16話
更新が遅くなってしまい申し訳ありません。
入学式後、俺たち新入生は学園内の広大な運動場に集められていた。
整列する新入生たちの前で、いかにも体育会系の先生が声を張る。
「これより クラス分け試験 を行う!」
「試験は学力と戦闘力の2つだ。この会場では戦闘力の試験を受けてもらう!」
「試験内容は単純だ。この的に、どれだけダメージを与えられるか!」
そう言って、先生はすでに設置されている巨大な岩石の柱を指さした。
「攻撃方法は何でもありだ。剣でも、斧でも、魔法でも、自分が一番得意なものを使え。」
(なるほど……これは純粋な攻撃力を測る試験か。)
「では、順番に名前を呼んでいく! 準備しろ!」
俺は静かに目を閉じた。
ゲームの物語は、ここから始まる。
本来の流れでは——
1位は主人公のレオン。
2位は、平民出身でありながら特待生として入学したヒロイン。
そしてコアは10位。
「貴族なのに平民よりも下の順位だった」という屈辱から、コアはヒロインに憎悪を抱く。
それが、彼の “悪役としての道” の始まりだった——。
(だが、俺はもうゲームの中のコアじゃない。)
(俺のいままでの努力 、ここで見せてやる。)
試験が始まり、新入生たちは順番に岩の柱へ攻撃を加えていった。
しかし——。
「……くそっ! 全然傷がつかない……」
「この柱、固すぎる……!」
ほとんどの生徒が岩にわずかな傷をつけるのが精一杯 だった。
先生は明らかに退屈そうな表情で腕を組む。
「次—— レオン・セイクリッド!」
その名が呼ばれた瞬間——場が一気にざわめいた。
「ついに王子の出番か!」
「さすがに、王子なら……!」
レオンは余裕のある笑みを浮かべながら前へ出る。
——スッ。
静かに剣を構えた。
一瞬—— レオンの姿が消えた。
次の瞬間、「キィィン!!!」 という金属音と共に、岩の柱が真っ二つに割れる。
「……!」
(消えた……? いや、違う。)
(剣を振る一瞬の踏み込みが速すぎて、肉眼で捉えられなかっただけだ……!)
場がどよめく。
「さすが王子様……!」
「すげぇ……!」
先生も満足げに頷いた。
「やっと骨のあるやつが出てきたか。」
しばらくして——俺の名前が呼ばれた。
「次、コア・クトーマ!」
その瞬間—— 周囲がざわつく。
「クトーマ家って……あの悪徳貴族の?」
「ああ、最近 重税を取って、戦力を増強している って聞いたぞ。」
「なんか、国を裏切る準備をしてる って噂も……」
「……」
(おかしい。事実無根の情報ばかりだ……。)
確かにゲームの中では、コアが序盤から悪役扱いされていた。
だが、これまでに領地を発展させてきた実績からこんな評価をうけるとは思ってもいなかった。
(……後でワイズに調べさせるか。)
(今は試験に集中しよう。)
俺は何も持たずに前へ出る。
ゆっくりと岩の柱に手を当て、魔力を込める。
「はぁ!!!」
——ドンッ!!!
岩の柱が、粉々に砕け散った。
「なっ……!? 一瞬で……!?」
「あの柱を……インチキか!?」
先生も 「ほう」 と関心の声を上げた。
(……さて、これで何位になるか、見ものだな。)
その時コアを興味深そうに見つめる人物が2人。
1人は皇女アリシア。
瞳には、明らかに 「興味」と「期待」が入り混じっている。
アリシアの口がゆっくりと動いた。
「面白いわね……コア・クトーマ。」
そしてもう一人は王女クラリス。
彼女は静かに俺を見つめながら、「何かを考え込むような表情」を浮かべていた。
俺はその視線に気づくことなく次の試験へと向かっていった。
物語が動き出す!




