第5話 襲撃の前の静寂
俺は今、とても気分が良い。その理由がこれ、[亜空間の腕輪]。一言で言えば『知っている所なら何処にでも行ける。』
そして俺は、『パルティステの論』を10周した男だ。この俺に知らぬ場所など無いに等しい。
この2つが組み合わせれば、全方位移動可能になるのだ。だから、魔物の襲撃?はっはっは!余裕余裕!!バッチこい!って感じだったのだが、
今日は12刻の6限目。最初のイベントが起こる限だった。
通称『お坊っちゃんの品定め』
嫌なイベントの一つだ。そのイベント内容は、王都からわざわざこんな貧相な村までやってきて、コレクターなお坊っちゃんが村人から珍しい物を半強制的に奪い、終いには伝説の剣『ファルセス』を抜こうとするが結局抜けずに暴れ回ってから帰るという胸糞悪いイベントだ。
ぶっちゃけどうでもいいイベントだと思っていたが、ふと、思い出した。
俺の腕につけている[亜空間の腕輪]の事を。これに目をつけられたら面倒だな。という事で、学校を休んで家に閉じ籠ろうとしたら親に叱られて、今教室の自分の席に座っている状況である。
腕を組んで背もたれにもたれつつ、目を閉じてどうしようか考えていたが、簡単な事に気が付いた。
これ、空間魔法を使ってお坊っちゃんとその付き添いをどっかに捨てたら良いんじゃないの?ていうか、俺を空間魔法で隠したら良いんじゃないの?ていうか、後6限で魔物の襲撃が始まるから最初ので大丈夫じゃないの?
……ていうか、もうやっちゃたんじゃないの?
と、まぁ魔物の襲撃までに、出来るだけの事はやった。例えば、[亜空間の腕輪]があった【深淵と静寂の迷宮】にあるアイテムをとったり、後、イベントで、王都からやって来た魔術師がヴェルに王都の魔術学園にスカウトして、その付き添いのために、ヴェネと母さんが王都に行ったり、後レグルスとレイラが仲直りしたり、本当に色んな事があった。
そしてとうとう明日、チュートリアル終了のお知らせ。『魔物の大規模進行』が世界中で起きるのだ。布団を頭から被り、明日の不安を感じながら、寝た。
とうとう次回、魔物の襲撃が始まります。