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9話

あと5話ほどでこの章を終え、次の章では学園編に突入する予定です。学園編からは本格的に『本当はいいやつだった』ムーブを取り入れていきます。もうしばらくこの章にお付き合いください!

道の整備を始めてから2週間。


オークはほとんど姿を見せず、たまに現れても 騎士団を見た瞬間に森へ逃げ帰っていった。


村は久しぶりの平和を享受しており、村人たちは警戒心を緩めつつあった。


だが—— 俺は逆に危機感を高めていた。


(……オークたちが食糧を奪えていないこの1ヶ月間。)


そろそろ、我慢の限界が来る。


このままでは、やがて 総力を上げて村に襲いかかってくる はずだ。


(今はただ、機会を伺っているだけ—— いつ襲ってきてもおかしくない。)


俺はトーマスの元に向かった。




「ではトーマス、手はず通りに動け。」


「はい! 了解しました! 行くぞ、皆のもの!」


「「「おおー!!!」」」


トーマスは騎士団全員を引き連れ、堂々と整備中の道路を行進し始めた。


ワイズが不安そうに俺に詰め寄る。


「本当に、だ、大丈夫なんですか!? 今、騎士団全員が村からいなくなったら、オークが攻めてくるかもしれませんよ!?」


「大丈夫だ。それが狙いだからな。」


「えぇーー! それは大丈夫って言いませんよ! あわわわ!」


「各個撃破するのは面倒だ。この際にオークたちを一網打尽にする。」


俺は村の城壁を見渡しながら言った。


「それに俺も村に残っている。村を見捨てたわけじゃない。」


(それに—— 自警団の練度も、想像以上に上がってきている。)


トーマスの地獄のような訓練の成果で、地形の有利があれば、オークと一対一で足止めできるくらいにはなっていた。




トーマスが出発して30分後——。


「オークの大群だああああ!!!」


「森からオークが出てきたぞーーー!!!」


緊迫した叫びが村中に響き渡る。


俺はすぐに城壁へと駆け上がった。


(——来たか!!)


遠目から見ても、70匹以上のオークが村に向かって突撃してくるのが分かる。


しかも——


「……やはりいたか。」


群れの最後方には、一回り大きいハイオークが陣取っていた。


ハイオークが右手を前にかざし、オークたちに何か命令を出す。


次の瞬間——


「グオォォォォ!!!」


咆哮と共に、50匹ほどのオークが一斉に突撃を開始した。




「コア様ぁぁぁ!! もう終わりですぅぅぅ!!!」


ワイズが頭を抱えて叫ぶ。


「落ち着け、ワイズ!! 俺たちは、この瞬間のために準備してきたんだ!!」


村人たちも不安げにこちらを見る。


(——信じろ、俺たちの防衛策を。)


オークたちが城壁に到達しようとした、その瞬間——


ズボォォォ!!


「グォォ!??」


先頭のオークが、城壁にたどり着く前に、いきなり姿を消した。


「……落とし穴だ!!!」


次々と、後ろのオークたちも 避ける間もなく落とし穴に落ちていく。


「よし、今のうちに敵の戦力を削るぞ!!」


俺はワイズに指示を出した。


「ワイズ!! 旗を掲げて、トーマスたちに合図を送れ!!」


「わ、わかりました!!!」


ワイズが震える手で旗を掲げる。


その瞬間——


バサァァァ!!!


「騎士団、突撃!!! 全軍、ハイオークを討て!!!」


突如、騎士団が森の奥から現れ、ハイオーク目掛けて一直線に突撃を開始する。


土煙が舞い上がり、騎士たちの剣が太陽に反射して輝く。


(——頼んだぞ、トーマス。)


俺は剣を抜き、自警団に向かって叫んだ。


「俺たちは騎士団がハイオークを討伐するまで、ここで時間を稼ぐぞ!!」


戦いは、オークたちが村を蹂躙するのが先か、騎士団がハイオークを討つのが先か——


ついに、決戦の幕が上がる。

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