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空っぽの心  作者: ヒロ
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第11話 佳奈の行方

第11話です。

前にも書いたとおり急展開します。正直、不安でいっぱいです…。


過去の約束を守れなかった達也が次にとった行動は…?

 「達也さん…?」


 俺は田中医師の声で我に返った。


「あの…もしかして私、聞いちゃいけないことを聞いちゃいました…?」


 田中医師が申し訳なさそうに俺の方を見る。


「いえ、そんなことありません。ただ、少し昔のことを思い出したというか…」

「昔のことですか?」

「はい。昔って言っても去年のことなんですけど、俺、佳奈に約束したんです。『何があっても、佳奈を泣かせない』って。でも…」

「そうだったんですか…」

「俺、佳奈に会ってきます!」

「あっ…ちょ、達也さん?」


 俺は、田中医師に頭を下げ、病院を飛び出した。佳奈には『しばらく会いたくない』って言われたけど、今は会いに行かないといけない気がする。そう思って俺は、すぐに佳奈の家へと向かった。











 佳奈の家の前に着いた俺は緊張していた。いつもとは違う緊張。苦しさを伴う緊張だ。俺は深く息を吸う。そして、一気に息を吐く。


「よし」


 俺は意を決してインターホンを押した。


『ピーンポーン』


 中から返事は無い。おかしい。もし、佳奈がいないとしても、佳奈のお母さんがいるはずだ。誰も出てこないのはおかしい。俺は、もう一度、インターホンを押す。


『ピーンポーン』


 やっぱり返事は無い。もしかして本当に誰もいないのか…? 諦めれず、ドアノブに手をかけてみた。すると、信じられないことにドアが開いている。やっぱりおかしい。俺は恐る恐る中に入る。中に入った俺が見た光景は壮絶な光景だった。


「な…何だよ、これ…?」


 物があちらこちらに散らかっており、まるで泥棒に入られたかのような光景だった。その時、俺は奥に倒れている人がいることに気がついた。そこに倒れていたのは佳奈のお母さんだった。


「だ…大丈夫ですか!?」


 俺が話しかけると佳奈のお母さんは今にも途切れそうな声で、


「達也くん…佳奈を助けて…」


 と言った。


「一体、何があったんですか?」

「私もわからないの…突然、誰かがやってきて、その数分後に佳奈が急に暴れだして…」


 それだけ言って、佳奈のお母さんは気を失った。俺は、とりあえず救急車を呼んだ。そして、今、起きていることを整理しようと思った。佳奈のお母さんによると、誰かが佳奈に会いに来たってことになる。一体、誰が…? それから佳奈は急に暴れだした。その数分で佳奈に何があったんだ…? わからない。何回、考えても何もわからない。そもそも佳奈はどこにいる? まだ自分の部屋にいるのか? 俺は佳奈の部屋に行くことにした。












 佳奈の部屋のドアを開けた瞬間、風が通り抜けていった。窓が全開になっている。部屋の中は荒れ果てていた。俺のプレゼントしたぬいぐるみは、あちらこちらに散らかってあった。


「う…そだろ…」


 俺は状況が飲み込めなかった。何でこんなことになっているんだ…俺は恐ろしさから、佳奈の家を飛び出した。嫌だ、嫌だ、嫌だ…信じたくない。こんなこと信じたくない。そして、思いっきり佳奈の家から飛び出した俺を待っていたのは…


「あれ? どうしたの?」


 そこにいたのは裕美さんだった。


「あ…裕美さん」

「そんなに慌てて、どうしたの?」

「…………」


 あまりに信じられなかった光景だったため、俺は言葉にできなかった。


「あ、そうそう。ちょうど私もあなたに言いたいことがあったの」


 そう言って、裕美さんは一瞬ニヤっとして、俺に近づいてくる。


「裕美さん…?」

「達也くん」


 達也くん? 裕美さんって俺の名前、呼んでたっけ?


「あんな笑えない子よりも私の方が幸せになれるよ?」

「なっ…!!」


 ほんとに裕美さんなのか疑うほど、いつもの裕美さんでは考えられない言葉が飛び出してきた。


「だから、私の方が幸せだよ?」

「何言ってるんですか…佳奈をバカにしないでください」

「別にバカにはしてないよ?」


 裕美さんは、ずっとニヤニヤしている。それが俺をイライラさせた。


「佳奈のこと、裕美さんは何も言わないでください」


 俺は『じゃ』と言って裕美さんと別れる。その時だった。


「あ~あ、そんなこと言っちゃって…佳奈さんがどうなってもいいのかな~?」

「佳奈のこと知ってるのか?」


 別れようと思った俺の足が止まる。


「知ってるも何も…」


 そう言って、裕美さんは無線機を取り出した。そこから聞こえたのは…


『もうやめて! お願いだから! やめてください!』


 佳奈の悲痛な叫び声だった。


「佳奈! 佳奈に何をした!」

「今ね、実験をしてるんだよ。佳奈さんでね…」


 裕美さん…いや、裕美はニヤっとして言った。


「佳奈で実験だって…?」

「そう。私は人の気持ちがわかる。そして、人の気持ちを操作したくなった。そこで考えた。人の脳に何か刺激を与えれば気持ちを自由に変えれるんじゃないかって。佳奈さんは、あなたの話を聞いている感じだと感情に起伏がある人。実験に持ってこいだったのよ」


 なんて人だ…恐ろしすぎる。


「佳奈は無事なのか?」

「ええ。私は佳奈さんを殺そうとは思ってない。あくまで実験」

「佳奈はどこにいる?」

「知りたい?」


 裕美は俺を挑発する。


「教えてくれ」

「じゃあ、私についてきなさい。佳奈さんのところまで案内するわ」


 そう言って俺は裕美に案内されながら、佳奈のいる場所に向かった。

読んでくださってありがとうございます!


ついに裕美の正体が…一体、佳奈はどうなっているんでしょうか? そして達也の運命は…?

第12話もよろしくお願いします!

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