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朝、リルフィが食堂に行くと昨日の興奮冷めやらぬ訓練生たちが騒いでいた。
「おはよう」
先に来ていたサシェが手を振る。
サシェの向かいに座るが辺りの煩さの方が気になった。
「おはよ。何この騒ぎ?まだ昨日の続き?」
「いや…それもあるけど、どうやらゲイン指導官が南の砦に派遣されることになったらしい」
「南の砦って最近野盗やらが多くて治安がものすごく悪いっていう?」
砦は東西南北の四ヶ所に設置されていてこの国に入国や出国したい場合はその砦を抜けなければいけない仕組みになっている。
その中でも南の砦と北の砦は今警戒体制が敷かれている場所である。
南の砦一帯は深い森で覆われているため野盗たちの根城になっているため、北の砦は隣接する国が不穏な動きがあるため要警戒地域になっている。
「なんでも急遽決まったらしいよ」
何か大変なことでも起きたのかな?と首を傾げるサシェを見ながら返す言葉がなかった。
十中八九シゼルの仕業だろう。
「へ、へぇぇぇ」
そう返すのが精一杯だ。
「それより早く食べなよ。相変わらず綺麗に食べているのは良い事だと思うけど、訓練始まるよ」
時間をみると思っていたより時間がなく急いで食べた。
正確にはリルフィの中で、という言葉が付くほどのゆっくりペースであったのだが。
訓練場に着くともう殆どの訓練生が集まっているようだった。
「皆、ヤル気がみなぎってるって感じだね〜」
サシェは何故か嬉しそうだ。
「ねぇねぇ、リルフィ。エヴァンス指導官って強いのかなぁ?見たことないよね」
「私も昨日初めて見た方よ」
「他の指導官はみんな有名な方なのにね」
サシェの言うとおりだ。
一班指導官・シゼル=クロシアル。
クロシアル公爵家三男。
蒼騎士団に所属。
騎士団に入り数年で国で屈指の剣の実力がありと言われている…らしい。
言い切れないのはリルフィの前ではただのシスコンでしかないからだ。
二班指導官・ナカバ=カーゼル。
第二騎士団をまとめ上げる隊長。
頼り甲斐のあるお兄さん的な感じで、貴族出身でもないため市井で人気がある。
三班指導官・アルベルト=キイゼイ。
キイゼイ男爵家嫡子。
キイゼイ男爵が高齢ということもありもう直ぐ男爵家を継ぐと専らの噂の今結婚したい相手ナンバー1らしい。
近衞隊副隊長の実力を持つがまだ30歳にもなっていなかった筈だ。
近衞隊は王族や客人の警護にあたるため見た目が良い者が選ばれるらしい。
ちなみに彼は次兄の友人であり、何度か顔を合わせた事があるためリルフィはあまり関わりたくない存在だ。
四班指導官・ガルセフ=レイヤード。
50歳を越えたばかりの彼は今までの戦で幾つも功績を残してきた。
流石に一線からは退いたが今でも指導官として多くの騎士訓練生を育てている。
指導官は皆名の知れた騎士たちばかりだったのだが…レイヴィン=エヴァンスという騎士の名は初めて聞いた。
他の五班の訓練生たちも同じようで他班の指導官を羨ましがっているものが多かった。
周りが騒がしくなってきた。
どうやら指導官たちが来たみたいだ。
リルフィたちも慌てて隊列を作った。
名前が多すぎて間違えそうです…。
間違えてたらコッソリ教えてください(笑)
亀の歩みばりの進み具合でごめんなさい。
なるべく更新できるように頑張ります!