5円は生と性と死をわけるアイテム
この作品での誹謗中傷はご褒美です。
最近のせつねちゃんは貯金にハマっていた。5円玉をお小遣いとして僕から徴収する彼女は鬼の形相で豚の貯金箱にコインを入れていた。
「せつねちゃんは貯めてどうするの?」
「核爆弾でも作ろうかなって」
軽々しくそんな言葉をするせつねちゃん。アタマオカシイや。
「人が死んじゃうからやめてよ!」
「だってあたしの臓器を売っても返せない金額まで昇ちゃったんだよ?」
なんかダークな話になってる。せつねちゃんの借金話なんて聞きたくないよ。
「せつねちゃん。もっと何かないの? 欲しい物とか」
「いや、金有ったら何でもできるっしょ」
魔法使いが言っちゃったよ! それ一番言ったら駄目だろう。
「買えないものもあるじゃん」
「あんたは本当に善意であたしを居候させてくれてるの?」
そこ聞いちゃダメだって。話が続かなくなるから。
「そ、そうだよ」
「それなら。もしあたしが他の男の子連れてきて一緒にここで住んでも大丈夫?」
「そんな回りくどい愛はいらないよ」
なら、と僕はせつねちゃんの願いを一つを聞くことにした。僕で出来る事でと念を押したから大丈夫だろう。
「目をつぶって」
なんだろう、この感じ。いつも以上に異常なせつねちゃんを見た事が無い。
このまま何もなければ間抜けなだけだったが僕は驚愕する。
(!?)
唇に感触があった。柔らかな感触。目を開けると頬を赤く染めて目を瞑る整えられた小さな顔があったのだ。驚きに離れようとするも抱きしめられていて離すことが出来なかった。いや、出来たが僕は震える彼女の手を解くことはしなかったのだ。
口内へと侵入する自分の物とは違うソレは僕を快楽へと導く……。
(なんだよこれ……コイン?)
絡みつく舌と共にコインを喉の奥へと彼女
の口から移動する。彼女の潤沢な瞳はうつらうつらとし、潤いを帯びた唇からは糸が引いていた。
僕はコインを飲み込んでいた。
「最後にやっちゃう?」
え。本当に。
「うん」
「死ヲ決断シ、裁断ノ華」
その場でいきなり僕の腸が破裂音と共に吹き飛ぶ。その勢いで拡散するように弾けた。
血しぶきの中でせつねちゃんは悲しそうな顔をする。
「……せ……」
僕の意識は落ちて行った。
「って、なんだよこれ!」
「爆弾」
「そんな事はわかるよ。なんで僕生きてんの?」
「魔法」
僕はとんだ爆弾を盛られた。次の日、何故か昼食時に大量出血して病院に搬送されるのだった。
おやすみなさい。