第4話 現実とゲームの境目
ここまで読んでくれてありがとうございます。
「おにいちゃん!遅いよ!」
っと言ってくるのがもう一人の妹ヴェネだ。
ついでに、最初に俺を起こしてくれた少女だったりもする。
「すまんすまん、遅くなって。」
そう言いながら俺は学校に入った。
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学校、ていうか寺子屋と言った方が分かりやすいかな?もちろんポール『村』だから子供が少ない事少ない事、村全体の子供の数が35人という丁度一クラス分の人数しかいない。
取り合えず自分の席に座ると、隣の席にいる男子、名前はレグルスが話かけてきた。
「お前らいつも仲良いよな。」
「まぁな。」
「羨ましいぜ。」
というのもレグルスの双子の妹、名前はレイラとレグルスは兄妹仲が悪いのだ。
しかも魔物の襲撃によってレイラは死ぬ事になる。
最後の最後まで仲直り出来無かった事に、レグルスは深く後悔し、やがてレイラの墓(レグルスが魔物の襲撃が終わった後に作った)に魔王への復讐を誓うのだ。
『パルティステの論』は多少暗い部分もある。俺はそこも好きだったが、現実だったら嫌すぎる!!
「だったら、レイラと仲直りしたら良いじゃねぇーか。」
俺は椅子の背もたれにもたれ掛かりながら言う。
「それが出来たら苦労しねーよ。」
レグルスはそう言うと溜め息を吐いた。
「苦労しろよ、今仲直りしなけりゃ絶対後悔するからな。」
俺は天井を眺めながらぶっきらぼうに言った。
「……うん、そうだな!帰ったらちゃんとレイラと仲直りするぜ!」
「あぁ、絶対にそれが良い。」
「それじゃあ授業を始めるよ♪」
手を叩きながら先生が入って来た。
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「1干支前に起きた、伝説の勇者ベルシィストは……で……ということを、」
先生が本を片手にペラペラ喋っている。
どうやら授業というのは魔法や歴史、数学や国語など、あと科学の事をこっちの世界では現学(現象学習)と言って、木を燃やしたりなどのあくまで現象などを学んだりしていた。
「やれやれ、さっさと終わらないかな。」
俺は小声で呟いた。
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やっと、学校が終わり早速『あれ』に取り掛かった。
『あれ』というのは『パルティステの論』のゲームにある「裏技」の一つ、[壁抜け空き瓶式]通称【一方通行】の事である。
この[壁抜け空き瓶式]は文字どおり、壁抜けの「裏技」である。
もちろんゲームには技などの動作が決まっている。
例えば、横跳び回避。バク宙。前転。これらを使った裏技である。
まず草に向かって空き瓶を振る。(ゲームの中では何かを捕まえる動作)それを3回繰り返すと、今度は壁に向かって空き瓶を振ると、何故か壁に手を突っ込んだ状態で動作が止まる。その時に壁に向かって前転。結果壁を抜ける事が、出来るのだ。
所で何故【一方通行】と呼ばれているかというと、ダンジョンの中では草が生えていないから行く事ができても戻る事が出来ないという事態が発生する事が多々あるのだ。
とにかく、それを早速やるために、俺はある所に向かっている。そこは隠しダンジョンの一つ、【深淵と静寂の迷宮】だ。
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「やっとついたか。」
森を抜けた先にある危険地帯。そこに今俺はいる。俺の目の前にあるのは不気味な建物。そうダンジョンだ。俺はここにある秘宝を取りにきたのだ。
「さてと、早速やるか。」
出来るのだろうか。
ここはゲームだ。ゲームだけど、今は、
『現実』だ。
もしかしたら―――
「っていかんいかん。」
出来るに決まっている。出来なければ、魔物の襲撃時に殺される。
俺は手にある空き瓶をふった。
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「ただいま~。」
「あら、遅かったわね?何処に行ってたのかしら。」
「んー、ちょっとね。」
部屋の扉を閉めて服の袖を捲る。
「ほら、出来たじゃないか。」
そこにはしっかりと、秘宝[亜空間の腕輪]が腕についていた。
秘宝[亜空間の腕輪]は、簡単に言うと職業にも関係なしに空間魔法『だけ』使えるように、なるチート装備です。知っている所ならダンジョンの中からでも移動できて、持ち物を空間の中に無限に入れる事の出来る優れものです。また、知っている所の景色をそこにいなくても見る事が出来ます。主人公はこれを使ってダンジョンから出る事が出来ました。