中国版ドラマ『三体』プロデューサー 毒殺事件の真相
中国ドラマ『三体』の放送直後、出品総指揮に記された**林奇**の名前に黒枠がつけられ、「故人」として紹介されたことで、多くの視聴者が驚きました。
中国ドラマ『三体』の放送直後、出品総指揮に記された**林奇**の名前に黒枠がつけられ、「故人」として紹介されたことで、多くの視聴者が驚きました。
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林奇の生い立ちと才能
林奇は1981年、浙江省温州市の裕福な家庭に生まれました。
幼いころ、両親は仕事と社交で忙しく、彼は放任されて育ちました。
その反動で彼はオンラインゲームに熱中し、中学時代にはゲームのために学校をサボるように。
その様子を見かねた父親は、林奇を炭鉱で14時間働かせるという荒療治を実施。
暗闇の恐怖と過酷な労働を経て、林奇はまるで生まれ変わったように学業へと向かい、成績もぐんぐん上昇。
その後、彼は南京郵電大学に進学し、父を見返すことに成功します。
しかし大学生活では再びゲーム漬けの日々に戻り、卒業後は中国電信やHuaweiで短期間働くも、会社勤めは肌に合わず退職。
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起業と『三体』への野望
2004年、林奇は複数のネット会社を立ち上げるも失敗。
しかし2009年、Youzu Network(游族网络)を設立し、ブラウザゲーム開発で大成功。
2019年には90億元の資産を築き、胡潤IT富豪ランキングで49位にランクインしました。
ただし、林奇はゲームだけに満足せず、文化コンテンツにも目を向けます。
2014年、当時はまだ無名だったSF小説**『三体』**の映像化権に目をつけ、大胆な行動に出ました。
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『三体』映像化と許多の存在
当初、『三体』の著作権は10万元で張天一夫妻が保有していましたが、林奇は1.2億元でこれを買収。
この交渉を支えたのが、法律顧問の**許多**でした。
許多は西南政法大学卒業後、フランス留学を経て法律専門家としてYouzuに加わり、
『三体』の買収交渉で辣腕を振るい、林奇に高く評価されました。
その後、林奇は**「三体宇宙文化発展有限公司」を設立し、CEOに許多を起用。
テレビドラマ、アニメ、映画、舞台、ゲームと多岐に渡る事業展開に3億元を投資**。
しかし、3年が過ぎても回収の見込みは立たず、林奇は徐々に許多に失望。
社内では林奇が許多を罵倒する姿も目撃され、やがて彼を権限から排除していきました。
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確執と崩壊
・許多は役員を辞任し、CEO職だけに
・年俸も2000万元から400万元へと減額
・2020年、『三体』ドラマ版ポスターに許多の名前が掲載されず激怒
しかし表面上は冷静を装い、林奇の好物であるプーアル茶やサプリメントをよく贈っていたといいます。
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毒殺事件の発生
2020年11月、林奇は『三体』の著作権を子会社に譲渡し、許多を完全に排除しました。
その翌月――
12月16日、林奇は体調不良を訴え、病院へ。
検査の結果、体内に5種類以上の毒素が確認され、
特に「フグ毒」による急性中毒症状が深刻で、血液4万ccの大量交換を行うも、
12月25日、39歳で死去。
その後の調査で、彼のプーアル茶に微量の毒物が注入されていたことが判明。
また、許多が贈った**「高級ビタミン剤」**のカプセルの一部にフグ毒が仕込まれていたとされます。
ランダムに混入されたため、林奇がいつ致死量を摂取するかは完全に運任せでした。
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捜査と許多の「仮面」
捜査により、許多が:
•複数の携帯番号を所持
•海外で化学会社を設立
•上海郊外の家で毒物を自作し、動物実験を繰り返していた
などが明らかに。
法律に精通していた許多は、取り調べで一言も供述せず(ゼロ口供)
さらには精神鑑定による責任回避を目論み、関連書籍や論文を事前に多数収集していたという情報も。
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遺産と皮肉な結末
林奇の遺産とYouzu株式は、元妻との間の3人の子どもたちがすべて相続。
皮肉にも、彼が生涯をかけて育てた『三体』プロジェクトは――
彼の死から3年後の2023年、ついにCCTVでドラマ版が放送。高評価を獲得。
さらにNetflix版『三体』も2024年に世界配信され、Rotten Tomatoesでは80%以上の好評を記録。
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最後に:三体の名言を添えて
商業は戦場であり、人心は幽霊のようなもの。
『三体』の名言を思い出してほしい:
「人間性を失えば、多くを失う。
だが、獣性を失えば、すべてを失う。」
さて、この話の登場人物は何を失った結果、このような痛ましい事件になったのか...