21周期の愛は雌にしか来ない。 番外プラス編
真顔で読んでください。
読書が楽しいこの頃。僕は今日も本を読んでいた。二階のこの部屋には僕しかいない。
「やっぱり一人はいいなあ」
そう、最近せつねちゃんとは話をしていない。朝あっても開口一番に何か言うかと思ったが何も話さない。
「せつねちゃん?」
「……」
こんな状態だったのだ。どうしたんだろう。
ご飯を食べて少ししたら彼女はまた自室へと戻る。昨日からこれだ。連休に入ってからこんな状態のせつねちゃんに僕は悩んだ。
「きゃあああああああ」
……。隣の部屋から悲鳴が聞こえたが僕は知らない。聞こえないよ。
コンコン。
「せつねちゃん何してんの?」
あの後も聞こえたもので、僕はせつねちゃん室に行く。扉前に立ってノック。返ってくることは無い。
せつねちゃんの部屋はまだ入ったことはない。入るなとここの持ち主の息子に言えるせつねちゃんはキチってる。
「きゃああああああああ」
入るよ、とドアを開けると眼下には迷路が広がっていた。クノックスの迷宮のように入り組み、降りて少しでもそこを動けば迷うだろう。
「なんで入ってきたの!」
「なんでこんな事になったのか聞きたいよ」
飛んで来たせつねちゃん。
「ペットを飼いたかったの」
「どんなペット?」
「ペットってPETなんだよね。PET BOTTLEのPETってどういう意味だろう?」
「話を逸らすな」
「でも飼いならされてるあたしってPET?」
「せつねちゃんはいつから僕の愛玩動物に変わったんだ」
「愛玩って響きが、ね」
僕はせつねちゃんに吊らされて空中を移動する。時々聞こえる声はペットの声だろう。
「あれがペット」
牛の角が生えたおっさんがそこには2体いた。僕には理解できない。これがPETなら、もっと金持ったおっさんを飼いならせよ。
「そもそも牛なんて雄は要らないよ。今は人工授精ができるんだからさ」
「雌なんて作ってないよお」
作るってなに。
「作るんだよ。町に狩り出て」
「還してきなさい」
「えー」
せつねちゃんはこの太った牛と筋肉質な牛で何をしようと思っているんだ。
……まさか、食うきなんじゃ?
「まさか食べるの?」
「食べないよ、不味いし」
「じゃあどうして」
「町に流そうかな、ってね」
「駄目だよ! 犯罪ものだって」
「こいつら生殖本能しか持ってないから大丈夫だよ」
だからそれ犯罪だって。
そんな考えも他所にせつねちゃんはエロゲーよろしく、そんな事を言ってのける。
「意志統ベル理、空間サヘモ」
この2年後に企業を成功させたらしい牛野郎をニュースで見たせつねちゃんは、また自室で他の生き物を血眼で造り始めるのだった。
*
「ククク。待っててよ。せつね」
そんな僕らを外から観察する少女がいるとはこの時思わなかった。
次号! せつねちゃんとは正反対の魔法少女が現れる!
「これでヒロイン候補が増えるねサイフ」
「僕の名前まだ出てないんですが」
朝のアニメを見ると学校に遅れるのはなぜなのだ。僕は腹痛を装って学校に向かうのだ。
おやすみなさい。