これは重力か!


「おいおい、お前みたいな化け物僕だけで相手するわけないだろ?」


「相変わらずだな、康人、まぁそういう所がお前らしいがな」


そう言いながら出て来たのは朝比奈あさひな 悠人ゆうとという男で桜花とはよくつるんでいた奴だ。


「ははははは、まぁいいじゃないか、負け犬の顔を見るのが僕の趣味だからね、でもこいつの顔は見飽きたな、そろそろ消えてもらおうか、国王にも許可はもらってるしね」


そう言って桜花は詠唱を始める、逃げないとやばいと分かっているが重力に押しつぶされ動けない。

そして俺が踠いている間に詠唱が終わったみたいだ。


虚無空間解放きょむくうかんかいほう


その言葉を最後に俺の意識は途切れた。















どれくらいの時間が経ったのだろうか、俺は今何も見えない漆黒の空間をひたすら落ち続けている。

結局俺は手も足も出ずにやられ、意味のわからない所へ飛ばされた。

そう桜花を殺すことができずに負けたのだ、あぁ出来るのなら今すぐにでも死んでしまいたい、復讐すらまともに出来ずにただ生き恥を晒している、こんなことなら死んで有栖の元へ行ってあげたい…


何故こんなことになったんだ、俺が何をした?ただ授業を受けている時に勝手な都合で召喚され、魔王を倒してくれと頼まれて…今思えばなんで俺たちは断ることもせずに魔王討伐を受けようと思っていた?……まさか洗脳されてた?まぁ今となってはどうでもいい、あいつらの顔を考えるだけで吐きそうになる。


本当馬鹿だよ俺は、異世界召喚に浮かれていたんだ、そうただの大馬鹿野郎だ。



「君随分と自分の事を卑下するんだね」


久しぶりに誰かの声を聞いた気がする、はぁまた幻聴か…


「おいおい、幻聴なんかじゃないよ」


目を開けるとそこには1人の少女がいた、その子は綺麗な銀髪を肩まで流し、鮮血の様な紅い瞳をしていた、それに出るところはちゃんと出ていて引っ込むところは引っ込んでいた。

文句なしの美少女だ、10人に聞けば10人が可愛いと答えるだろう。


「君は誰?」


俺は無意識にそう問いかけていた。


「僕?僕は大魔王ルシファー、君達が言うところの魔王さ」


それが魔王もとい大魔王ルシファーとの出会いだった。

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