表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と君の復讐と創世  作者: つばめいろ
不可逆と真実
17/20

第17話 夢

 ヒスイが娘? どういうことだ。俺は一人っ子のはず。訳がわからない。何か書いてないかと、また過去の日記を読み続ける。いつから書いてるのかと気になり、一番昔の物まで遡る。

 見つかったのは俺の誕生日の一週間後ほどの日付だった。


 ”9月28日、憎かった夫を殺した。気分がとってもいいわ。”


 は? 父親が死んだのは事故じゃないのか。母さんが殺したってどういうことだよ。わからないことが増えていく。


 ”9月29日、謎のゲートが出てきた。入ってみたら、そこは日本、というか地球じゃなかったわ。空は赤いけど綺麗。”


 ”9月30日、私って特別な人間のよう。変身できる能力を持ってるみたい。それに、新しい夫候補も見つかったわ”


 この後は一気に日付が飛んでいる。母さんは異世界に行っていたのか? 変身する能力、確かヒスイのお母さんもその能力って言ってたはずだよな。もしかして。


 ”12月17日、あの人は私の想いに応えてくれた。子どもが楽しみ。”


 そしてまた、日付は飛ぶ。


 ”8月21日、娘が生まれた。名前はヒスイ。これから大切に育てていこう。”


 ああ、予感は当たっていた。ヒスイは俺の母さんの娘。おそらくではなく確実だろうが、俺とヒスイは異父兄妹なんだ。母さんはなんで俺には話してくんなかったんだ。


 ……いや、死んだ人のことをどう言っても何も変わらない。諦めよう。


 どこか胸がチクッとしたが、気のせいにした。いつもと同じように。


 ああ。一日で処理しきれないほどの情報があってもう無理だ。今日は寝よう。電源を落として、自分の部屋に戻る。そしてベッドに潜り込む。一日疲れていたようですぐ意識は落ちた。



                   *



 ――なあ、おい


 声が聞こえてくる。目を開けると、そこは殺風景な草原。そして前に俺がいる。なんで俺が二人? 最近はおかしなことしか起きていない。


 「なあ、お前。人を殺したってのに随分平気そうな顔してるな」


 目の前の俺が話しかけてくる。殺しをしたのに平気そうな顔してるって、そんなわけないだろ。人を殺したことに罪悪感を感じているの決まっている。


 「それ、嘘だろ。お前はこれっぽっちも罪悪感を感じてねえよ。それどころかそのうち罪が無くなるとか考えてるだろ?」


 うるさい。俺の入ってきてほしくないところにずかずかと入ってくる。俺の見た目してるだけあって、思考も同じなんだろう。


 「お前の人殺しの罪は一生憑いてまわるんだよ。呪いと一緒だ」


 黙れ。それよりお前は誰なんだ。何なんだ。


 「俺か? 俺はお前の――だよ」



                   *



 その瞬間俺は飛び起きた。嫌な汗をかいている。今のは夢か? 肝心な最後が聞き取れなかった。あいつはなんだ。もう一度その夢を見るのが怖くて、なかなか眠りにつけないまま日が昇ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ