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10話

トーマス視点


(……この村に来てから、コア様の政治手腕には驚かされるばかりだ。)


最初にこの任務につくと知らされたとき、俺は 「単なるコア様のお守り役」 だと思っていた。


だが、その予想は—— いい方向で裏切られた。


魔法の力があるとはいえ、限られたリソースで最善策を導き出し、確実に実行する手腕。


それは、政治に疎い俺から見ても、ただ者ではないと感じさせるものだった。


(もしかしたら……将来、とんでもない大物になるかもしれないな。)


だが、今は目の前の敵を倒し、一刻も早くコア様の加勢に向かわねばならん!


「手短にハイオークを葬り、コア様のもとへ向かうぞ!!!」


「「「おおーー!!!」」」


騎士団が一斉に剣を抜き、ハイオークに突撃する。


(コア様……どうかご無事で……!!)




コア視点


今、オークたちは 「落とし穴に落ちた組」 と 「城壁に到達した組」 の二手に分かれていた。


城壁に到達したオークは自警団に任せ、俺は落とし穴のオークたちを足止めする。


具体的には—— 土魔法で落とし穴の壁をさらさらの砂にして、登るのを妨害する。


(アリ地獄方式ってわけだな。)


このままなら、楽に勝てる。


……そう思っていた。


しかし—— 時間が経つにつれ、徐々に戦況が悪化していく。


「グオォォ!!」


オークたちが、落とし穴の中で互いに肩を踏み台にして登り始めたのだ。


俺は土魔法で 「ピストン方式で再び穴に落とす」 という対処を続けていたが——


(やばい、魔力が……!)


徐々に、指先の感覚が薄れていく。

額から汗が滴り、視界がぼやける。


(くそ……! まだ、耐えなきゃ……!)


自警団は負傷者を出しながらも、何とか耐え続けている。


(この防衛は……俺にかかってる!!)


気合を入れ直し、再び魔法を放とうとした—— その時。


「———!?!?」


不吉な殺気を感じ、俺は反射的に顔を上げた。


——手遅れだった。


城壁の上に、一匹のオークが現れていた。


(いつの間に!?)


落とし穴から抜け出したオークが、俺に向かって一直線に突進してくる。


「くそ!! ここまでか!!!」


10歳の俺では、この攻撃をまともに受けたら 確実に致命傷 だ。


——その瞬間。


ザシュッッ!!!


鋭い音と共に、オークの動きが止まる。


「無事ですか!? コア様!!!」


トーマスの声。


オークの巨体が、俺の目の前で ズシン……! と倒れる。


「……トーマス!!!」


緊張の糸が切れ、俺はその場にへたり込んだ。


「……助かった……。」


「はい、残りのオークどもも、すぐに騎士団が殲滅します。」


遠くで響く騎士団の咆哮。


俺は、戦場を見渡して 勝利を確信した。


——こうして、俺の初陣は「勝利」で幕を閉じた。



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