第6話 気紛れでチート
今回は長めです。
さて、今俺は猛烈驚いている。その理由は俺のステータスだ。
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名前/レクサス・バルディス
種族/人間
性別/男
Lv/5
HP/350
MP/∞
魔法属性【火・水】
魔法
ファイアボール・ヒール
装備
頭/無し
胴体/布の服
腕/左腕
《亜空間の腕輪》・《魔力隠蔽の腕輪》
右腕/無し
手/左手
無し
右手
無し
腰/皮のベルト
足/黒染まりの脚甲
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まぁ、所々つっこみたい所もあるが、一番の疑問がこの『MP/∞』だろう。
何故レクサスがこの所だけチートなのかと言うと、製作者いわく、この『パルティステの論』を作る最初の段階では、レクサスは勇者の仲間、としてのポジションだったのだ。
でも制作途中で、結局序盤で死ぬ事になり、このレクサスを気に入っていた人がどうせ死ぬからといった遊び心でレクサスのMPがチートなのだ。
レクサスは最初から最後まで、魔法が使える事も、自分のMPがやばい事も、知らずに死ぬからな。
それはともかく好都合。HPは少ないが、MPはやば過ぎる。これでいよいよ、俺の生存フラグが立つ。
俺は今、教室の自分の席に腕を組んで背もたれにもたれつつ、目を閉じている状態だ。
俺の耳には昔からの友達(レクサスの記憶では)の燥ぐ声や歌声、欠伸まで聞こえてくる。それを聴いた俺は複雑な気持ちだった。
……俺だけが、無事に逃げれる。
ここにいる奴らを助ける事は出来るが、俺はやらないだろう。リスクが高いのだ。確かに俺は[亜空間の腕輪]の力によって空間魔法を使える、そのうえMPは∞だ。
でも悲しいかな。空間魔法は使えても使いこなす事は出来ていない。例えどれだけいい武器をてに入れても、使いこなす方が駄目なら武器は鈍らと化す。俺は戦争何て見た事はあっても体験した事が無い。どうしても襲撃に巻き込まれた状況で、移動したい場所の事を思い浮かべて空間魔法を使い移動する。っといった事を落ち着いて出来るとは到底思えない。
―――だから。
俺はゆっくりと席を立つと教室から出ていく。
途中、隣の席にいるレグルスから何処に行くと聞かれてトイレに行くと誤魔化す。そして俺が人気の無い場所に辿り着くと、唐突に火事でなるようなカンカンとした音が鳴る。
これは魔物が来た事を皆に知らせる為に『誰か』が鳴らしているのだ。
―――プルーバ
多分今鐘を鳴らしているのは……。
すると、ドクンッと心臓鳴る。まるで自分の心臓とプルーバが鳴らしている鐘が同調しているように……。
プルーバ……、よく俺と話たり、たまに魔法を教えてくれたりしたな……。
―――見捨てるのか?
シャリー……、花屋の看板娘で怪我した時に、よく治療してもらってたな。
―――見捨てたらあの笑顔は2度と見れないぞ?
パーリシャ……、俺の幼馴染みでよく砂遊びをしたな…。俺よりも2歳年下だから何かと遠慮してたっけな……。
―――死んだらもう2度と会えない。
……父さん……。
『レクサス!お前は俺の自慢の息子だ!だからもしも俺が死ぬ事があったら、そん時は俺の代わりに家族を守ってやってくれ!なぁに、お前なら大丈夫だ!なんせお前は、俺の宝だからな!』
―――ミンナシヌ。
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
気付いたら俺は、何故か叫んでいた。
その時、自分の叫び声と共に、自分とそっくりな声が脳内に直接響いた。
《称号》を獲得しました。
【無意識的な規格外】
次回、レクサスはどうなるのか?まったく考えてません。