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26話

ついに、トーナメント当日がやってきた。


俺の目的は、優勝景品を盗まれないようにし、ヒロインのリリアナが呪いを受けないようにすること。


もし盗まれたとしても、盗賊団の討伐に俺も参加し、何が何でもシナリオを変える。


ーーー


さて、肝心の優勝景品についてだが——普段は厳重に保管されており、たとえ盗賊団が侵入したとしても、そう簡単に盗めるものではない。


では、一体どうやって盗まれるのか?


……実は、それが分からない。


ゲームでは「景品の授与式直前に盗まれた」という情報はあったが、具体的な方法や描写は一切なかった。


分かっているのは、盗まれる"タイミング"だけ。


(この限られた情報だけで、どうやって防げばいい?)


考え抜いた末、俺が取る策はシンプルだ。


「盗まれるタイミングで、優勝景品を直接見張る」


これに尽きる。


もちろん、クラリスに頼んで警備を増強したり、学園側の対策を強化してもらったりと、できる限りの手は打った。


……だが、正直、それでも盗まれる気がしてならない。


今までの経験上、この世界では"原作の流れ"が非常に強固で、何をしようと結局同じ結果に収束してしまう傾向がある。


(だが、今回こそは違う。)


「絶対に成功させてみせる!!」


俺はもう一度気を引き締め、今後のイベントに備えた。


ーーー


俺は今、闘技場の観客席でレオンの試合を観戦していた。


対戦相手は、二年生の先輩で、優勝候補の一人。


しかし——


「……圧倒的だな。」


試合開始からわずか数分。


レオンは汗一つかかずに相手を圧倒し、すでに試合の流れを完全に掌握していた。


「——あれから随分と強くなりましたわね。」


「……!」


いつの間にか、俺の隣にアリシアが座っていた。


「……ああ、そうだな。」


俺は感心したように答える。


レオンは順調にトーナメントを勝ち上がっていた。


彼の今の実力は、ゲームの世界でこの時期の"適正レベル"を大幅に超えている。


(やっぱり、あの事件が相当ショックだったんだな……。)


ダンジョンでの敗北と、仲間の負傷——その悔しさをバネに、毎日みっちり訓練を続けているらしい。


(この調子なら、確実に物語の最終盤——ラスボス戦でも勝利できそうだ。)


ぼんやりと試合を眺めているうちに、決着はついた。


——レオンの圧勝だった。


「……さて、そろそろ行くか。」


俺は席を立ち、その場を離れようとする。


すると——


「なぜ、コア様はトーナメントに参加されなかったのですか?」


アリシアが、ふと問いかけてきた。


「コア様なら、自分の実力を試す絶好の機会だと思っていそうですのに。」


俺は立ち止まり、少し考えた後——強く、はっきりと答えた。


「俺には、やるべきことがある。」


その言葉を残して俺はその場を後にした。


ーーー


トーナメントが進み、決勝戦が近づく頃


(そろそろ盗まれる時間帯のはずだ。)


俺は事前に調べていた「優勝景品の保管室」へと向かう。


場所は、学園の最も安全な区域にある「宝物庫」。


普段は王国の貴重な資料や歴史的価値のある品々が保管されており、強固な防御魔法が施されている。


当然、警備も厳重だ。


俺は、宝物庫の外にいる警備兵たちを確認しながら、慎重に近づいた。


(……問題なし。今のところ、異常はない。)


それでも、俺は嫌な胸騒ぎを感じていた。


この世界は、"原作の流れ"が強く働く。


俺がどれだけ警戒していようと、何らかの形で景品が盗まれるように"調整"される可能性が高い。


(だが、そんな展開にはさせない。)


俺は壁際に身を潜め、優勝景品のある部屋を見張り続ける。


ーーー


時間が経過し、決勝戦が始まる歓声が遠くから聞こえてきた。


(ここまでは異常なし。)


……だが、その時だった。


「——カチッ」


微かに、何かが動いた音がした。


俺はすぐに警戒し、辺りを見回す。


だが、何も——


「——!!?」


突如、意識がふわっと遠のくような感覚に襲われる。


(……何だ、これは……!)


まるで、"見張っているはずの俺が見張れなくなる"ように仕向けられているかのような——


(まさか、これは……精神魔法か!?)


視界がぼやける。


俺は必死に意識を保とうとするが——


次の瞬間。


「——優勝景品が盗まれた!!」


遠くから、慌ただしい声が響いた——。

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