第7話 悪夢と新たな始まり
ちょっとグロいです。
……ここは、……何処だ。
気付いたら俺は、真っ暗な空間の中にいた。周りを見渡して見たが、どうやら真っ暗な空間、ではなく、真っ黒な空間のようた。何故なら自分の体がはっきり見えからだ。
「何で、こんな所に……?」
つい誰もいない空間に疑問をぶつけた。もちろん返事は無い。
そこで俺ははっ!とする。
そうだ!皆は、あれからどうなった!?
「誰か!誰かいないのか!?」
真っ黒な空間に1人叫ぶ。すると、くぐもった呻き声が聴こえてきた。
「そこにいるのか!?今そっち……に……。」
その正体を見て俺は喋れなくなった。いや、俺の動作すべてが止まった。
「おに……ちゃ……。」
そこにいたのは、血だらけになって力無く倒れている妹のヴェルだった。
「あっ……ああ……。」
「くる…し……にぃちゃ……。」
ズルズルとヴェルはこっちに来る。ヴェルがこっちに這い寄る度にヴェルから伸びた赤黒い紐のような物がズルズルと伸びていく。
「ああ……あ……。」
「お……ぃ……ゃん……。」
それでもお構い無くヴェルはこっちに這い寄って来る。
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
もう限界だった。俺は急いで後ろに走り出した。
何で、何でヴェルが!ヴェルはヴェネと一緒に……。
「!?」
走ってる途中『何か』に足を引っ掛け、転んだ。
「いったい何が……。」
そこにあったのは動かなくなったヴェネだった。
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
またも走った。もう何処をどう進んでいるのか分からなかった。ただただ怖くて走った。
走ってる内にふと父さんの後ろ姿が見えた。
「父さん!!」
俺は父さんの所に走った。もう父さんしか頼る人がいなかった。
「父さん!!父さ……ん。」
確かに父さんだ。でも父さんは母さんの死体を抱きしめていた。
「レクサス……か。」
不意に、俺の存在に気付きこっちを向いた。
「……。」
俺は息を飲んだ。父さんは両目とも血が出ていて目を閉じている、極めつけは片腕がぞっくりと無くなっていた。
「レクサス…。」
父さんはこっちにふらふら近付いて来る。俺はあまりの事に動けない。父さんは手探りで俺の頭を撫でると俺に笑顔を見せた。
「レクサス…。残念だが俺と母さんはもう駄目だ。せめて、お前らだけでも生き延びろ。」
父さんの腕から血が滴り落ちる。
「なぁに、心配する事はねぇさ。お前は、」
やめてくれ。
「俺の宝だからな。」
「ああああぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うわっ!?ビックリするわ!!」
…………。
「へっ?」
俺は周りを見渡す。そこは真っ暗な空間でも真っ黒な空間でもない。見知らぬ部屋だった。
そして俺の寝ている隣にいる人を見る。見た感じ大体俺と同い年の子供に見える。顔は……フードを被っていて見えない。
まぁ、それはとにかく。
俺は溜め息を吐くとボフッと倒れた。
「……夢落ちかよ。」
そしてまた溜め息を吐いた。けれど今度の溜め息は安堵の溜め息だった。