表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空っぽの心  作者: ヒロ
17/25

第17話 佳奈の気持ちと俺の気持ち

第17話目です!


裕美に圧倒されてしまった達也。これからどうすれば…?

達也と佳奈は一体、どうなる?

 俺と佳奈は病院から出た。裕美が診察室から出た後、『今は1人にしてくれ』と田中医師に言われた。


「…………」


 俺も佳奈も何も話さなかった。気まずい雰囲気が流れる。この雰囲気に耐えれなくなったのは俺の方だった。


「佳奈、ゴメンな」


 俺は自然と謝っていた。結局、真実を知るどころか、佳奈を悲しませてしまうだけになってしまった。


「何で謝るの?」


 佳奈は理解できないというように俺の顔を見る。


「だって…また佳奈に迷惑かけたし、悲しませちゃったし…」

「私、たっちゃんのこと悪いって言った?」


 佳奈は、そう言って遠くを見る。


「私ね…嬉しいっていう感情は、あまりわからないけど、今日は嬉しいって思ったよ。たっちゃんが裕美さんから私を必死に守ってくれたんだもん。嬉しいよ」

「佳奈…」

「だからね、たっちゃんが謝ることなんて何もないんだよ。たっちゃんがいてくれるだけで私は幸せ。たとえ感情が欠けていたって…」


 俺は静かに佳奈を抱きしめる。


「佳奈、辛いだろ…辛いなら言ってくれよ…」


 俺には感情を読む力なんて無い。けど…佳奈の気持ちが痛いほどわかる。


「たっちゃん…辛いよ。辛いけど…負けたくないよ…」

「俺もだ。絶対に負けたくない。佳奈、1人じゃないんだぞ? 俺がいるから」


 きっと佳奈は何も言わないが、いっぱい悩んでいるだろう。だからこそ、何とかしてあげたい。


「ありがとう。たっちゃんは優しいね」


 俺と佳奈は家に着くと疲れから眠ってしまった。












 それからどのくらい眠っただろうか。俺が起きると辺りは真っ暗になっていた。俺は携帯で時間を確認する。午後8時だった。俺は佳奈を起こさないように部屋の電気は点けなかった。


『所詮そんなものだよ。人間は。感情任せに言う。後のことなんて何も考えてない。そんなことなら感情なんていらない』


 今日の午前中の裕美の言葉を思い出す。俺は裕美に圧倒された。悔しかった。でも、裕美の言ってることもわからなくはない。


「どーすりゃいいんだよ…」


 俺の中で1つの言葉が思い浮かぶ…『諦め』。これを受け入れるということは佳奈の笑顔は一生、戻ってこない。そして、裕美の言ってたことを受け入れることになる。そんなことを俺が考えていると…


『たっちゃん』


 突然、佳奈から名前を呼ばれ、俺はドキッとした。


「佳奈?」


 振り向くと佳奈は寝ている。どうやら寝言のようだ。


『たっちゃんは私のこと、どう思ってるの?』


 一体、佳奈はどんな夢を見ているのだろうか? 俺とケンカでもしてるのか?


『私に笑顔が無いから、私のこと嫌い?』


 『そんなことない』そう心の中で告げる。


『じゃあ何でそんなに不安な顔をするの? 私が笑えないからでしょ?』


 まるで今の自分のことを言われてるみたいで苦しかった。


『たっちゃん、私は笑顔なんて戻らなくてもいい。たっちゃんがそばにいてくれて、笑ってくれればそれでいいの』


 夢の中とは言え、佳奈の気持ちを聞いている気がした。いや、これが佳奈の気持ちだろう。


「佳奈、ゴメンな。俺、こんなんじゃダメだよな…」


 さっき『諦める』なんて思ってしまった自分を責めた。佳奈は自分が笑えないのに俺が笑ってくれることを願ってる。俺だって、佳奈が笑ってくれることを願わなければいけないのに…それなのに俺は…


『プルルルル…』


 俺がそんなことを考えていると突然、電話が鳴った。俺は受話器を取る。


「もしもし?」

「こんばんは」


 俺は、すぐに受話器を置いた。電話を切った。


「もう…いい加減にしてくれよ…」


 電話の主は裕美だった。一体、俺たちに何の恨みがあるんだよ…。


『プルルルル…』


 電話は再び鳴り出す。俺は耳を塞いだ。怖い怖い怖い…しばらくすると俺が出ないとわかったのか、電話は鳴り止んだ。俺は明日のことを考えていた。会社には裕美がいる。でも、佳奈には言えない。俺は不安と悩みで眠れなかった…。

読んでくださってありがとうございます!


佳奈の本当の気持ちを聞いた達也。しかし、どこまでもやってくる裕美。精神が壊れそうな状況で達也は耐えられるのか?

第18話もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ