第1話 彼女の笑み
今日から連載を始めます。
第1話は短いですが、よろしくお願いします。
大事な人が突然倒れた。俺のとても大事な人。
それ以来、彼女の中から大切なものが無くなってしまった…。
「たっちゃん、早く~」
遠くから佳奈が呼ぶ。新山佳奈…俺・竹中達也の世界で一番大事な人だ。俺と佳奈は、今日で付き合い始めてから2年になる。今日は、記念のデートをしている。
「も~早くしてよ」
「ごめんごめん。佳奈が元気過ぎるんだよ」
「違うって。たっちゃんが元気無さ過ぎるんだよ」
そう言われてしまうと何も反論できない。
「どうしたの? 怒った?」
佳奈が心配そうに俺を見る。俺は佳奈のこの顔が一番、苦手だ。俺は佳奈と付き合ってから、1つだけ絶対に決めていることがある。それは『何があっても佳奈を悲しませることはしない』ということ。だから俺は…佳奈の不安そうな、悲しそうな顔を見ているだけで、かなり苦しくなる。
「そんなんで怒るわけないだろ。何、気にしてるんだよ」
そう言って俺は佳奈の頭を撫でた。
「だって…だって、たっちゃんが怒ったと思ったんだもん」
「今日は特別な日なんだから、そんな顔しないでくれよ」
俺は、だんだん佳奈と目を合わすことすら出来なくなってきた。
「うん。ごめん…」
「じゃあ、笑って」
「うん!」
俺がそう言うと佳奈はニコッと笑って、こっちを見た。俺の一番好きな顔だ。
「やっぱり佳奈は笑顔が似合っているよ」
「そう? ありがとう」
佳奈が満面の笑みでこっちを見る。俺は、それだけですごく幸せだった。こんな時間がずっと続けばいいと思った。でも…佳奈が心から笑ったのは、この時が最後だった…。
読んでくださってありがとうございます!!
第2話以降も頑張ります! 何かありましたら、感想などお願いします。