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15話

俺はついに、王都の門をくぐった。


——目の前に広がるのは、辺境とはまるで別世界の光景。


建物はすべてが大きく、石畳の広い道路には馬車が行き交い、活気ある人々の声が飛び交っている。

屋台からは焼きたてのパンの香ばしい匂いが漂い、道端では吟遊詩人が歌を奏でている。

しかし、その一方で路地裏では男たちが言い争い、貴族らしき青年が女を口説いている光景も目に入った。


(……なるほど。文化の違いってやつか。)


辺境では貴族の姿すら珍しいが、ここでは貴族も平民も入り混じって生きている。

一見すると自由で華やかだが、その裏では確実に力の差が存在しているのが感じ取れた。


そんな俺の横では、ワイズが目を輝かせながらキョロキョロと周囲を見回していた。


「コア様、あれ見てください! すごく変な形の家があります!」

「あっちでは有名な画家の作品が展示されてますよ!」

「それに、すごく甘いお菓子が露店に並んでます! ちょっと買ってきますね!」


ワイズは大興奮の様子で、俺に次々と報告してくる。

しばらくして、俺の手の中には謎の甘いお菓子が渡されていた。


「……はぁ。お菓子はもらっておくが、先に学園へ行くぞ。手続きを済ませるのが先だ。」


「はい! 了解しました!」


こうして、俺たちは学園へ向かうことにした。



学園へ向かう途中、突然、路地裏から一人の少女が飛び出してきた。


「うわっ!」


「きゃっ……!」


俺と少女は、もろにぶつかった。


「う……うわぁーん!」


少女は尻もちをつき、泣き出してしまった。

すぐに、母親らしき女性が慌てて駆け寄る。


「す、すみません! 貴族様、娘が不注意で……!」


彼女の表情には、動揺、焦り、恐怖が入り混じっていた。

……そうか、この世界では、平民が貴族にぶつかっただけで処刑されることもあるのか。


一方で、少女の方は状況が理解できていないらしく、泣き止むと俺が持っているお菓子に興味を示していた。


(……なんというか、無邪気だな。)


俺は母親を一瞥し、ゆっくりと口を開いた。


「ただの事故だ。俺の不注意もあったし、この子を責めるつもりはない。」


「えっ……?」


母親の顔が驚きに染まる。


「次からは気をつけろよ。」


俺は少女にお菓子を手渡した。


「……ほら、泣き止んだから、ご褒美だ。」


少女は目を輝かせながら受け取る。


「わぁ! お兄ちゃん、ありがとう!」


「お、お兄ちゃん……!?」


ワイズが横でクスクスと笑った。


俺は少しだけ苦笑しつつ、学園へと歩みを進めた。


学園の門をくぐった瞬間、俺の目の前に広がったのは白亜の巨大な建物だった。


石造りの高い塔がそびえ、青空を背にして美しく輝いている。

中央広場には噴水があり、涼しげな水音が響く。


「すげぇ……」


思わず息を飲んだ。


周囲には煌びやかな制服に身を包んだ貴族の子息たちが談笑している。

彼らは優雅な仕草で微笑みながらも、俺を値踏みするような視線を向けてくる。


(……なるほどな。辺境の貴族ってだけで、こっちは見下されるわけか。)


だが、そんなことは関係ない。


俺は俺のやるべきことをやるだけだ。


俺は堂々とした足取りで、学園の門をくぐった。



入学の手続きを終え、荷物を寮へ移した俺は、翌日の入学式に臨んでいた。


学園の大講堂には、すでに多くの貴族の子息たちが集まっていた。


(……ここからが、本番だな。)


やがて、壇上に王国第一王子が立つ。


「王国第一王子、レオン・セイクリッドだ。」


金髪を揺らしながら、堂々とした態度で名乗る少年。


(ついに物語の主人公とのご対面だ。)


だが——その後、俺は思わず眉をひそめた。


壇上に、もう一人の人物が現れた。


「帝国より留学として参りました、アリシア・ノイエンベルクです。」


(話には聞いていたが、帝国の皇女が本当に留学してくるとは…)


(やはり……俺の知ってるゲームとは、違う流れになってる……)


これは俺のゲーム知識が通用しなくなる可能性を示していた。


だが——それは悪いことばかりではない。


どういった行動が原因で物語が変化したのかはわからないが、


(物語が変わったということは、俺の行動次第で未来も変えられるということだ。)


「努力すれば、未来は変えられる。物語の結末を改変することができる!」


このときの俺はそれを信じて疑わなかった。

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