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1話 転生

「この悪役まじで小物すぎたな」


今俺はとあるゲームをクリアした。ゲームの内容は王道中の王道で王国の王子である主人公が悪の帝国を討ち滅ぼすというストーリーだ。


ゲームは学園編と戦争編の2部構成で、ラスボスは帝国の皇帝で悪逆非道の限りを尽くしていたが、最終的に主人公に倒されてめでたしめでたしといった感じ。


登場人物のなかでも学園編でラスボスとなる王国を裏切る貴族令息がひどかった。名前はコア・クトーマ。銀髪赤目でビジュアルはめちゃくちゃ良いのに頭が弱いタイプのキャラクターだ。


帝国が出したエサにまんまと乗せられたあげく、最後は容赦なく切り捨てられていた。


「せめて王国のために二重スパイしてたみたいな設定があったらよかったのに」


俺は悪役の中でも悪役だと思ってたら本当はいいやつだったムーブするキャラクターが好きだ。いわゆるダークヒーロー的なやつが大好きだ。最近はそういう悪役が登場する作品を見尽くしており、退屈していた。


だから設定はいいのにただやられるだけのコアというキャラがとても残念に思えて「もうちょっと頭を使えよ!」「バカ正直にエサに食いついてんじゃねえ!」と何度も思った。


「まあ、今日はもう寝るか」


今日は大学から帰ってきてからずっとこのゲームを遊んでいた。まあ正確には「今日は」ではなく「今日も」なのだが、、、。気づけばもう夜の12時で眠たかったのでベットの横になった。


「もし、俺がコアだったら本当はいいやつだったムーブできるかなぁ・・・zzz」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おお!!よくやったぞレイナ!」

「ええ、やりましたわアーク様」


「これで我がクトーマ家は安泰だ!」


……なんだ? やけにテンションの高い男女の声が聞こえる。


いや、それ以前におかしい。俺は一人暮らしのはずなのに、誰かがすぐそばで会話している? しかも、なんか……身体が重い。まぶたが異常に重くて、目が開かない。


(……なんだこれ? 身体が、うまく動かない……?)


(視界がぼやけてる……ていうか、めちゃくちゃ体が小さい!?)


試しに動こうとしても、手足が言うことを聞かない。力を入れても、まるで何かに包まれているみたいに動きが制限されている。


(え、なんか柔らかい布にくるまれてるんだけど?)


(しかも、周囲の音がやたらとデカい。いや、俺の耳が小さくなった……?)


パニックになりかけた瞬間、急に腹の底から声が勝手に出た。


「おぎゃぁぁーーーーー!」


(えっ、待って!? 俺、今 "おぎゃあ" って言った!?)


(声が勝手に出る!? これ、まさか赤ん坊に……?)


「元気がよくて何よりだな」


「そうね、アーク様」


どうやらこの男女が、俺の両親らしい。


(やばい、状況が分からなすぎる……!)


(っていうか……"クトーマ家"って言ったか? それ、コア・クトーマの"クトーマ"と関係あるんじゃ……)


ぼんやりした意識の中、俺の中にひとつの確信が生まれた。


――俺、転生したんだ。


しかも、あの小物悪役・コア・クトーマに!

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