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12話

クトーマ領での戦いが終わり、新たな道路の整備が始まった頃——。


帝国の皇帝は、部下からの報告を受けていた。


「……何?」


皇帝が、低く呟く。


「放ったハイオークがやられただと?」


「は! その通りです!」


報告を受けた皇帝は、机の上で指をコツコツと鳴らす。


「クトーマ家の当主は、我々の嫌がらせの対応で余力がないはずだったが……?」


最近、帝国はクトーマ領に対して 嫌がらせを繰り返していた。

アークはその対応に追われ、手一杯になっているはずだった。


その間に 魔物を村に放ち、クトーマ家を弱らせる計画だったのだが——。


「……どうやら、クトーマ家の子息であるコアが動き、ハイオークを討伐したようです。」


「クトーマ家の子息か……」


皇帝は ニヤリと笑う。


「いかが致しましょうか?」


部下が、皇帝の表情を伺うように尋ねる。


「……別に特別な対応はいらん。」


「クトーマ家への策略も、王国への策略も—— まだまだあるではないか。」


「それに——余を楽しませてくれる者が多いほうが、面白い。」


「かしこまりました。」


——その会話を、盗み聞きしている者がいた。


少女。


黒髪黒目、透き通るような白い肌。

将来は、絶世の美女となるであろう容姿。


帝国の皇宮の片隅で、彼女は静かに 「コア・クトーマ」 の名を呟いた。


「……コア・クトーマ様。」


——その言葉の意味を知る者は、まだ誰もいなかった。




コア視点


「コア様、お元気で!」

「本当にありがとうございました!」

「困ったことがあったら、いつでも力になります!」


——気がつけば、俺たちがオール村に来てから 1年が経っていた。


この1年間で、俺たちは 周辺の村々をつなぎ、交易路を開通。

道の整備を手伝う人々も増え、最終的には クトーマ家の北側の領地のほとんどの村町を結ぶことに成功した。


その結果——


餓死者、ゼロ。


「……よく、ここまで来たな。」


俺はしみじみと呟く。


(父上も、ギルバードも……これを知れば、俺が領地経営に関わることを認めざるを得ないだろう。)


そう考えていると——。


「コア様ぁぁぁ!! お元気でぇぇぇ!!!」


ワイズが 今にも泣きそうな顔 をしながら、俺の前に走ってきた。


「……何を言っているんだ。」


俺は 肩をすくめながら、ワイズに向き直る。


「ワイズ、お前は一生俺の付き人として雇ってやる。だから、一緒に来い。」


「……え?」


ワイズの目が 一瞬、大きく見開かれる。


「い、いいんですか!?!」


「当たり前だろ。」


「うわぁぁぁぁぁん!!!」


ワイズ、嬉し泣き。


村人たちも 「おめでとう!!」「ワイズ、やったな!!」 と笑いながら声をかける。


俺は 静かに村を振り返った。


ここで過ごした1年間。


ここで得た経験、成長、仲間たち。


すべてを胸に刻みながら——俺たちは、新たな道へと進む。


「ということで、我が家に帰るぞ!!」


「おおーー!!!」


こうして、俺たちは クトーマ家へと帰還するのだった。



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