《魔法使いの杖》(アビスツール)
■《魔法使いの杖》
正式名称「Absolute-configuration Brain-machine Interface System Tools(絶対操作を行うための脳と機械のインターフェースシステムツール)」 略称「ABIS-TOOL」
ブレイン-マシン・インターフェースの一種で、《魔法使い》の脳が発する信号を読み取り、外部への出力、あるいは逆に外部からの情報を脳に入力する電子機器の総称。
『魔法使い』には『魔法の杖』が付き物ということで、それになぞって『杖』と称することがあるが、別に杖の形状をしている必要性はない。
ただし、ある程度の大きさが必要であると同時に、携行性も必要であり、更に《魔法使い》と呼ばれる人々の神秘性や、儀仗的な形状も考慮をすることがあり、現代軍事学の常識からは外れる、装飾的な中世の武器形状をしていることが多い。
あらゆる形状があるが、共通している機能特徴は下記の通り。
○中枢部
パソコンのマザーボードに当たる部分。一緒にGPSを内蔵。
ブラックボックス化がされており、分解などは不可能。
○発信部
《マナ》への動作プログラムと、非接触によるエネルギー供給を行うための部位。
一斉広域型の電波発信と、個別指向性型のレーザー発信と、大まかに二系統を搭載。
○電源
呼んで字の如くバッテリー。
大容量の一次電池が塔載されており、その保有電力は原子力発電所の日当たり発電量にも相当。
アビスツールは、使用者の生体情報に合わせて設定されているため、別の誰かのものを使用することは不可能。所有者以外の者が扱う場合、生体情報を設定し直す必要がある。
電子機器であるために、その製作には、重工業をメインとした従来の、いわゆる『軍需産業』とは離れ、電気機器メーカーが主体となっている。
部品の中でも特に重要なバッテリーとマザーボード部分は製法は秘匿されて、一部企業の独占状態になっている。
尚、《魔法使い》が人の形をした軍事兵器として認知されることから、アビスツールも兵器として認知されがちだが、条約などでは『軍事利用も可能な電子機器』と規定されており、正式には兵器としては扱われていない。
なので、部品の輸出入には厳しい審査があり、また大変高価であるが、名目上では一般人が手に入れることも不可能ではない。
△▼△▼△▼△▼
【十路のアビスツール】
○備品番号:なし
○登録名:八九式小銃・特殊作戦要員型
○分類:軍事用/次世代戦術兵装
○形状:アサルトライフル (銃剣付き)
○開発者:陸上自衛隊開発実験団装備実験隊第8実験科
○整備責任者:野依崎雫
豊島重工業社製、自衛隊の制式採用装備の、独立強襲機甲隊員・堤十路専用カスタム品。
本来の八九式は樹脂部品を多用し軽量化されているのに対し、格闘戦も想定して頑丈に作られている総金属製。バレル延長も行われているため、従来のものよりも遥かに重い。また付属している銃剣も、通常の短剣としても、装着して切ることも想定した作り方をしているため、通常の長さの倍以上で装着部の形状も大幅に異なり、オリジナルの雰囲気を残しながらも、全く別物と呼んでいい仕様になっている。
十路が総合生活支援部に入部してから作成されたものではなく、(本来そんなことはありえないが)入部前に陸上自衛隊から供給された装備をそのまま使用しているため、他の部員たちの装備とは一線を画す純正現代兵器形状。そのため安易に人前には出せないので、普段は携行していない。
《魔法使いの杖》ではあるが、5.56mm弾を使用するアサルトライフルとしても使用可能。本体内部にもバッテリーを塔載しているが、弾倉に追加バッテリーを接続することが可能。
○備品番号:XX-06-002
○登録名:Bargest (バーゲスト)
○分類:軍事用/特殊作戦対応軽装輪装甲戦闘車両
○形状:オートバイ(ストリートファイタータイプ)
○開発者:リヒト・ゲイブルズ
ゲイブルズ木次悠亜
○整備責任者:ゲイブルズ木次悠亜
堤十路(日常整備のみ)
詳細は『キャラクター/イクセス』を参照。
△▼△▼△▼△▼
【樹里のアビスツール】
○備品番号:XX-04-003
○登録名:Newly Extension Weapon System (新式拡張型武器システム)
○分類:民生用/次々世代戦術兵装
○基本形状:長杖
○開発者:リヒト・ゲイブルズ
○整備責任者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
普段は人前で出しても問題ない、大きな電子部品を結合させたような長杖形態だが、拡張部品により軍事用に近い機能特化型として機能する。
●拡張部品/大剣『Saber tooth』(剣歯)
長さ1.5m、幅30cmほどの巨大な片刃。
接続することで白兵戦闘特化形態であるロンパイア(本来ならば、それぞれ1mほどの長柄と刃を兼ね備えた、超耐熱常磁性合金製の白兵武器。日本では短い薙刀である『長巻』に近い)となる。
拡張部品単体でも使用可能。ただしあまりに大きく、持ち上げるのも一苦労なので、オートバイに塔載した拡張装備として使用する。
刃を細分化させて電磁加速させて、金属粒子を超音速で衝突させることで目標を切削・切断する、高々出力不定形電磁流体カッター《雷獣裂爪》に使用。
●拡張部品/無反動砲『Roah Cards』(咆哮帯)
長さ1mほどの、曲げた金属板を重ね合わせて筒状にしたような砲。
接続することで射撃戦闘特化形態であるタンネンベルグガン(世界最初期の銃。銃底はなく、杖の先に銃身を付けた形状)となる。
拡張部品単体でも使用可能。その場合は通常の無反動砲と同じような使い方。手に持って使うことも、オートバイに塔載した拡張装備としても使える。
複数の仮想炉でプラズマを作成し、無理矢理圧力をかけて一体化させることで、物質化直前の高密度状態のプラスマ球を電磁投射する《雷獣咆轟》に使用。
バスターランチャーではない。
●拡張部品/盾『Untouchble pelt』(触れざる獣皮)
径三〇センチほどの六角形構造体を七つ並べた、人工衛星のアンテナモジュールのような追加装甲。
接続することで、防御形態であるデュエリングシールド(棒術のように払いと突きができる大盾形態の儀礼武器)となる
拡張部品単体でも使用可能。オートバイに乗せたままのアーム稼動で、上下左右一八〇度程度の防御を担う可動式装甲となる。
単体でも別部品を装着可能で、攻撃の種別に応じた別の装甲性能を発揮できる。
内部には重金属単結晶を装填。
装甲である蓋を外し、重金属単結晶に高出力電子ビームを照射することで、高エネルギーレーザー科学的な多数の現象を発生させた、複合エネルギー放射で攻撃する超高強度場物理爆撃《雷獣振戦》に使用。
●拡張部品/射出デバイス『Insubordinate tail』(反抗的な尻尾)
先端に板型の出力デバイスを放射状に並べ、径には一〇センチほどの突起を三列一二本並べた、用途不明の物体。
突起の一本一本が《マナ》を装填した射出デバイスで、《魔法》を入力した後に発射することが可能。遠隔操作型のデバイスのような使い方はできないものの、通常は不可能な超遠距離での《魔法》実行、《マナ》が存在しない場所あるいは不可能な状況での《魔法》使用に使用。
接続することで、超高速移動形態であるホーリーウォータースプリンクラー(つまりメイス)となる。ただし見た目に反し、打撃武器としては考慮された造りではない。
《魔法》を装填して射出、宇宙空間にまで届く《魔法回路》を形成し、更には自然落雷が発生する電離層とも接続し、自然現象ではありえない規模の落雷を発生させる地球規模回路砲《雷獣天崩》に使用。
△▼△▼△▼△▼
【コゼットのアビスツール】
○備品番号:XX-03-001
○登録名:Hermes Trismegistus (ヘルメス・トリスメギストス)
○分類:民生用/汎用型インターフェースデバイス
○形状:装飾杖
○開発者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
○整備責任者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
長さ1.5mほどの杖。
特筆することはなく、《魔法使いの杖》という物品としては、最もスタンダードに作られている装備。
形状は宗教における権杖に近い。ただし特定的に宗教と関係がなく、イメージの問題。
○備品番号:XX-10-001
○登録名:Zosimos of Panopolis (パノポリスのゾシモス)
○分類:民生用/実用性理工学分野機能特化型デバイス
○形状:本
○開発者:???
○整備責任者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
コゼットが最初に手にした《魔法使いの杖》
発揮できる出力があまり高くないので、戦闘での使用には耐えられないが、コゼット自身の装備の整備をするために、現在でも予備として使用している。
見た目は皮の装飾がされている、大辞典のような分厚い本。分厚い表紙部分に電子機器としての機能を集約。ページ部分はフィルム状の集積回路になっており、本体から分離して《マナ》通信の補助を行う。
△▼△▼△▼△▼
【南十星のアビスツール】
○備品番号:XX-07-014/XX-07-015
○登録名:比翼&連理
○分類:民生用/白兵戦強化型汎用インターフェースシステム
○形状:トンファー×2
○開発者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
○整備責任者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
全長80センチほど、新幹線のような流線形状をしたトンファー。
二基の性能に差はなく、全く同じ。
直接殴ることを考慮し、頑丈に作られているが、その半面インターフェースとしての性能は削られているため、瞬間最高出力が平均以下の欠陥機。遠距離での使用にかなりの不安要素を持ち、初心者用の白兵距離専用装備になっている。
△▼△▼△▼△▼
【ナージャのアビスツール】
○備品番号:XX-08-007
○登録名:П-6 (ペー・シャスチ)
○分類:特殊/時空間制御特化型インターフェースシステム
○形状:携帯システム
○開発者:リリム
○整備責任者:コゼット・ドゥ=シャロンジェ
野依崎雫
大きさは携帯電話よりも衛星電話に近い、ボタン部分を含んで縦長の液晶画面が付随したような、異形の無線通信機器。
通常とは異なり、完全に時空間制御用に特化した完全専用システムを搭載しているため、ナージャが他の力学制御操作の術式を持ったしても使えない仕様になっている。
しかも操作方法も通常とは異なり、タッチパネル式で直接指で操作しなければならない。
ちなみに《魔法》不使用時でも無線機としては使用できるが、携帯電話としては使えない。カメラ機能はないが、インターネット機能とメール機能はある。
普段は左太ももにホルスターを装着し、スカートの中に隠すように装備している。
△▼△▼△▼△▼
【野依崎雫/フォーのアビスツール】
○登録名:Habetrot(ハベトロット:糸紡ぎの妖精)
○分類:補助ユニット付随ウェアラブルデバイス
○形状:服
○開発者:リヒト・ゲイブルズ
アメリカ戦略軍J7センター
○整備責任者:野依崎雫
《妖精の女王》専用に開発された装着型デバイス。バレエのチュチュのように装甲スカートが広がる、軍事用パワードスーツとは異なる独特な形状。
《魔法》を出力する発信部は体の各所に取り付けられているが、背面のランドセルユニットを形作る、四基の独立アームに取り付けられたものを武装・推進器として多用することが多い。
発信器としての機能はもちろん、高出力の人工筋肉を備えているため、見た目からは想像できない怪力を発揮するパワードスーツとしての機能も備えている。
いくつかのパーツに分かれているため、脱装着はひとりでも可能。
本来は頭部以外を覆う全身装備なのだが、普段はグローブは外し、装甲板のついたブーツも履いていない状態で、上から服を着て隠している。
○登録名:PIXY(ピクシィ:妖精)
○分類:汎用型インターフェース・クラスターシステム
○形状:金属飛行機模型(?)×多数(基本1ユニット=16基)
○開発者:リヒト・ゲイブルズ
アメリカ戦略軍J7センター
○整備責任者:野依崎雫
《妖精の女王》専用に開発された遠隔操作型の《魔法使いの杖》。《ハベトロット》を親機として、子機として扱う。
一基一基は平均的な《魔法使いの杖》よりも数段劣った能力だが、複数基をリンクさせ偵察機兼中継器として使用し、通常ありえないほど遠く離れた場所で《魔法》を発動させるのが本来の使用法。
さらにリンクさせて並列コンピューティングすることで、小型で出力が制限されている弱点を補い、高出力の《魔法》を発動させる、数と使い方の工夫で、総合的には平均より数段上の戦闘能力を発揮する。
普段は所持せず、街のあちこちに配置して、警戒網を作り上げている。
○登録名:Hazel-Nut(ヘーゼルナッツ:ハシバミの実)
○分類:半自律高高度要撃空中プラットフォーム
○形状:飛行戦艦
○開発者:アメリカ戦略軍地球規模攻撃軍団
ゲイブルズ・ベトロニクス
○整備責任者:未定
△▼△▼△▼△▼
【アイテムボックス】
部員たちが普段から装備や関連品を収納している空間/重力制御特化型の簡易型《魔法使いの杖》
常時《魔法》により内部の空間を圧縮させ、重力制御によって浮かせた状態で内部に保管しているため、見た目の体積よりも巨大なものを収納し、その重量を感じることなく持ち運びが可能。
許容体積はトータルで車載用コンテナほど。ただし細分化されており、タンスの引き出しに物を入れているような状態なので、あまりに巨大なものは入れることができない。
●十路/樹里のアイテムボックス
形状はオートバイ用追加収納ケース。十路の物は黒。樹里の物は赤。
それぞれの使用者だけでなく、バーゲストに塔載して許可した場合、イクセスの制御で開閉することができる。
また遠隔操作式無人銃架を供えており、十路の《八九式小銃》、樹里の無反動砲《Roar Cards》は、イクセスの制御により副砲として使用することが可能。
●コゼット/南十星のアイテムボックス
形状はアタッシェケース。二人どちらの物も銀色。
南十星のものは、樹里が使っていたお下がり。




