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偽りの騎士姫  作者: 惠
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9

その後、訓練場はちょっとした騒ぎだった。

始めに言っておくが、ケイダスは消して弱いだけではない。

貴族の家に生まれた男子は必ず剣の指導を受けるし、ケイダス自身も訓練生の中では決して弱い方ではない。

だけれども…レイヴィンの方が遥かに実力があった。

模擬試合なのでもちろん模擬剣なのだが、始まってから一瞬で勝負がついた。

レイヴィンの剣は一度もケイダスの剣と交わることなく、ケイダスの横脇腹にはいった。

速いっ!

リルフィもあまりの速さに驚く。

一瞬で横に吹き飛ばされたケイダスに一部の訓練生たちは何が起きたのかわからない者もいたようだった。

横ではいつの間にか横に来ていたシゼルが口笛を吹く。

「相変わらず一撃必殺だね〜」

シゼルは相変わらずだが他の者たちは言葉がでないようであった。

「約束だ。ケイダス=クリニーク、本日を持って騎士訓練生の資格を剥奪する。本日中にここから去るように」

レイヴィンは剣を鞘に戻しながら、ケイダスの方に視線すら向けない。

ケイダスの方はまだ立ち上がれてすらいなかった。

なんとか立ち上がったが、剣を杖にして立ち上がる様はどうみても腰の曲がったヨボヨボのおじいちゃんだった。

「ぷっ」

思わず笑い声がでそうになり慌てて口を抑える。

「貴様…僕を誰だと思っているんだ。クリニーク子爵家の僕にそんなことができると思っているのか?」

ヨボヨボのケイダスおじいちゃんなのに言うことは偉そうだ。

レイヴィンは特に何か言うわけでもなくケイダスを一瞥しただけだった。

「ケイダス=クリニーク。残念だけど、君は今日で訓練生としての権利はなくなったよ」

間に入ったのはシゼルだった。

「今、君の指導官はレイヴィンだ。指導官が決めることは絶対だ」

「そんな!!」

シゼルの言葉にケイダスは先ほどまでの自信はどこへやら、崩れ落ちるように膝をついた。

「クリニーク子爵には私から連絡しておこう」

騎士になる道を断たれたケイダスは聞いているか聞いていないかわからないような状態だった。

御愁傷様。



「五班整列!」

その呼び声とともに訓練生は隊列を作る。

ケイダスを除くと9名。

元々60名いて、途中脱落者が数名いた為、五班は人数が少なかったのだがケイダスが抜けて更に少なくなってしまった。

「余計なことに時間を使ってしまったため時間がない。簡単に説明するのでわからないことがあったら随時質問するように」

そう言っていたがレイヴィンの説明はとてもわかりやすかった。

要は残りの半年で城の警備や外での野外訓練などより実戦に近いところでの訓練になるらしい。

要は色々な所を試してみて、自分の志す道を考えろということだ。

そして最後は卒業試験も兼ねた課題がグループごとに出されるらしい。

その課題が何なのかは教えてもらえなかったが…。

五班は最初は城内の警備にあたることとなった。

本格的な勤務は明日からということで、今日は城内の案内のみで終わった。

今まで城に入ったことのなかった殆どの訓練生は初めての城内に目を輝かせていた。

「最初から城内の警備だなんて楽しみだね」

戻ってきた寄宿舎でサシェはやっぱり楽しそうにいう。

「サシェは近衛隊を目指してるんだっけ?」

城内警備を主に担当する近衛隊は花形職なので結構人気があったりする。

サシェの実力と容姿であれば望めば手に届かないということはないだろう。

「いずれは伯爵家を継がなければいけないからね。色んな権力者を近くで見ることができる近衛隊が一番の目標かな」

流石は伯爵家嫡子。

ちゃんと色々考えているんだなぁ。

「サシェなら絶対なれるよ!」

真面目なサシェはついつい応援したくなってしまう。

「ありがとう。そういって貰えると嬉しいよ」

はにかむサシェはめちゃくちゃ可愛い。

体格も自分より大きい年上の成人男性に使う言葉ではないのは百も承知なのだが、笑うと目尻が下がると一気に少年のような雰囲気になるのだ。

「リルフィはどこの所属を目指してるの?城内案内されてる間もあまり興味がなさそうだったけど…」

う。城内に全く興味がなかったのバレてましたか。

実は幼い頃から城には頻繁に来ていたので今更珍しいものなんか何もありません、なんて口が裂けても言えない。

「あ、あんまり煌びやかなの苦手だし、興味ないかなぁ。所属とかもまだどこがいいとか決めてないんだ!」

「城内に興味がないなんていうなんてリルフィくらいだよ。ま、所属に関してはゆっくり考えたらいいんじゃないかな?」

優しいサシェの言葉に胸が痛む。

本当はどこにも所属なんてできないのだ。

私の自由な時間は訓練が終わるあと半年で終わりだ。

女性の成人年齢は18歳だ。

別に成人と共に嫁がなければいけないという決まりはないが騎士として活躍することはないだろうと確信している。

「明日から頑張ろう、サシェ」

今の環境が自分にとって心地よいから…半年後手放せるか…不安になる。

今日はもう一話ぐらい更新できるかな…?

明日かな?

頑張ります!

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