第26話◇私が次の当主なの!?
「もし疑惑が事実なら、一族のうち関わった者、全員が処罰される。通常の家門であれば取り潰しの可能性もあるだろう」
「取り潰し……」
前当主がお父様だったこと、一応その娘の自分が跡取り候補のひとりだと思えば、さすがに悲しいものがあるわね……。
けれども、話の方向は意外な方向に決着した。
「しかし、南ストレリチア家はわが国の建国にも関わっている家門であり、初代英雄王からの縁故ある血筋でもある。宰相様としては、取り潰しまではしたくないとのこと。そのため――イリス。南ストレリチアの跡継ぎ候補である君には、新しい当主となることを目指して、立ってもらいたい」
「あっ、新しい当主!?私が……!?」
ぱちぱちと何度も瞬きをして、私は自分で自分を指さしてしまう。
思ってもみなかったこと過ぎて。
「君は四属性の魔法を同時に使い精霊まで召喚した、南ストレリチアの正式な精霊姫だろう?その資格と義務があるよ」
まさか、冗談なんでしょう?という言葉が喉から出かかっていたけれど、イデアはやけに真っすぐに私を見つめ返した。
「資格と義務……」
呟いてもみたけれど、それで自然と必要な自覚がどこかから湧いてくる、ってわけでもなかった。
「君には俺たちの捜査に協力することで、新当主候補としてモルヒ公を廃するための行動を取ってもらう。そうしてくれたなら、国は君のことを一切処罰しない。それどころか、王家の全力を挙げて南ストレリチア家の再生にも協力する」
モルヒ公を廃する。
公爵家の現当主から、その権力の全てを奪い取る、ということだ。
「王家の……陛下と宰相様の叔父様への怒りの強さが、最大級に伝わってくるわね……」
であるなら、私自身が陛下や宰相様に全面的に従った上でお許しを頂き、今後の庇護をお願いするのが筋なのだと思う。
王家の協力を取り付けて、叔父様を追いやって、南ストレリチア公爵家を再生する……。
他でもない、この私が。
私自身の意志をもって。
もしそうすれば、もう私を殺そうとする人たちはいなくなるの?
もしいたとしても、防ぐための手立てを得られる?
跡取り候補として王家に認められれば、両親を殺したかもしれない叔父様、この過去を明かすことも、できるのかしら?
「私……当主を目指すわ」
声は震えてしまったけれど、それでも私は言い切った。
「やれる?」
イデアの確認の問いにも、しっかりと頷いてこう返す。
「……やるわ」
「そうか……。ありがとう、イリス。きっとたくさん苦労を掛けることになるけれど、頑張ろうね」
イデアは未来に起こるだろう苦労を、先に労うかのように言ってくれた。
それから、具体的な要求も。
「君が見せてもらえなかった書類と――裏帳簿。違法な取引の売買記録だね。これが見つかれば大きな証拠になる」
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