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空っぽの心  作者: ヒロ
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第18話 決意と予感

第18話目です!


達也は精神崩壊寸前…達也に救いの手はあるのか…?

 「たっちゃんーそろそろ起きないと会社に遅れるよー」


 翌朝、俺は佳奈に起こしてもらった。あれから何時間も眠れなかった。だが、いつの間にか寝てしまっていた。俺は寝不足と不安で身体が重たく感じた。今まで嫌な仕事でも会社に行きたくないとは思わなかったが…今日は行きたくない。


「おはよー」


 1階へ降りると佳奈が朝ごはんを作っていた。


「佳奈、毎日悪いな」

「ううん。全然、大丈夫だよ。たっちゃんは気にしないの」

「ありがとう」


 この状況を他の人が見たら、普通の生活だと思うだろう。きっと佳奈も普通の1日だと感じてると思う。けど…俺にしたら、普通の1日ではなかった。そんなことを考えてるうちに朝ごはんができた。


「いただきまーす」

「いただきます…」


 朝ごはんを食べる気にもならなかった。この料理を作ったのが佳奈でなければ食べていないだろう。


「たっちゃん」


 俺は急に名前を呼ばれた。少しビックリした。


「何?」


 恐る恐る聞く俺。今の俺にとって、何もかもが怖かった。


「たっちゃんさー、私に何か隠してるでしょ?」


 俺はドキッとした。佳奈に心配をかけたくない。


「べ…別に…」


 しかし俺の言葉は逆効果だった。


「嘘! また、たっちゃんは1人でどうにかしようとしてる。たっちゃんは優しいから、私に心配かけたくないって思ってるだろうけど…私にとったら、そのことが心配」


 佳奈は何もかもお見通しだった。俺は胸が苦しくなった。何も言えない俺に佳奈は、


「たっちゃん、言ってくれたよね。『1人じゃない』って。今のたっちゃんは1人になってるよ? 私もいるんだよ?」


 佳奈は泣き出しそうだ。俺は自分自身を責めた。また、佳奈を泣かせてしまう…俺は、どうしていっつもこうなんだ…。


「佳奈、ありがとう。おかげで目が覚めたよ」

「たっちゃん、約束して。ずっと2人で一緒だって」

「うん。約束するよ」


 そして俺は今の状況を佳奈に全て伝えた。佳奈は心配してくれたが、俺に心配をかけないようにか『私のことは大丈夫だから、頑張って』と言ってくれた。俺は気合を入れた。裕美に負けてられるか! 俺は絶対に佳奈の笑顔を取り戻す! そして、裕美の感情への考えを変えて見せる!


「じゃあ行ってくるわ」

「うん。気をつけて。頑張ってね!」


 俺は佳奈に見送られ、会社へと向かった。












 会社へ向かう途中、待ち伏せをしてたのか裕美がやってきた。俺は無視して通り過ぎようとした。


「おはよう。たっちゃん」


 裕美は信じられないことに俺を『たっちゃん』と呼んだ。


「その呼び方やめろ。その呼び方をしていいのは佳奈だけだ」

「あらあら。それは残念だなあ~」


 朝から裕美のニヤニヤした顔を見るとすごく腹が立つ。何でいっつもニヤニヤしてるんだ…


「それで、何か用ですか? 会社に遅刻したくないんですけど」

「用ね…病院に行った方がいいわよ」


 その言葉を俺は理解ができなかった。


「それってどういう…」

「ほら。会社に遅刻したくないんでしょ?」


 裕美は俺の言葉を遮り、強引に手を引っ張る。俺は裕美にそれ以上のことを聞くことができなかった。会社に着いたのは出社時間2分前だった。俺は自分の席に座って、仕事を始める。何も考えたくない。そんな時は仕事に集中するのみ。しかし、それを妨げるように…


「今日、病院行きなよ」


 隣の席から邪魔が入る。せっかく考えないように仕事してるのに…この人が隣じゃダメだ。


「仕事中なので黙っててください」


 俺は裕美にそう言って、再び仕事に集中する。その後も何回も裕美は俺に話しかけてきたが、全て無視した。しばらくすると裕美は諦めたのか、俺に話しかけなくなった。そして時間はあっという間に退社時間になった。幸い今日は残業なども無い。


「ふ~終わった~」


 俺は思いっきり背筋を伸ばした。これほど集中したことなんて人生で初めてかもしれない。


「病院」


 そこに隣から悪魔の囁きが。俺は現実に戻された気がした。


「病院、病院って、病院に何かあるんですか?」

「さあ? でも行った方がいいわよ。大変なことになってるみたいだし」


 大変なこと…? 一体、何が起きたって言うんだ? 俺は少し気になったので病院に行くことにした。











 「佳奈! 病院に行こう」

 「突然どうしたの?」


 当然というか…予想通りというか…佳奈は驚いて、俺のところにやってきた。


「何か病院が大変なことになってるみたいなんだ」

「大変なこと?」

「うん。行ってみよう」


 俺がそう言うと佳奈は少し複雑そうな顔をしてから、


「じゃあ、ちょっと待ってて。すぐに準備して行くから」


 と言った。俺は佳奈を待っている間、考え事をしていた。病院で起こってること、佳奈のこと、裕美のこと、田中医師のこと…いろんなことが俺の頭を駆け巡る。


「たっちゃん、行こう」


 そんなことをしていると佳奈が準備を終え、やってきた。そして、俺と佳奈は病院へと向かった。

読んでくださってありがとうございます!


達也は佳奈のおかげで立ち直りました。そして、裕美がしつこく言う『病院』。はたして病院で何が起きているのか?


第19話もよろしくお願いします!

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