02:可愛いルームメイトに出会った
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入学式の挨拶を無事終えることができた私は、重い荷物を抱えながら自分に割り当てられた寮の部屋へと向かい足を進めていた。
まだ少しドキドキしているけれど、とりあえず一段落だ。
この学園は三学年生で男女合わせて七つの寮があるのだが、寮は基本的に学年別になっている。
男子の寮が三つ、女子の寮が三つ、それらとは別で男女共同の寮が一つだ。共同の寮は主に、仕事の多い生徒会役員が使用している。
私の寮は、一年生の女子専用のマルグリットという可愛らしい名前の寮だ。先程部屋割りが発表されたので、荷物を持って自分の部屋へと向かっている。
「ねえねえ、あなたが主席入学した人?」
歩いていると、突然後ろから声をかけられた。振り返ると、髪を二つに括った小柄な女の子がちょこんと立っている。
同じように荷物を運んでいるところを見ると、一年生だろう。
「そうだけど」
「私、ミミ・モンダリーヌ。あなたと同室なの」
マルグリット寮は、全員二人で一部屋なのだが……そういえば、同室の子がそんな名前だったと今思い出す。
「私は、リル・グルナード。よろしくね」
ニッコリと笑って、彼女に挨拶を返す。
同じ部屋なのだから、仲良くなれるといいな。
「ええ、よろしくね!……よかった、怖い人だったらどうしようかと思ったの!私の事はミミって呼んで!」
ミミは、綺麗にカールされたふわふわの栗色の髪を持つ、明るい女の子だった。彼女は男爵家のお嬢様だそうで、ここへは、結婚する際に箔をつける為に通うことになったらしい。
ノワール・シュヴェルツェ学園に通う女の子は、そういった目的の子が殆どだそうだ。お金持ちのお嬢様は、考えることも違うんだな。
しばらく歩くと、白くて可愛らしい建物ーーマルグリット寮に着いた。
四階建ての建物の一階は共用のスペースになっていて、私とミミは四階の角部屋。
さっそく部屋の前にたどり着いた私達は、ピンク色の可愛らしいドアを開ける。
「わぁ、可愛い部屋! うちの実家、格式ばった家具ばかりで可愛げがなかったのよね!」
淡いピンク色の家具が並ぶ部屋を見て、ミミが嬉しそうにはしゃいだ。
床は薄い色の木の板が張ってあり、壁と天井、窓枠は全て白で塗られている。
「見て!このカーテン、ピンクと白のチェック柄よ!」
「本当、こっちのクッションも同じ柄みたい! シーツも布団もピンク色!」
隣の部屋からも、女の子の興奮する声が聞こえてきたので、きっと皆同じ気持ちなのだろう。
私以外は、皆お嬢様だーーと構えていたけれど、上手くやっていけそうだ。
寮の部屋も、私が思っていたよりも広く、住みやすそうで安心した。