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空っぽの心  作者: ヒロ
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第8話 消えゆく希望

第8話目です。


佳奈が達也に言ったこととは…?

新キャラも登場します。

 プレゼントをあげた時には無かった重苦しい空気が流れる。もしかして、プレゼントがあまり嬉しくなかったとか…でも、さっき『ありがとう』って…俺は、この重苦しい空気の原因が何なのかわからなかった。


「たっちゃん、しばらく私に会いに来ないで欲しいんだ」

「えっ!?」


 俺は耳を疑った。会いに来ないで欲しい…? そんな言葉が佳奈の口から出てくるなんて信じられなかった。というか、信じたくなかった。


「私、考えたんだけど、こうやって会っても私は笑えないし、たっちゃんに苦しい思いをさせるから…」

「それは俺じゃあ佳奈の笑顔を取り戻せないって言うのかよ!」

「…………」


 佳奈は黙り込んで、下を向いている。初めて会った時に似ている。この状況は俺が一番嫌いだ。


「俺は苦しい思いなんてしてない。佳奈に笑顔が無くたって、佳奈は佳奈だ。俺は、そう思っている。だから…」

「たっちゃん、お願い。私もたっちゃんと会って、お話するのは嬉しいよ。けど…だからこそ、たっちゃんの顔を見ると申し訳なくなるし…何よりも私が苦しくなるんだ。ごめんね、たっちゃん」


 ここまで言われてしまったら、俺は受け入れるしかなかった。


「佳奈がそこまで言うなら、わかったよ…じゃあ、帰るわ」


 俺は全身から力が抜けた気がした。一言で表すと『終わった』。そんな気持ちだった。俺は佳奈に別れを告げて帰ることにした。いつも言ってくれていた『バイバイ』を佳奈は言ってくれなかった…。











 帰り道、俺は佳奈に何か悪いことをしたか考えていた。今日はぬいぐるみをプレゼント、先週は思い出の公園でデート。特に悪いことをしたつもりは無いが、俺の知らないうちに佳奈は傷ついていたのかもしれない…もしそうだとしたら、俺が佳奈に今日のように言われるのは仕方ない。


「はあ~」


 もう何回ため息をついただろうか。自然とため息が出る。未だに今日のことが信じられない。何でぬいぐるみをプレゼントしたんだろう…。ぬいぐるみ買うのに2時間30分かかり、せっかく買ったぬいぐるみをプレゼントした佳奈にあんなことを言われ…何て最悪な日なんだ…


「あ~イライラする!」


 俺は思い切り、前に転がっていた空き缶を蹴った。空き缶は勢いよく転がっていった。それを見ながら、俺は悲しくなった。空き缶は何かに当たって止まった。


「これ、あなたの?」


 空き缶を拾ったのは1人の女の子だ。


「いや、俺のでは無い」

「じゃあ、誰の?」

「そんなのわからん」

「ふ~ん。あなた、何かイライラしてるんでしょ?」

「へっ?」

「その顔は図星だな~」

「あなたは一体…?」

「私は田中裕美たなかひろみ。あなたは?」

「竹中達也だ」

「ねえ、何であなたがイライラしてるってわかったと思う?」

「さあ?」

「私は人の気持ちがわかるんだよ」


 彼女は笑顔でそう言った。


「まさか。大人をからかうのもいい加減にしろ」

「む~失礼だな~。私は、こう見えても20歳なんだから!」

「ああ…背が小さいから高校生くらいかと思った」

「それを言わない!」


 俺は不思議な気持ちだった。こんな偶然出会った裕美さんと話しているだけで何もかも忘れることができる気がした。


「それで何でイライラしてるの?」

「あ~えっと、まあ、いろいろと…」

「辛かったら、わたしが話を聞いてあげるよ?」


 そう言われ、俺は自然と今日のことを話していた。全てを裕美さんに話した。


「そっか。人生って何事も上手くいく訳じゃないからね~そういう日もあるよ」

「まあ、そうだけど…」

「その人は笑えないことにイライラしてるだけだって。きっとあなたのことを嫌いになった訳じゃないと思う」

「ありがとう。何かスッキリしたよ」

「どういたしまして」

「俺、そろそろ行くわ。ほんとありがとう」

「じゃあまたね。また会ったら話しかけてよ」

「ああ」


 俺は裕美さんと別れ、家に帰った。


 一方その頃…


「ふふ。いい話聞いちゃったな~。笑えなくなる病気か…はは。これから面白くなりそう」


 裕美は達也から聞いた話を思い出し、あることを企み始めていた…。

読んでくださってありがとうございます!!


佳奈と達也の心は一体どうなってしまうのか…そして新キャラ・裕美は?

第9話では、いろんなことが起こる予定です。頑張ります!

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