90円の未来
真顔で現実よりも興味を装わないものを読めば現実感が沸くかもしれない
「なあ何でお前も帰ってんの?」
「今日、あたしは家を失ったの」
魔法で返済金額が上限を超えて家を失ったと言うがこいつアタマオカシイ。
「おい魔法ジャンキー。まさかとは思うが僕の家に来るつもりなのか?」
「あたし家ない。お金も無いもの。あたしにどうしろって言うの!」
「知らないよ!」
つまり住まわせろ、らしい。
僕は家の一部を貸せるほど心の広い人間ではない。
「あたしの事好きにしてもいいのに……」
自分で美少女と自負する魔法ジャンキーせつねちゃんは美少女なだけに腹立たしいものだ。これが常々見かける後ろは凄く可愛いのに前を見ると……なら文句の一つや二つは容易かったのに。
「僕は嫌だ! 知らない女の子を家に入れるなんて恥ずかしいよ」
「そこかい!」
突っ込まれた。一番突っ込む所が多い子に突っ込まれるなんて、僕は生きていけないよ。
卑猥だと思った人は回れ右しよう。
「って、着いてしまったけど約束は守ってもらうからな」
僕がせつねちゃんと取り決めた約束は一つだ。魔法を家で使うのは禁止、それだけだ。
「ちょ、おい!」
一瞬にして僕の家族は消えた。
「大丈夫だよ。海外転勤というベタな手法に物語を変えただけだから」
なんてスマートな言葉なんだ。お留守番サービスもザラじゃない。
90円で僕の親の未来がこの日変わったのだった。
作者のG行為です