第1話 主人公『ではない』
「お……ちゃ…。」
何処からか声が聞こえる。
「おに…ちゃ…。」
その声が徐々に大きくなる。
「おにいちゃん!!」
「うぉ!!」
びっくりして飛び起きた。
「もう、やっと起きた。…お母さんが御飯だってよんでるよ。」
「んぁ~んん。…ありがと、すぐ行く。」
目を擦りながら周りを見ると、
「何処だここ?」
知らない部屋にいた。
ん?何処だここ?何でこんなところにいるんだろ?……あっ!そういえば転生とかなんとかあったわ!
昨日?の事を思い出していると横から可愛らしい声がきこえた。
「まだ寝惚けてるの?おにいちゃん。もー、僕もう行くからね?ちゃんと降りてきてよ。」
声がきこえた。方を向くと扉の向こうに髪の短い少女?の後ろ姿が見えたて、その後に階段を降りる音がきこえた。どうやら俺を起こしに来てくれたようだ。
んー、取り合えず腹がへったな。…まずは腹ごしらえだな!
俺はゆっくり布団から出ると扉の方に歩いて行こうとしたが、
「さぶ!!ってことは今は冬か?てかさぶ!!うぅー、上着上着。」
あまりの寒さにまず上着を探す事にした。
「おー、あったあった。」
上着を羽織って階段を降りる。
それにしてもさっきの部屋、見た限りじゃ電気製品が一つも無かったな。…豆電球も無いって事は科学は全然進歩して無いのか。
「おっ、こっちから旨そうな匂いがするな。」
旨そうな匂いがする方に歩いて行くと、そこにはでかいテーブルと何人かの人がいた。
「あら?やっと起きたの『レクサス』。」
と、テーブルに食器を並べながら『母さん』が言う。
「おっ、やっと起きたか『レクサス』!相も変わらずお前は朝に弱いなー。父さんにそっくりだ!」
と、料理の味見をしていた『父さん』が俺を見て言う。
「ほんと、おにいちゃんたらお寝坊さんなんだから~。」
と、『妹』の『ヴェル』が頬を膨らませながら言う。
……うん、確実にレクサスとしての記憶を受け継いでるな。ていうかレクサス?おいおい、それって、
どうやら俺は、主人公の『仲間の一人』に転生したみたいだ。