表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空っぽの心  作者: ヒロ
14/25

第14話 どこまでも

第14話目です。


佳奈の笑顔のために再出発した2人。仲直りした2人に待っていることとは…?

 『ジリリリリ…』


「う~ん」


 朝6時。俺は重い身体を起こし、目覚まし時計を止める。今日は普通に仕事だ。


「あれ? 佳奈?」


 横を見ると一緒に寝ていたはずの佳奈がいない。どこに行ったんだろう? そんな風に思っていると、


「たっちゃん、起きた? 朝ごはん出来たよ」

「あ、うん。今行く」


 俺は急いで着替えを済まし、佳奈の元へと向かう。


「はい。いっぱい朝ごはん食べて、仕事頑張ってね」

「佳奈…ありがとう」


 佳奈は、わざわざ朝早く起きて朝ごはんを作ってくれていた。さらに…


「あと、これ。お弁当作ったの」

「うわ~嬉しい! ありがとう!」


 朝からこんなに嬉しいことがあるなんて…


「じゃあ、いってくるね」

「うん。いってらっしゃい。頑張ってね」

「佳奈、何かあったら、すぐにメールな」

「うん」


 俺は佳奈にそう言って、会社へと向かった。










 「おはようございます!」


 会社に着いた俺は挨拶をして、自分の席へと向かう。今日も1日、頑張るぞ!


「みんな聞いてくれ」


 俺が仕事を始めて5分。上司が何かを話し始めた。俺は、ゆっくり上司の方を見る。そして、言葉を失った。


「今日から、ウチに新しい社員が加わる。じゃ、自己紹介して」


 嫌だ。聞きたくない。背中に冷や汗が流れる。


「田中裕美です。みなさん、これからよろしくお願いします」


 こんなの夢だ。現実なんかじゃない。そう俺は自分に言い聞かせる。


「じゃあ、竹中! お前の横、空いてるな。そこ座って」

「はい」


 嘘だろ!? よりによって何で俺の横なんだ…やめろ! やめてくれ!


「お願いします」


 裕美は俺の横に来る間、一人一人に丁寧に挨拶をしている。そして、俺の前で立ち止まり…ニヤッと笑った。


「よろしくね。達也くん」


 俺の横に座った裕美がそう言う。俺は振り向かない。というか振り向けない。


「達也くん、逃げられないよ」


 俺の耳に残虐な言葉が告げられる。こんな…こんなことがあっていいのか…俺は朝の喜びから一転、地獄に落とされた気分だった。


「そうそう。竹中、田中さんは新入社員だ。いろいろ教えてやってくれ」


 上司からも残虐な言葉が届く。この人もつるんでるんじゃないかと思うくらいだ。


「は…はい」


 俺は返事したが、目も合わせたくないので、裕美を無視した。


「達也くん、今日、仕事が終わったら残って」


 俺は無視し続ける。


「佳奈さんにまた酷いことしてもいいのかな~?」

「佳奈に何かしてるんですか!」


 思わず大きな声を上げる。他の社員が一斉に俺を見る。


「すいません」

「だから、残って」

「何が狙いですか?」

「達也くんと話がしたいの」


 俺に話? 話なら、あの日にたくさんしたはずだ。だけど、俺が裕美の言うことを聞かないと佳奈が…


「わかりました」


 俺は渋々、残ることにした。本当は話なんかしたくない。顔すら見たくない。











 仕事が終わり、みんなが帰った。会社内には俺と裕美しかいない。


「話って何ですか?」


 佳奈のこともあったので、早く話を済ませて帰りたかった。


「まあまあ。佳奈さんのことも心配だろうし、そんなに長く話すつもりはないよ」


 俺はマイペースに喋る裕美に苛立ちを隠せなかった。


「早くしてください!」


 俺はつい怒鳴ってしまった。裕美は相変わらず笑ってる。


「はいはい。話というか忠告かな?」


 忠告? 何があるって言うんだ…?


「まず、私から逃げれると考えないで」


 裕美は恐ろしいことをさらっと言う。


「俺も佳奈も、もうアンタには関わらない」

「そんなこと言っていいの?」


 裕美は、そう言うとスイッチを取り出した。


「まさか、それは…?」


 俺は恐る恐る裕美に聞く。あのスイッチは佳奈に何か影響を及ぼすのか…?


「ふふ。このスイッチを押すと、ここにある監視カメラの映像を達也くんの家に映し出せるの。佳奈さんは達也くんの家にいるんでしょ?」

「…………」


 くっ…やっぱりバレてたか…。


「佳奈さんが私と達也くんが一緒にいるのを見たら、どう思うでしょうかね~」


 裕美は悪魔の笑顔で俺を見る。そんなことされたら、大変なことになる。


「忠告はそれだけ?」


 そう言って、俺は帰る準備をする。


「そうね…もう1つ。あなたの身近な人も私の味方かもよ」


 今度は冷淡な笑みを浮かべ、俺を見る。俺の身近な人…?


「アンタ、一体何がしたいんだ…?」

「さあ?」


 俺は裕美の方を見ずに会社から出た。帰り道、気になったのは裕美が言った『あなたの身近な人も私の味方かもよ』という言葉。俺には全く理解できなかった。

読んでくださってありがとうございます!


ついに達也の会社内にも裕美が…この人は本当に恐ろしい人だ…。

一体、裕美は何がやりたいんだ?

第15話では、1つ鍵となることがわかります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ