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空っぽの心  作者: ヒロ
20/25

第20話 風邪

第20話目です。


佳奈の笑顔を取り戻すために…達也と裕美が考えた方法とは?

 翌日、俺は会社で仕事をしながら佳奈の笑顔を取り戻す方法を考えていた。


「う~ん、どうしたら…」


 佳奈の笑顔を取り戻すって口では簡単に言える。しかし、いざ何かをやろうと思うと何も思いつかない。


「どうかしたの?」


 隣から裕美さんが話しかける。俺と裕美さんは上司に聞こえないように話し始めた。


「いや、佳奈の笑顔を取り戻すにはどうしたらいいかな~って考えていて…」

「私、考えたんだけど、思い出を振り返るのって大事だと思うよ?」


 思い出か…でも、佳奈は…


「佳奈と初めて出会った場所に行ったんです。でも…」

「何、落ち込んでるのよ。思い出って最初に会った場所だけじゃないでしょ?」


 確かに裕美さんの言うとおりだった。俺は佳奈を初めて出会った場所にしか連れて行ってない。他にもたくさん思い出はある。


「土日は、いろんな場所に連れて行ってあげようかな」

「いいと思う」


 俺は土日、佳奈と思い出の場所を巡ることにした。











 土曜日になった。俺は…


「う~」


 ベッドに横になっていた。風邪をひいてしまったのだ。


「大丈夫?」


 佳奈がそう言いながら、俺の額に冷えたタオルを乗せる。


「も~だらしないんだから…」


 そう言ってやってきたのは裕美さん。俺は裕美さんに連絡しなくていいって言ったのだが…佳奈が連絡していた。佳奈と裕美さんは、すっかり仲良しになっていた。俺は、その光景を見てホッとする。もしかしたら佳奈は裕美さんを意識してしまうのでは…と思ったのだが、意識しているのは俺の方だった。


「ん? どうしたの?」


 どうやら佳奈は俺の視線に気づいたみたいだ。不思議そうに俺を見る。


「何でもない」


 俺は、やっと平和な生活に戻れたと思った。あとは佳奈の笑顔を取り戻せば…俺は起き上がろうとする。


「ほら、体調悪い時くらい私のことは考えないで、ゆっくり休むの」


 佳奈は俺にそう言い、俺の身体をベッドに戻す。こんな大事な時に風邪とは…


「佳奈さん、私、そろそろ帰るね。もうこんな時間だし…」


 裕美さんの言葉に俺は時計を見る。いつの間にか午後7時を過ぎていた。


「うん。今日はありがとう! たっちゃんは明日には元気になってると思うから、また明日来て」

「ありがとう。じゃあ、また明日。達也くん、佳奈さんに迷惑かけちゃダメだからね」

「……わかってるよ」


 そう言い残し、裕美さんは帰って行った。佳奈は裕美さんを見送りに玄関へ向かう。


「あーあ、何で風邪ひいてんだろ…」


 今日は行きたいところがたくさんあったんだけどな…そんなことを考えていると佳奈が戻ってきた。


「どう? だいぶ良くなった?」

「うん。佳奈と裕美さんのおかげで少し楽になったよ」


 2人は朝からずっと俺の看病をしてくれていた。そのおかげで朝よりかなり良くなっていた。


「たっちゃん、裕美さん変わったよね」


 佳奈は俺の横に座り、裕美さんの話を始めた。


「うん。そうだな」

「私、裕美さんを救えたかな?」

「佳奈以外の誰が裕美さんを救ったんだよ」


 あの時、佳奈が裕美さんに言葉をかけなければ、裕美さんを止めれる人は誰もいなかっただろう。きっと止めれなかった。でも、佳奈の言葉が裕美さんの心に届き、裕美さんは佳奈によって救われた。


「私ね…裕美さんに会えてよかったんだ」


 俺には、その言葉の意味がわからなかった。


「裕美さんのおかげで感情のことを学べた気がする。たっちゃんに酷いことを言ったのも私は感情任せだったなって」

「…………」


 俺には何も言うことができなかった。佳奈は話を続ける。


「でもね…一番はやっぱり、たっちゃんがそばにいてくれること」

「佳奈…」

「だから…たっちゃん、ありがとう」


 そう言った佳奈は、まだぎこちないが笑ってくれた。完全な笑顔ではない。けど、確実に一歩、そしてまた一歩、俺たちは進めてる。そう思った。

読んでくださってありがとうございます!


ここで1つみなさんに報告です。『空っぽの心』のネタが尽きてきました…(汗)。21話目はもしかすると遅くなるかもしれません…。ただ、なるべく早く投稿できるように頑張って書きますので、よろしくお願いします!

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