ワンコインで夢が買えることもたまにある
超真顔で見てね
最近のせつねちゃんにはやる気に満ちていた。
何故なのかは最近子供の間で流行っているアニメ、【死が俺を待っている☆】という魔法少女ものの2期が決まったからである。
「それ面白いの?」
「うん!」
ガン見するせつねちゃんが言うにはこのアニメの見どころは死にまくるところらしい。敵が一般人らしく、魔法少女である主人公が射殺されたり、爆撃されたりといった一連の話の進みらしいのだ。
「それ本当に面白いの?」
「うん!」
なんで一般人が銃や爆弾の類を持っているのだろう。ファンタスティックなアニメだ。ネットで調べるとグロさマックスが売りらしい。
「そんなアニメ見ちゃ駄目だよ。精神衛生に悪いよ」
「別に良いの。規制かかってるから」
ブルーレイ版だけモザイクがないらしい。画面がほぼモザイクだ。
モザイクネタもう良いよ。
「でも買っちゃ駄目だよ、ブルーレイ版」
「えー。あんたはアニメでお風呂シーンの湯気を取り除くために買ったりしないの?」
「その通りだね……」
その時、家のインターホンが鳴った。待ってくれと玄関を開けると配達がされて来たようだ。印鑑を押して段ボールをもらうとせつねちゃんの元へ。
「なんだよこれ」
「エロゲだよ」
「嘘だね」
せつねちゃんは三次元の方ばかりだと僕はパソコンの検索履歴で知っている。そんな人間が2次のエロに執着するはずがない。
「本当だよー」
「嘘だ」
「エロゲしようと玩具を買ったの」
それ違うよ。それはゲームじゃない。
「玩具って何?」
「フィギュアだよ」
盲点だった。
*
「どう使うの?」
せつねちゃんは【死が俺を待っている☆】の主人公のフィギュアに僕から貰った500円玉を使うらしい。
「一厘ノ奇跡、我掴ム」
部屋中に煙が湧き、僕の視界は一気に悪くなった。少しずつはれて目にするのは大きくなったせつねちゃんだった。
「せつねちゃん……おおっきい」
「違うよ。あんたが小さくなったのよ」
僕の周りの物も大きく感じるのは僕が小さくなっているかららしい。
せつねちゃんは僕を連れて浴場へと向かう。
「ちょと待ってよ、せつねちゃん」
「なあにサイフ」
「なにどさくさに僕を連れて行こうとしてるの」
「だってこれから遊ぶんだもん」
そのまま僕は浴槽へと連れて来られた。
小学生くらいの体だろう。服を全て剥がされる。せつねちゃんは水着着用なのでセーフだ。
僕は身じろぎ一つできない。谷間に顔を埋めるような状態なのだ。
「サイフはちゃんと管理しないとね」
それ違う財布だ。
そしてゆっくりと這う舌が首筋を撫でる。ゾクゾクと僕の心が今も揺れ動く。生暖かい体温と柔らかな感触。
「あんたは嫌い」
そう言って息が荒い彼女の膝に乗せられる。焼き付くように心臓が速さを上げた。
(隊長駄目です!)
(何がだ。これからじゃないか)
(それが駄目なんですよ。僕はもっと健全でいたいんですよ)
(戯けが! お前はそれでも一隊員か!)
(純潔は時として見守ることが大事かと)
(お前は借金だらけの女が体を許していないと思うのか?)
(俺は信じたいんだ! 一縷の望みに賭けても!)
(フンっ、今回は俺が引いてやる)
(た、隊長……有難う御座います)
……。
こんな夢を見た。
おやすみなさい。