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22話

ダンジョンに潜り始めて5分ほど経った頃——俺たちは初めての魔物と遭遇した。


体が緑色で、身長は90cmほど。醜悪な牙をむき出しにし、ギラついた目でこちらを見据えている。


ゴブリンだ。


(なるほど、初級ダンジョンだけあって最初の敵は小物か。)


そう思った矢先、ゴブリンはギラリとナイフを構え、ケタケタと笑いながらこちらに向かってきた。


「ヒェッ……!」


ゴブリンの獰猛な目に射すくめられたのか、ゼクトが情けない悲鳴を上げる。足はガクガクと震え、今にも尻もちをつきそうだった。


「ここは私にお任せください。」


アリシアは物怖じせず、前へと進み出る。


俺はアリシアの実力を確認するため、手出しをせず注意深くその一挙手一投足を観察する。


(さて、どれくらいの実力か見せてもらおうか。)


彼女は右手をスッと前にかざした。


瞬間——闇が手のひらから溢れ出し、槍の形へと凝縮される。


「ダークランス」


そう、小さく呟いた瞬間——


槍が漆黒の閃光となり、ゴブリンの胸を貫いた。


「ギ、ギャアア……!」


ゴブリンは絶叫を上げる間もなく、その場に崩れ落ちた。


完全に即死。


俺とゼクトは、しばし呆然とその光景を見つめるしかなかった。


「さあ、先へ進みましょう!」


アリシアは満足そうに微笑む。


(……思った以上に強いな。)


魔法の発動速度、正確な狙い、そして威力。


彼女の実力は間違いなく、すでに学園の中でもトップクラスだろう。


(もし帝国と戦争になったら、こいつは間違いなく厄介な存在になるな……。)


俺は無意識に、アリシアへの警戒心を強めていた。


「な、なかなかやるじゃないか!」


先ほど怯えていたことを隠すように、ゼクトが急に胸を張る。


「ぼ、僕もやろうと思えばやれたが、今回は手柄を譲ってやるよ!」


その発言に、俺とアリシアはジトーッと冷めた視線を向けた。


(こいつ、明らかに小物モブの言動じゃねえか。)


「さあ! 先に進もう! 僕たちが最初にボス部屋に行くぞー!」


ゼクトは俺たちの視線を気にしないフリをしながら、妙に張り切って先導し始める。


俺とアリシアは目を合わせ、少し笑った後、ゼクトの後を追うのだった。

ーーー


30分後

ダンジョン内を進み続け、俺たちは順調に探索を進めていた。


(このペースなら、レオンたちに追いつけそうだ。)


進行が速い理由は、ダンジョンの魔物が弱いこともあるが——それ以上に、アリシアの魔法が強すぎることが大きい。


闇魔法は、敵の視界を奪うサポート技から、鋭い槍や球体を飛ばす高威力の攻撃まで揃っており、汎用性が高い。


加えて、ダンジョン内の暗闇との相性が抜群。


結果——俺たちは、ほぼ全ての魔物を一撃で撃破しながら進んでいた。


(まじでヤバいな、こいつ。)


アリシアの今の実力は、間違いなくゲームの中盤レベルで通用するだろう。


(もしレオンたちを助けるのを邪魔されたら……?)


そんなことを考えていた矢先——


「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


突如、ダンジョンの奥から悲鳴が響き渡った。


(この声——リリアナか!?)


俺たちは、いつの間にかダンジョンの最深部——つまり、ボス部屋の近くに到着していたらしい。


「行くぞ!」


俺は迷わず、悲鳴の方向へと走り出した。


ゼクトとアリシアも、すぐに後を追う。


(間に合ってくれ……!)


ーーー


レオン視点


ダンジョンに潜り始めた時は、あまりに簡単すぎると思った。


魔物は弱く、パーティーの構成は理想的。


多少、最深部に近づくにつれ敵が強くなったが、それでも自分たちは順調だった。


だから、ダンジョンのボスも「強敵ではあるが、必ず倒せる」と思っていた。


——しかし、今の状況はどうだ。


タンク役のブラッドは、ボスの一撃で吹き飛ばされた。

パーティーで一番攻撃力の高い俺の剣ですら、まともなダメージを与えられない。

また、俺自身も攻撃を食らい、リリアナに回復してもらっている。


そして——今、唯一まともに動けているのはガレットだけだった。


「俺が時間を稼ぐ……!」


ガレットが叫びながら、ボスに立ち向かう。


しかし、その槍撃はことごとく防がれていた。


(くそっ……どうすればいい!?)


緊急連絡用のガラスはすでに壊している。先生が到着するまで時間を稼がなければならない。


歯を食いしばりながら、必死に策を考える。


だが、どんなに頭を巡らせても、ここから打開できる手段が思い浮かばない。


(もうダメなのか……?)


そう考えた時、ガレットにボスの攻撃が届こうとしていた。


「ガレット危ない!」


俺が叫んだ瞬間——


ボスの巨大な腕が、ガレットへと振り下ろされる。


(間に合わない……!)


——と思った、その時。


「ズゴォォン!!」


突然、ガレットとボスの間の床が激しく隆起した。


まるで、壁のようにそびえ立つ土の障壁。


ボスの一撃は、その障壁によって完全に防がれた。


思わず部屋の入口方向に目を向けると


「ぜぇ、ぜぇ……なんとか間に合ったか。」ゆっくりと噛みしめるような発言。


不敵な笑みを浮かべながら、息を切らして立っているのは——


コア・クトーマだった。

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