04:ピクニックへ行った
「ええっ!そんなことがあったの?……リル、私がいなかったばっかりに……」
「大丈夫よ。偶然通りかかった会長が、先輩から助けてくれたから」
「本当に、リルが無事で良かったわ……」
今日は学校が休みなので、体調が回復したミミと外でピクニックをしている。外といっても、学園の敷地内だが。
気合いを入れて寮の台所でサンドウィッチを作り、バスケットに詰めて持ってきた。
空は快晴とまでは行かないが、この地方にしてはいい天気だ。
あの後、グレイ先輩は退学になったらしい。
事件があった日の夕方に会長がわざわざ私を探して、その事を伝えてくれた。
教師経由で連絡しても良かったけれど、私があまり他の人に知られたくないかもしれないと、わざわざ直接伝えに来てくれたのだ。
私にそこまで気を使ってくれるなんて……会長は、なんていい人なんだろう。
「会長って近寄りがたいイメージがあったけど、いい人なんだね。あの人って謎の噂が多いから……」
「噂?」
私は気になって身を乗り出した。
「そう!……実は大貴族の御曹司とか、とある国の王族とか、はたまた学園を裏で動かしてる闇の権力者とか」
「…………ないな」
現実にはありそうもない。生徒達が面白がって色々な噂を流しているのだろう。
「……だよね……会長って何やってもすごいから、噂に変な尾ひれがついちゃったんだね……」
私達は、笑いながらその後も穏やかな休日を過ごした。
※
入学してから三ヶ月経った。
最近気になっている事がある。
一年生の人数が目に見えて減っている事だ。入学時は百人近くいた生徒達も、今では半数になっている。
私のクラスも当初は二十五人いたはずだが、今では十三人になっている。
皆、挨拶も無く突然いなくなるのだ。
ノワール・シュヴェルツェ学園ではレベルの高い授業を行うため、脱落していく生徒が多いのだという。
もちろん、フォロー体勢も整っているはずなのだが、何故か毎年何十人という生徒がいなくなってしまうらしい。
現に、二・三年生は各学年に二十名くらいしかいない。
……脱落しない様に気を引き締めなければ…………