第三話 「エリックと魔物襲来(1)」
エビィナの手伝いをしていたらなにやら二人の男の人かげが近づいてきた。
片方はシュッとした体形で、もう片方は優しそうな雰囲気を醸し出していた。
「おーい、ウォートン。」
「遊びに来たぞ。」
「おいおい、魔法使いさんと村長さんじゃねぇか。」
どことなく気の抜けた二つの声の主はエリックとヒューイだ。
エリックは金髪の男性で、この村の有数の実力者で魔法使いだ。
ヒューイは、このマルロン村の村長だ。
20歳で村長になったすごい人で、村長になってから村の人口が増えたり、収入が増加したりしていて、村が成長しているらしい。
しかし、村といってもとても大きくなってしまって、端から端まで行くのに馬車で一日は余裕にかかる。
人口も5000人くらいいて、みんな、農業や養豚業を営んでいるから、広大なスペースがいるとのことだ。
ちなみにウォートンは冒険者だったらしく、今は農場を荒らす魔物などを退治する仕事、いわゆる自衛団の団長をしていて金を稼いでいるらしい。そんな三人は、ウォートンの幼馴染で親友らしい。
俺に魔法使いの才能があるとわかって、最初に家に呼んだのがエリックだった。
エリックは俺に魔法について教えてくれた。
「ロイくんなにか質問はありますか?」
「はい、先生はどんな魔法を使うのですか?」
「いい質問だね、教えてあげよう、僕が使う魔法は暴風魔法だよ。この魔法は風を発生させたり物を飛ばしたりする魔法だよ。」
「等級は何級ですか?」
「等級は君のお父さんと同じ中級だよ。」
「へぇ~すごいんですね、エリックさん。」
「誰でも努力すればこのレベルに到達できますけどね、まぁ皆さんはそれが出来ないんだろうけども。」
「僕は魔法を使えるようになりたいので頑張ります。」
「最初はみんなそうなんだよ、でも子供はすぐにわかんなくなったり、才能の壁にぶつかったりして、学ぶことをやめるんだけどね。君は才能があるらしいからそうはならないかもしれないけども、言い出したカエラには頑張ってねとは思うけどね。」
(残念だったな!俺は見た目は子供みは大人なんだよ!!)
ただの子供を演じているということを知らないエリックさんをかわいそうに思った。
「まずは魔法の基礎中の基礎を学びましょう。」
「はい、先生。」
「魔法を使うときに重要なことは魔力量と魔力操作です。魔力量を増やす方法は、自分のレベルを上げることや特殊な道具を使うと一時的に魔力を増やすことが出来ます。魔力は魔法の攻撃の威力、防御力、魔力探知の広さが変わります。魔力操作は魔力を使うことによって生成したものなど移動させることが出来ます。」
ロイ・コール Lv.1
体力 10
攻撃力 10
防御力 10
魔力量 10
スキル 未収得
「え、まだ全部10しかないんだ。」
「まぁ、まだ子供中の子供だからね。戦闘経験なんてあるわけないですよね。」
「戦闘したらレベルがあがるのですか?」
「その通りです。また、倒した魔物のレベルが自分よりも低かったり、同じくらいだとレベルが上がるための経験値が入ってくる量が少なく、格上の相手になればなるほど入ってくる経験値も増えます。また、一つの敵を複数人で倒した場合はそれぞれに均等に経験値が入ります。」
「へぇーなるへそ。」
俺は、それあら毎日のようにエリックさんの家に行って魔法について学んだ、来る日も来る日も魔法を学んだ。俺はそんな魔法を教えてくれる先生に感謝と尊敬の気持ちを持った。
俺は魔法を使うこと前世の夢だったから、エリックさんの話は、とても興味深かった。
そこで気になる人もいるだろうなぜおれは毎日のようにエリックさんの家に行けたかということだ。
なぜなら、わがコール家にかわいいかわいい妹が生まれたからだ。
妹の名前はマリアで、とても天使のようでとても可愛かった、目が合ってニコッと笑った瞬間に俺のハートは撃ち抜かれてしまった。
そういえば、まさか俺と同じ転生者かな、と思い誰もいないときに転生したがどうか聞いてみたが、
無反応だったので、違うとみていいだろう。
というわけで、両親はマリアの世話で忙しいので、エリックさんの家に泊まっていた。
俺はこんな幸せな日々が続くといいなと幸福に召されている。
時がたち俺が5歳になっていたある日のことだった。
「ええーつまりここの魔法陣は、こことここがつながることによって術が完成するということです。」
「先生、ここと左のこれのつながりがよくわからないんですけども...」
「ええっと、どれどれ...」
エリックさんが魔導書を見ようとした瞬間に、どこからかゴゴゴゴという音が聞こえてきた。
「どうしたんでしょう?」
「まさか!」
そういいエリックさんが家を飛び出すと奥の方に砂煙が見えた。
「チッ、魔物がこの町に接近してきている。ロイ君!ついてきなさい!」
「え、は、はい!」
エリックさんはいつもに増して真剣な表情をしていた。
自分も見ようと思い、家から飛び出たら、はるか前方から砂煙が昇っているのが見えた。
そこには数多くの魔物がいることが直感的に分かった。
こんなこと言ったらとても不謹慎だが、初めての戦闘が見れると思い俺は胸の高鳴りを抑えられなかった。
別に戦闘狂という事でもサイコパスという事でもありません。(たぶん)