表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/29

23話

ボス部屋に入った瞬間、目に飛び込んできたのは——


惨劇だった。


ボスの前に、レオンたちがひれ伏している。


傷つき、地面に崩れ落ちたレオンとブラッド。

剣を杖のようにして、必死に立とうとするガレット。

そして、ボスの一撃が彼に振り下ろされようとしていた——


「はぁ!!」


俺は反射的に地面に手を置き、魔力を込める。


ズゴゴゴゴ!!


土が盛り上がり、ボスとガレットの間に巨大な壁を作り出した。


ドガァァァン!!


ミノタウロスの攻撃が壁に直撃し、凄まじい衝撃が部屋中に響く。


壁は一瞬でひび割れるが、攻撃を完全に受けきる前にミノタウロスの拳を弾いた。


ガレットが倒れ込むように後ずさる。


「ぜぇ、ぜぇ……なんとか間に合ったか。」


俺は思わず笑みを浮かべた。


(とりあえず、ガレットの致命傷は防いだ……!)


しかし——まだ確定ではない。


俺がそう考えた瞬間——ミノタウロスがゆっくりと振り返り、俺を睨みつけた。


目は血走り、鼻息は荒く、まるで機関車のように白い蒸気を吹き出している。


「ブモォォォォォォーーー!!!」


——圧倒的な殺気。


鋼のように硬い筋肉。

巨体を支える二本の逞しい脚。

牛の上半身と、人間の下半身を併せ持つ、"魔獣"。


ミノタウロス。


(……これはヤバい。)


心臓が速くなるのを感じた。


この場にいる誰もが、こいつの覇気に圧倒されているのが分かる。


「ゼクト、アリシア! 手を貸せ! 時間を稼ぐぞ!」


俺が叫ぶと——


「ひぃぃーーーっ!! なんでこんなことに!!」


ゼクトは叫びながらも、短弓を構えた。


(意外と根性あるな……。)


しかし——


「………………」


アリシアは何も答えなかった。


表情は無表情。まるで、この戦いに関与する気がないかのように。


(やはり……か。)


俺の中で、確信に変わる。


このミノタウロスは、帝国の策略だ。


だから、アリシアは手を出さない。


(……まあ、邪魔されるよりマシか。)


俺は切り替えて、戦闘に集中する。


その瞬間——


「ブモォォォォ!!」


ミノタウロスが俺に向かって突進してきた。


ズシンッ! ズシンッ!


巨体が走るたび、地面が震える。


「ちっ……!」


俺は即座に壁を作り、迎撃する。


ドガァァァン!!


壁が粉砕され、土砂が舞う。


「ゼクト! 俺がこいつの攻撃をいなす! お前は移動しながら攻撃して気を反らせ!」


「もーこうなったらやるしかねぇ!!」


シュンッ!!


ゼクトの短弓が唸り、矢がミノタウロスの肩に命中する。


「ブモォォォォ!!」


ミノタウロスがわずかに動きを止めた——その隙に、俺は横へ跳ぶ。


ギリギリで突進を回避。


(……危なかった。)


だが2度も攻撃の邪魔をされ、さらにミノタウロスが怒り狂う。

「ブモォォォォォォーーー!!!」

再び俺に向かってくるミノタウロス。


「突進しか脳がねえのかよ!」


俺は地面に手をつき、今度は巨大な杭を生成する。


(このエネルギーを逆に利用して——!)


だが——


「ブモォォォ!!」


バキィィィン!!!


杭は、一瞬で砕かれた。


(くそっ……! まだ俺の魔法の強度じゃ受け止めきれねぇのか!)


だが、今回は回避が間に合う。


俺は跳び退り、ゼクトが矢を放つ。



10分が経過したころだろう、いつもよりも緊張感があるからだろうか俺の体力はもう限界だった。


(先生……まだ来ねぇのか!?)


このボス部屋は、俺が作った無数の壁や土砂で視界が悪くなっている。


そのせいで——


ミノタウロスの突進が、見えなかった。


「——っ!」


気づいた瞬間、もう避けられない距離だった。


(やばい——!)


次の瞬間——


ドンッ!!


何かに、押された。


そして——


「ドゴォォォン!!」


鈍い衝撃音が響く。


(……え?)


目を開けると——


ガレットが倒れていた。


足は、あらぬ方向に向いている。


「……え?」


一歩、一歩。ゆっくりとガレットに歩み寄る。


(まさか、俺を庇って……?)


足が震える。


「はぁ、はぁ、はぁ……。」


呼吸が浅くなり、苦しい。


(また……また、俺はゲームの原作を変えられなかったのか……?)


頭の中が、ぐちゃぐちゃになる。


ようやく一人獲物を狩れたからかミノタウロスはしたり顔をして、今度は呆然と突き立っているコアに目線を向ける。


「コア!やつが来るぞ!早く逃げろ!!」ゼクトの必死の呼びかけもコアには届かなかった。


コアの目の前にたどり着いた後、ミノタウロスは右手を大きく振り上げた。


——しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。


ザンッ——!


鋭い斬撃音が響く。


何が起こったのか理解できないまま、俺は茫然とミノタウロスを見つめた。


次の瞬間——


ミノタウロスの右腕が、空中を舞う。


「全員、無事か!!」


低く響く声。


ゆっくりと顔を上げると——そこにいたのはドレイク先生だった。


先生は大剣を振り抜いたまま、鋭い眼光をミノタウロスへと向けている。


「ブモォォォォォ……!!」


ミノタウロスは絶叫しながら、残った左腕を振りかざそうとする。


しかし——


「遅い。」


ドガァァァァン!!


次の瞬間、先生の大剣が唸りを上げ、ミノタウロスの胴体ごと両断した。


巨大な体が崩れ落ち、ドサリと地面に沈んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ