第九話 「剣の修行(3)」
六歳になった。
俺は、まだまだウォートンの即剣流を完全に見極めることはできなかったが、しっかりと実力をつけていった。
「いいぞ、ロイ。その調子だ!」
自分の動きに合わせて、攻撃をいなしながら自分のダメなところを言ってくれる。
「決める!“即剣流・即剣”!」
「くるか!受けてやるよ!“即剣流・即剣”!」
二つの技がぶつかりあい二人の周辺は衝撃波が飛んできた。
「くそっ。」
が、実力はウォートンのほうが上なのだ。
単純な力勝負で勝てるわけがない。
「なかなかいい剣裁きだったぞ。」
「ありがとうございます。」
(ロイがこの二年間でここまで成長するとは思わなかった。やはりこいつには才能がある。)
「ロイ!」
「はい!」
「お前の剣の実力は、同年代の中ではトップクラスだ。だがしかし、剣士は魔法使いに相性が悪い。そのことは知ってるな。」
「はい。」
「そこで、お前には魔法を学んでもらう。」
「え!魔法ですか。」
「そうだ。魔法だ。エリックの家に魔導書がある。それを使って魔法を学べ。言葉がまだ6歳のお前には難しいかもしれんがわからないところがあったら母さんに聞け。」
「え、でも、まだ俺は父さんに一回も勝ったことないですよ。」
「それなんだが、どうやら国が魔物の多い西の森を調査するらしい。一年間くらい俺ら自衛団の半分の50人が駆り出される。だから剣の稽古はお預けだ。」
「そうですか。なら仕方ないですね。」
「いや魔法のスキルが上達すると剣に付与する力も大きくなる。そうすればより強くられるぞ。」
「分かりました。」
「いいか、お前はもう何もできないただのガキではない。どれだけモンスターをたおしてきた!自分のステータスを見ろ!」
ロイ・コール Lv.10
体力 25
攻撃力 30
防御力 20
魔力量 10
スキル 即剣Lv.1 火炎焔切りLv.1 ファイアーボールLv.1
称号 即剣流初級 火炎魔法初級
同年代の子たちはみんなレベル1なのに自分はレベル10だ。
「お前は戦える人間だ。何かあったらお前がみんなを守るのだぞ。」
「はい!」
(今度こそ大切な人を守る!)
俺はそう決心した。
ウォートンたちは村の人々に別れを告げて、西の森に向かって行った。
「さてと魔法の勉強でもするか。」
そういって、魔導書を机の上に広げた。
「魔法か...」
魔法と聞くとまず思い浮かべるのは師でもあり友人でもあったエリックさんだ。
あの人は自分をかばって死んでいった。
そして、俺はエリックさんとの約束。
大切な人を守るということの為に強くなるように鍛錬に励んでいる。
「どの魔法を学ぼうかな。」
火炎魔法は、必ず学ぶとして、サブウエポンとしてなにかもい一つくらい魔法を使えてもいいかなと思った。
「おーい、ローイ。」
と、声のするほうを向くとセリスと自分の母であるエビィナ、そして妹のマリアがいた。
「どうしたセリス?」
「いや、ロイが魔法を学ぶっていうから一緒に勉強しようと思って。邪魔だったかな?」
「いやいやとんでもない。かわいい子の一緒に勉強できてうれしいよ。」
というと、セリスの頬が赤くなった気がした。
「いや、そんな、かわいいなんて…」
もじもじしていてとてもかわいい。
「ねぇお兄ちゃん。私は?私は?」
「マリアももちろんかわいいよ。」
「やったー。」
マリアの頭をなでてやると嬉しそうに飛び跳ねた。
「それはそうと、セリスはどの魔法を学ぶの?俺は火炎魔法ともう一つ何か学ぼうと思っているけど。」
「え、二つ使うの?やっぱりロイはすごいね。ふつう一つだけでも難しいのに。」
「そうかぁ?まあいいや。で、セリスはどの魔法学ぶの?」
「私は水氷魔法を使えるようになりたいな。火炎魔法や岩石魔法は怖くて使えないからね。」
「ふーん、だとしたら俺は、雷電魔法か岩石魔法か暴風魔法か。」
「暴風魔法がいいんじゃない?お父さんも使っていたし。」
なるほど確かに即剣流の相性的にも暴風魔法はいい。
「そうだな、エリックさんの分まで強くなるからという意味でも。暴風魔法を習得できるようになろうかな。」
俺は魔法の勉強をし始めたのであった。
少しステータスを編集しました。