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空っぽの心  作者: ヒロ
24/25

第24話 目が覚めて…

第24話目です!


目を覚ました佳奈。駆け寄る達也と裕美。そこに待っているのは…?

 「佳奈!」


 俺は病室に入るとすぐに佳奈の名前を叫んだ。佳奈のところへと駆け寄ると佳奈は、


「たっちゃん…裕美さん…」


 と静かに言った。目を覚ましたと言っても意識はあるのだが、はっきりしている訳ではない。虚ろな感じだ。


「佳奈! 大丈夫か!」

「うん…心配掛けてごめんね…」


 俺は首を横に振る。佳奈が謝る必要なんて何もない。佳奈は何も悪くないのだから。


「裕美さん、ありがとうございます」

「佳奈さん…」


 裕美さんは今にも泣きそうだった。


「たっちゃん…私と過ごして楽しかった?」


 佳奈が突然、そんなことを言いだす。俺も泣きそうだ。


「当たり前だろ。佳奈といて、楽しくないことなんて何もないよ。全部、楽しかったよ」

「そっか。ありがとう。たっちゃんと出会って、もう2年経ったんだね…」

「そうだな」


 思えば出会って2年。様々なことがあった。


「最初は公園だったね。桜が綺麗で、たっちゃんと出会って…あの時は助けられたな~」

「助けれたのかな? 佳奈が強かっただけだよ」

「そんなことないって。それから付き合って、デートも何回も行って…」


 いつの間にか病室には俺と佳奈しかいなくなっていた。みんな気を使ってくれたのだろう。


「遊園地も水族館も動物園も海もデパートも…いろんなところに行ったよな」

「うん。デートは、いつもたっちゃんが計画してくれて…いつも楽しかった」

「俺も佳奈といれるだけで楽しかったよ」


 デートは、いつも心配だった。佳奈は楽しんでいてくれているのか、俺といて楽しいのか…今日、佳奈は言ってくれた。俺は、すごく嬉しかった。


「でもね…楽しくないデートが2回だけあったんだ。1回はデート中にデパートでたっちゃんが男の人に刺された時」

「あの時は佳奈を守ることでいっぱいだった…」


 俺もあれは焦った。まさか刺されるなんて思っていなかったから。


「たっちゃんが守ってくれたのは嬉しかったよ。でも…すごく心配で、苦しかった」

「ゴメンな」

「もう1回は、たっちゃんとケンカした時」


 あれは半年くらい前だろうか。デート中に次に行く場所でケンカをした。結局その日のデートは、そこで終了。


「あれから1週間くらい連絡も取らなかったよな…」

「絶対にたっちゃんに嫌われたと思って…」

「俺も耐えられなくなって、メールした。佳奈がいなきゃダメだなって」


 あの1週間は俺の人生の中で1番、苦しかった1週間と言えるだろう。


「私も思ったよ。たっちゃんがいなきゃダメだなって」

「たくさんあったな~。2年って長いようで短いよな」

「うん…。そうだね」

「佳奈、ありがとう」


 俺がそう言うと佳奈は今までになかった最高の笑顔で、


「たっちゃん、本当にありがとう。これからも…」


 そう言い、俺に手を伸ばそうとする。そして…佳奈は静かに目を閉じた。


「佳奈…? 佳奈! 佳奈!!」


 俺は佳奈の身体を揺すりながら、何度も大切な人の名前を叫ぶ。嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! こんなの夢に決まってる! そうだ、夢だ!


「達也くん…」


 俺の声が聞こえたのか裕美さんと担当医師が病室に入ってくる。すぐに佳奈は集中治療室へと運ばれた。


「佳奈…佳奈…」


 俺は立ち上がれなかった。病室で泣きながら、目を覚ましてくれることを信じて名前を呼び続けた…。












 佳奈が集中治療室に入ってから、1時間。佳奈は亡くなった。俺は医者から、そのことを告げられたが何も言う気にはなれなかった。病室で1人、現実を信じないで佳奈の名前を呼びながら、泣き続けた。いくら泣いても、名前を呼んでも、佳奈が帰ってくることはない。だけど、俺は…


「な…何で…佳奈…佳奈…」


 『佳奈が亡くなった』そんなこと信じれるわけがなかった。まだ俺は佳奈を幸せにしていない。幸せにするって約束したのに…佳奈は最後に笑ってくれた。2年間で最高の笑顔だった。せっかく…せっかく笑顔が戻ってきたのに…


「…………」


 その時、後ろから優しく抱きしめられた。


「裕美…さん?」

「達也くん、私そばにいてもいい?」

「はい…」


 俺の目からは涙が止まらなかった。裕美さんも泣いているみたいだ。俺と裕美さんは佳奈のいた病室で朝になるまで泣き続けていた…。

読んでくださってありがとうございます!


佳奈…達也と裕美の願いは届かず。でも佳奈は幸せだったでしょうね。こんなにも大切な人に見守られていたのですから。


次の話で『空っぽの心』は最終話です。

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