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第一話 「異世界転生」

 俺、平塚宗次は23歳の社会人なりたてだ。

 俺は今先の見えない人生に悲観し、自暴自棄になっている。社会とはこんなに残酷だと初めて知った。

 県内有数の大学を、卒業しエリート路線一直線だと内心わくわくして入った会社がブラック企業だったのだ。

 毎日上司からパワハラを受けている。今日も午後11時までサービス残業させられ、終電を逃した。

 それなのになんと給料は手取り13万。

 社会人になった後も仲良くしていた友達はみな、いい仕事について俺を馬鹿にしてくる。


 親はこんな俺にもまだ諦めていなかった。これが愛情というやつか。こんな俺をいつも励ましてくれていた。今思えば子供のころから後先考えずに行動していた。ガキの頃から俺は親に迷惑をかけていた。

 でも、俺を見捨てないでくれていた母はガンで亡くなり、その影響であんなにやさしかった父は酒におぼれてしまった。

 俺がもっといい仕事についてお金を稼いでいたら、こんなことにはならなったかもしれない。

 でも、後の祭りだ。俺はもう何も残っていない。金も親も友も女も何一つ残っていない。大学は何とかなると考えて言っていたら何もそれらしいイベント起きずに終わってしまった。年齢=彼女いない歴どころか女子から話しかけられたことない歴になるレベルの人生に絶望しながら誰もいない闇夜に向かって俺は叫んだ。


「俺はこんなんになりたかったわけじゃねー!本当はもっといろんな出会いがあって可愛い女の子がいて、高層マンションに住みたかったぁぁぁ!」


 俺の中で何かがあふれだす。


「親が死んじまった時俺はもっと強くなると決めたじゃないか、なのに何も変わっていないじゃないか。このくそみたいな人生を変えるんじゃなかったのか!」


 むしゃくしゃして落ちている缶を拾い上げ蹴ろうとした、が当たらなかった。


「くっそ。」


 昔はサッカーが得意(部活では三軍)だったのに今はもう何の役にも立たない。


 俺はイライラしながら歩いていたとき、唐突に電話がかかってきた。相手はあの憎たらしいデブのブタ課長だ。


「はい、平塚でs」

「おまえぇぇなんで帰っとるんだぁぁ、今すぐもどってこい!仕事がまだのこっているじゃないかぁぁ!」


 ブチぎれた口調でしゃべるブタに内心怒りを覚えながらも返事する。


「す、すいません今すぐ戻ります。」

「はやくこないと減給、いや、クビにするぞ!」

「は、はい、すいません。」 


 電話が切れた。と同時に俺の中で何かが切れた。


「くそが、くそが、くそが、くそがぁぁ、なんで俺がこんな目に合わなければならないんだぁぁぁ。」


 いやだと思いつつも行かなければならない。面接で何百社と受けてやっと奇跡的に受かった会社だからだ。やめるにやめれない。

 のうのうと会社で寝ているブタ課長にキレながら会社に戻ろうとしたとき、大きな音がした。

 と思ったら俺は宙に浮いていた。


「は?」


 思考が遅れてついてきた、俺は轢かれたのだ、車に轢かれたのだ。赤い車体のスポーツカー的な車だった。空中に浮いているときに車に乗っていたやつと目が合った。車にはDQNぽい男とその連れみたいな女で二人で乗っていた。


「あwわりぃひいちゃった。まぁ、お前そんな感じな見た目だし別にいいよな。www」

「もう健司君ったら、何回目よ。」

「ごめんごめんw次から気を付けるからさ。」


 そういって二人は警察や救急を呼ばずに去っていった。

 


(最後までくそみたいな人生だったな。)

 薄れゆく意識の中でふと横に目をやると可憐な女性がいた。

 その女はどこか憐れむような眼をしながらも慈愛に満ちた表情をしていた。


「あなたが最後の望みです、どうかお助けください。

 魔王の手によってこのテラノウヴァ・ガーデンが危ないです。」


「は?、え、ええ、は?」


 その女は唐突にそういい、訳も分からず瞼の下に移る光に意識が飛んだ。





 目が覚めると見たこともない二人の男女がいた。


「よくやったエビィナ、男の子だぞ。」 


 長身のイケメンの黒い髪の男が言った。腰には剣らしき物がある。


「ほんと! かわいい男の子だね。ウォートンにそっくりだわ。」


 というのは金髪の女だ。


「おいおいそりゃどういう意味だよ。」


 と男は言う。


 俺は23歳なのにこいつらは何言ってるんだと思った。

 身長的にはそう見えても仕方がない。・・・な訳ないだろ。

 そこでさすがによくないと思い否定しようとすると。


(あれ、なんで話せないんだ。口がない?いやある。)


 俺は、なぜしゃべれなくなったのか分からなかったが、事故の影響だろうと決めつけた。

 俺はこの二人に俺は誰かと伝えようとしたが、大きな声で泣いてしまった。


「よしよし、大丈夫ですよ~おかあさんですよ~。」


 (!ママ!)

 俺は理解した。理解はしていないけれどおそらく理解した。

 俺は転生したのだ、前世の記憶を持ちながら。


(これってよく小説である転生じゃないか!)


 俺は飛び跳ねるほどうれしかったが赤ん坊の今では何もできない。しかし心の中でその喜びをかみしめていた。

 なぜなら、授業中に自分が転生したらと考えていたからだ。←絶対に一回はあると思っている。

 俺は今までのゴミ見たいな人生と別れることを決意した。え、そんなに簡単に決めれないって?

 俺にはそんな華やかな出来事など人生で一度たりともなかった。しかし前世での知識とちょびっとの知能というアドバンテージを生かしてこの世界で強くなると決めた。


 (まず必要なのは情報だ、情報がないと、ここがどこかも分からない。)


 話を聞く限りこの二人は俺の両親で父のほうはウォートン、母のほうはエビィナというらしい。

 俺はこの二人の生まれたばかりの息子といったところか。


「約束どおり男の子だから名前はロイだ。お前の名前はロイ・コールだ。」


 勝手に名前を決められてしまった。まあ仕方がない。


 俺の名前はロイ・コールというらしい。

 そして俺は平塚宗次という名前を捨て、ロイ・コールとして新たに生を受けたこの世界で強くなることに決めた。



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