11話
戦闘が終わった日の夜。
村では「今回の勝利を祝う宴会」が開かれていた。
村人たちは、皆笑顔で食事を囲み、酒を酌み交わしながら、戦いの疲れを忘れようとしていた。
——だが、俺はどうしても勝利に酔いしれることができなかった。
俺は宴から少し離れ、村の端にある川辺で、一人たそがれていた。
川の流れをぼんやりと見つめていると、背後から足音が近づく。
「浮かれない顔をしていらっしゃいますな。」
振り向くと、トーマスが俺のそばに立っていた。
「……ああ。」
俺は、ため息交じりに頷いた。
「俺の指示で……重傷を負った者がいる。」
静かに、呟く。
「運が悪ければ、死んでいたかもしれない。」
この戦いで、片目を失った者、指を失った者もいる。
俺は、ここが「ゲームの世界ではない」 ということを、ずっと分かっていたつもりだった。
——だが、俺の決断一つで、誰かの命が左右される。
それを「現実」として突きつけられた今、その責任の重さに押し潰されそうになっていた。
「……今回の戦いは、絶対に必要なことだった。」
俺は自分に言い聞かせるように、言葉を絞り出す。
「もしこの戦いを避けていたら、もっと多くの村人が苦しんでいたはずだ。……それは分かっている。」
トーマスは、黙って俺の話を聞いていた。
——だからこそ、俺は決めた。
「トーマス。俺は、これからも——できるだけ多くの人を助けるために、決断を下す。」
「もっと強くなる。もっと魔法を使いこなせるようになり、次は誰も傷つけさせないために。」
「宴の主役が、なーに辛気臭いことやってるんですかい!!!」
突然、背後から 大声が響いた。
「……ん?」
振り向くと—— 村人たちが、ぞろぞろと俺の後ろに集まっていた。
「お前ら、一体いつから……!?」
「そりゃあ、『俺はこれからも、できるだけ多くの人を……』」
「やめろ!! それ以上言うな!!!」
俺は 恥ずかしさのあまり、思わず叫んだ。
村人たちは 「わはは!!!」 と笑い出す。
「みんな、コア様に感謝してるんだ!」
「コア様がいなかったら、もっと多くの人が死んでたかもしれないんだぞ!」
「だから、コア様も、一緒にこの勝利を分かち合いましょう!」
——俺は、一瞬、言葉を失った。
(……そうか。)
俺が 「救えなかった人たち」 を思うように、村人たちは 「救われたこと」 を思っているんだ。
俺は、小さく笑った。
「……分かった。」
「だが、さっきの発言は忘れろ!でないと、死刑だ!!」
「わはははは!!!」
村人たちは さらに大笑いした。
翌日から、再び道の整備を続け——。
ついに隣の村へと続く交易路が開通した。
「や、やりましたね! コア様!」
ワイズが目を輝かせながら叫ぶ。
「これで村の食糧問題も解決できます!」
村人たちも 「やったぞー!!」 と歓声を上げている。
だが—— 俺は次の計画をすでに考えていた。
「そうだな。」
「——じゃあ、次に取り掛かるぞ。ワイズ、皆のもの!」
「……え?」
ワイズが 恐る恐る尋ねてくる。
「こ、コア様……その『次』とは?」
「この周辺には、まだ5つの村 がある。少し遠いが、比較的大きな町 もある。」
「ま、まさか……!!!」
俺は ニヤリと笑った。
「この際、残りの期間ですべての村町をつなげるぞ!!」
「ひ、ひえぇぇぇーー!!!」
——こうして、新たな大プロジェクトが始まった。




