第6話 想い
第6話目です。
よかったら読んでください!
佳奈と達也は…?
空も夕焼けに変わり、周りで遊んでいた子供たちも家に帰ったのだろう、いつの間にかいなくなっていた。公園には俺と佳奈の2人だけになった。相変わらず佳奈は下を向き、時には泣いている。俺自身、何度も自分のことを『バカだな』と思った。けど…何故か佳奈のことを放っておけなかった。そんなことを考えている時、
「あなた、いつまでいるの?」
佳奈が問いかけてきた。
「佳奈さんが話してくれるまで」
この言葉を言った後、俺はまた自分に『バカだな』と言った。
「あなたバカじゃないの? 何で私なんかに付き合ってるのよ!」
「ああ、俺だってバカだと思ってるよ」
「じゃあ…」
「俺は佳奈さんを放っておけないんだ。何で泣いていたのか、俺は何か力になれないのか」
「見ず知らずのあなたが私の力になれる訳ないでしょ!」
「誰がいつ、そう決めたんだ? 俺は確かに佳奈さんとは見ず知らずの赤の他人だよ。だけど、こうやって偶然出会った。もしかしたら俺にも何かできるかもしれないだろ? 言ってみなきゃわからないことだってあるよ」
「…………」
佳奈は黙ってしまった。その時、再び風が公園を吹き抜けていく。そして、俺らの前に桜の花びらが舞い降りてきた。
「……じゃあ聞いてくれる?」
佳奈が重たい口を開いた。
「もちろん」
「私ね…今日、お姉ちゃんが死んじゃったの。今までお姉ちゃんとケンカばかりしてて、お姉ちゃんのこと嫌いだった。けど…お姉ちゃんが最後に言ったんだ。『佳奈、今までありがとう。絶対に幸せになるんだよ』って」
そこまで言って、佳奈は再び泣いてしまった。
「私…お姉ちゃんに『ありがとう』って言えなかった。最後まで言えなかった…」
「佳奈さん…俺、佳奈さんは何も悪くないと思います」
「でも…でも…」
「むしろ佳奈さんは幸せですよ。素敵なお姉さんがいたんですから。これから佳奈さんが幸せに生きていく。それこそ、お姉さんに感謝を伝える方法じゃないですか。俺はそう思います」
「私…生きていていいの?」
「何言ってるんですか! 佳奈さんは絶対に死んじゃダメです! きっと家族もお姉さんも悲しみますし、俺も悲しいですから」
「えっ?」
「あっ…いや、その、そういう意味じゃ…」
「ふふ。達也さんは面白い人ですね」
達也さん…? 初めて佳奈が俺を呼んでくれた。それに笑ってくれた。俺は自然と、
「俺、佳奈さんを幸せにしたいです」
と言っていた。
「…………よろしくお願いしますね。お姉ちゃんも喜ぶと思います」
こうして俺と佳奈は付き合うことになった。
「お~い、たっちゃん? たっちゃんってば!」
「あっ…何?」
「もう、何考えてたの? 何回も呼んだのに…」
「ごめんごめん」
「たっちゃん、ありがとね」
「えっ?」
いきなりのことに俺は戸惑った。
「私ね、あの時たっちゃんがいなかったら、私は生きてないと思うんだ。だから、本当にありがとう。そして…これからもよろしくお願いします」
この言葉に佳奈の笑顔は全く無い。そこにすごく違和感を感じたが、佳奈にそう言われ、すごく嬉しかった。
「佳奈、こっちこそありがとう」
俺がそう言うとあの日のように風が公園を吹き抜けていった。そして…
「桜だ!」
「うわ~きれい」
「あの日みたいだな」
「うん!」
俺と佳奈は時間を忘れて公園で1日を過ごした。でも…佳奈に笑顔が戻ることは無かった。
読んでくださってありがとうございます!!
何か夢のような話ですよね。でも、佳奈に笑顔は戻らなかった…。一体どうしたら?
第7話も頑張りますので、よろしくお願いします!